【レビュー】メタルギアソリッド ピースウォーカー | 旧・鋼鉄親子でゲーム漬け!

【レビュー】メタルギアソリッド ピースウォーカー

▼攻めのメタルギア・ネタばれなし



いやー・・・面白かったね。

メタルギアソリッド ピースウォーカ

いやいや。

言葉とは裏腹に、顔が楽しそうじゃねぇぞ。

・・・メタルギアのために2日間徹夜だからね。

意識してないと、顔が死んでる。

なんだか、体力が少なくなっちゃったみたいで・・・幻聴かな?ピコン・・・ピコン・・・って、アラームが鳴ってるよ・・・

それにしても、メタルギアシリーズで初めてPSPでの発売になったのに、落ち度のない完璧な完成度だったな。

さすがコジプロ!

・・・メタルギアシリーズ、今までもPSPでたくさん発売されてるよ。

「メタルギアソリッド バンドデシネ」とか、「メタルギアソリッド ポータブルオプス」とか・・・

まぁ、そうなんだけどな。

言い方を変えると、”小島監督が作ったメタルギア”の中ではPSP初めての参入だ。

そう言われればそうだね。

バンドデシネとかMGS OPSとかは、コジプロが作っただけであって、小島監督は監督の立場から”監修”してるだけだもんね。

俺が、今回このピースウォーカーをプレイして、心から感じたのは・・・「やっぱり監督が作るだけで面白さの桁が違う」・・・ってことだな。

あ!

それは分かるかも!

ほかの人が作ったメタルギアとは、違うんだよね!!

・・・どこが違うとは一概には言えないけど・・・

違いは細かいところなんだよな。

普通にプレイしてる分には気がつかないところだが、細かい気配りがされている。

あと、何よりすげーのが、力の抜くところと入れるところ・・・ストレスを掛ける場所と、爽快感を与えるところ・・・

その使い分けが職人技だ。

ゲームに中毒性を与えるのって、プレイヤーにある程度ストレスを掛ける必要があるんだが、ストレスを掛けすぎるとイライラする。

例えばポータブルオプスでは兵士の回収にCQCで引きずっていってトラックまで運ばなくちゃいけなかったが、今回はフルトン回収

フルトンでの回収によって、良いテンポが生まれて、兵士の回収が楽しくなる!

フルトン回収すっごく楽しいよね!

兵士たちの背中に気球をつけて、一気に空に飛ばすやつ。

天井があろうが、洞窟の中だろうが、スネークのフルトンは貫通して飛んでいくもんね。

ミラクルフルトン。

説得力よりも、ゲーム性を選択した結果だろうな。

監督らしい。

でも、ポータブルオプスでの経験が確実に生かされてるよね。

ポータブルオプスあってのピースウォーカーだと思うよ!

あと、気になったのはボスの数だな。

今までのメタルギアに比べて、格段に増えてる。

あ。言われてみればそうかも。

中ボスの数が今まで5、6人だったのに、今回は結構な数。

これは、通信のアドホック対戦で協力プレイをするとき、なるべく多くの種類の敵と戦えるようにするためだろうな。

今回は、ほとんどボス敵が機械相手だったね。

超巨大兵器。

これも、協力プレイを意識してるよな。

モンハンみたいに、ありえない敵と戦いを挑む楽しさ・・・これを考えてるみたいだ。

それにしても、ボスデザインよく考えられてるよねぇ・・・

ただの機械の兵器なのに、個性があって人間味があるもん。

生き物みたいで可愛い。

ああ。

MGS4よりも、ボスデザインはかなり良くなったな。

まぁ、MGS3にはかなわないが・・・

MGS3は別格だもん。

あのボスデザインは反則。

今後もゲーム業界で、あのボスデザインにかなうものは、今後100年間出てこないって。

それにしても・・・今回のメタルギアは今までのメタルギアと似て非なるものだな。

ん・・・そうかな?

どこらへんが?

マザーベースの存在が、ゲーム性を大きく変えた。

あああ!そうだね!!

確かに、今回初めてメタルギアに”マザーベース”っていう要素が搭載されたよね。

たった一つ要素が追加されただけなのに、今までのメタルギアとはまるでゲーム性が違うかも。

そうだ。

今まで”メタルギアソリッド”シリーズは、シナリオを楽しむゲームデザインと、ステルスアクションを楽しむゲームデザインの二本柱だったが、今回はさらにシミュレーションゲームとしての要素も加わった。

最初は「シミュレーション要素なんてめんどくさい・・・僕はアクションゲームがやりたいんだ!」って思ってたんだけど、中盤以降になってくるとシミュレーション要素のためにアクション要素を進めるかんじ?

ものすんごい中毒性だよな。

この中毒性は今までのメタルギアシリーズにはまったく存在しなかった。

そうだね・・・

とりあえずクリアーしちゃったけど、まだまだやりたいことがたくさんあるよ!

これで2年は遊ぶゲームに困らないな!

・・・2年後には次のメタルギアが出てるだろうけどね・・・

きっと「メタルギアソリッド ピースウォーカー サブシスタンス」が出るような気がする・・・


今までのメタルギアとは明らかに違う・・・



メタルギアシリーズの通算9作品目の今作「メタルギアソリッド ピースウォーカー」。

シリーズ9作品目に当たるが、時系列的にはメタルギアソリッド(以下MGS)3、メタルギアソリッド ポータブルオプスの次に当たる、3番目の作品になる。

参考までに、今作の時系列は「MGS3」→「MPO」→「MGS PW」→「MG」→「MG2」→「MGS」→「MGS2」→「MGS4」だ。MPOに関しては、小島監督の手掛けるものではないため、正統派の続編としてカウントしないという説もあるが、それは個人の好みで。

このゲームは、他のメタルギアソリッドシリーズとは違うゲームプレイの流れを持っている。

詳しくは後述するが、”敵地に潜入→隠れて潜入→兵士を無力化し回集→マザーベースで働かせる→マザーベースを充実させる”という1つの流れを持っている。


ストーリーは完璧

やはり説得力のあるシナリオが定評の今シリーズ。

抑止力”をテーマに掲げ、その抑止力のありかたについて語るシナリオは、バーチャルの世界ながらも現実もを帯び、非常に重厚感があり説得力を持ち合わせている

無駄がなく磨き抜かれたシナリオは、シリーズのなかでもかなり高いレベルの仕上がりになっており、個人的には20世紀最高のシナリオと呼ばれているMGSや、個人的に一番好きなMGS3のシナリオに匹敵する。もしくはそれを超えるほどの完成度を持っている。

特に今作は、他のシリーズに比べ”核”をシナリオの中で上手く使っており、他のシリーズにはない緊張感と、核を取り巻く人間模様が繊細に描かれている。

今までのメタルギアシリーズは、1本腺で繋がれており、シリーズ全て遊んで初めて1つの壮大なシナリオを理解することができた。

しかし今作は全く違う。メタルギアストーリーの序盤のシナリオということもあり、今作はかなり独立した作りになっている。今作はむしろ今までメタルギアシリーズを遊んだことのないユーザー向けに作られているような気がする。

とはいうものの、従来のファンへのファンサービスなどもかかさず、シリーズファンにしか理解できないネタや、キャラクターなどが至る所に散りばめられている。

世界観は紛れもなくメタルギア

泥まみれになりながらも道なき道を進んでゆく主人公のネイキッドスネークは、シリーズ主人公の中でもやはり人間味にあるれるキャラクター。

サブキャラクターもよく考えら得ており、登場キャラクター数を必要最低限の人数に抑え、濃いキャラクターを作り上げている。さすがにMGS3、ものすごい濃いやつらにはかなわないが、それを除く他のシリーズのキャラクターに比べると非常に良いキャラを作り上げている。

キャラクターの配役も完璧。現在人気の超一流声優陣を起用するだけあって、あり得ないほど高い水準の演技力。キャラクター同士の掛け合いは、絶対にスキップできない。

やはり、シナリオの中で見逃せないのがおふざけ要素

重いシナリオと、シュールな世界観の中で、小島監督が散りばめるアホなおふざけは必見。緊張の糸が良い具合に切れて、ゲームを単調にさせない。

今までのシリーズに見られた”全く役に立たないアホ”な要素に比べて、今作は”実用的なアホ”が多く見受けられており嬉しいような、寂しいような・・・。


グラフィックは腰が抜ける美しさ

間違いなく、現在発売されているPSPソフトの中で一番美しいグラフィックを実現している。

PS2をも超える美しさで、一昔前「PS2でジャングルの表現は不可能」と言われていたが、PS2より低スペックのPSPでジャングルを表現してしまっている。ありえない。

空気感も抜群で、その空気の味も分かってしまいそうなフィルター。ものすごい重そうなフィルターを使っていそうなのにもかかわらず、処理落ちは全くない

グラフィック全般は、職人が作り上げた芸術作品。

ただ、ムービーシーンには不満点が残る

PSPのハードの制約上、「メタルギアソリッド バンドデシネ」から採用している動く紙芝居のような”テクスチャーマッピング”によってムービーシーンを表現している。

その表現方法の採用は、シリーズ3作品前から。さすがに3作品目ともなると手慣れたもので、芸術的なビジュアルで、脈動感のある動きを表現している。

問題なのはその絵そのもので、芸術的すぎるがあまり、キャラクターの顔が分からない。

説明書やオープニングなどに出てきたキャラクターと、ムービーシーンで出てくるキャラクターの顔が別人。たとえ絵が似てても、そのキャラクターが持つ雰囲気や、表情などがまるで違う

”テクスチャーマッピング”によるムービー表現自体は、非常によくできたシステムなので、絵を描く人を新川洋司さんに変えるだけでも、ムービーシーンの評価が非常に変わると感じた。


音楽は文句の付けどころがない

音楽を聴いているだけで、現在主人公のスネークが置かれている状況が直ぐにわかる。音楽がユーザーとスネークを1つに繋げており、音楽の力を改めて知らされた。

ぜひともヘッドホンで聞きたいBGMとともに、SEも非常に作り込まれている。

鉄砲の発射音から、草むらの茂みを歩く足音まで、非常にマニアックに作られている。

音によって敵がどこにいるのか分かり、このゲームにとって音は攻略に欠かせない要素の一つとして機能している。


操作性は非常によく考え込まれている

ハードがPSPという特性上、ボタン数が限られている。

その限られたボタン数の中で、考え込まれた3つの操作方法は、非常に完成度が高い。

シュータータイプは、今までのMGSシリーズのファンにとって慣れやすい操作方法。最初は戸惑うが、慣れるとこれ以上ないほど使いやすい操作方法。

アクションタイプはMPOのような操作方法。

そしてハンタータイプはモンスターハンターそのまんまの操作感。

ユーザーの趣向により、まったく違った操作方法が選択できる。

ボタンが少なくなったのにもかかわらず、出来る操作はシリーズとほとんど同じ。しかし、やはり今作から消えてしまったアクションがある。その代表例がホフク前進。これはシリーズ初代から存在するアクションで、泥まみれになりながら進むアクションは、このゲームの代名詞とも言えた。このホフクにより難を切り抜けるのが定番となっていたため、このアクションが消えたのはあまりにも惜しい。

PSPを改造して、ホフク専用ボタンを付けたい。そのくらい惜しい。

ロードは、非常に短くすることができる

ロードを短くするためにメディアインストール機能というのが搭載されており、メモリースティックに読み込みに必要なデータをインストールすることができる。

インストールするデータ容量は2種類から選べ、300MB強のスモールサイズと、800MB強のフルサイズ。

インストールすると、無線でのキャラクターの掛け合いが全てフルボイスになる。

また、ダウンロードパッケージをPS Storeで購入すると、UMDでの読み込みよりもさらに早くなり、マップ移動の際ロードがほとんどなくなる。

チュートリアルは非常に親切で、説明書を読まなくても簡単に進められる。

というよりも、付属されている説明書が説明書として機能しておらず、説明書というよりもコミックである。

序盤は、新しいアクションが要求されるたびに、無線で仲間から操作方法のアドバイスが入る。非常にありがたい仕様。


オリジナリティは極めて高い。

他のメタルギアシリーズと比べてもオリジナリティが高く、今までのメタルギアソリッドシリーズは「ステルスアクション」と「シナリオ」の2本柱でゲームを支え、そのゲーム性が楽しさを生んでいた。

しかし今作からは、それらにくらべて”マザーベース”とよばれる「シミュレーション要素」も追加された。

これは、非常に画期的な事で、今までメタルギアソリッドには薄かった中毒性が抜群に上がった

シナリオ序盤ではアクションモードを進めたいがため、”マザーベース”という存在がうっとうしい。しかし、シナリオの中盤以降、ユーザーは間違いなくマザーベースの要素にハマり、終盤はマザーベースに戻って経営をするためにアクションを進めることになる。

ネタばれを含んでしまう可能性があるので細かいことは割愛するが、マザーベースには様々な役割上がり、お金のやりくりや兵器の開発など、マザーベースでは様々な事ができる。

このゲームの魅力の半分がマザーベースにあると言っても過言ではないと思う。驚異の中毒性。


満足度はこれ以上なく高い。

「出会って良かった」と思える作品に、久しぶりに出会った。

想像していたメタルギアとは、良い意味で全く違っていて、良い意味でメタルギアらしくない。

例えばメタルギアシリーズらしくなく、今作には難易度設定がない

なので、ライトユーザーには難しめに思えるゲーム内容かもしれない。しかしベテランの後ろにくっついてくことによって、強い敵も倒すことができる。それによって難易度のバランスを保っている。

全てが完璧、ゲームバランスも絶妙な均衡の上に成り立っており、本当に職人技。

全てが完璧なように見えるが、一つだけ気になったのが、マルチプレイの際のユーザーの個性だ。例えばモンスターハンターなどだと、様々な種類のハンタータイプが存在。4人で狩りに出かける際、そのタイプの組み合わせにより、1+1+1+1が10にも20にもなる、奥深いゲームデザインになっている。

しかし今作の場合は、装備の強い、弱いのみで、1+1+1+1は4にしかならない。

テクニックが物をいうので、弱いユーザーはどんな装備で出撃しても弱いまま。強い人が一人活躍して終わってしまう。それでも十分楽しいのだが、戦略性に欠ける。

せめて弱い人用に、強い人の援護ができるアイテムを多く作ったり、薬草を採集のような、弱くても弱いなりに出来ることが多く用意されていればよかったと感じた。


総評して、非常によくできた作品

今作は終始、小島節。小島監督らしい作品になっており、小島監督のファンならば「これだこれ!」と歓声を上げる仕上がりになっている。

シリーズの中では、特にMGS3に近い完成度になっているが、ゲームデザインは全く別物。そもそも今までのメタルギアとはゲームのジャンルが違う

5229円とそれほど高くない値段設定。買って損は絶対にしない作品。

これだけレビューを書いても、このゲームはまだまだ語りきれない魅力の山。モンハンとのコラボや、ゲーム中に異様な存在感を放つ”ドリトス”の存在。ちょっとしたブームになりそうなフルトン回収。そしてシュールすぎる小島監督のギャグ。

騙されたと思って1度でいいのでプレイしてほしい、歴史に残る傑作。10点満点では尺が足りない。





評価                          .


ストーリー:≪10≫

グラフィック:≪9

音楽:≪10

操作性:≪10≫

オリジナリティ:≪10≫

満足度:≪10≫

+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+

総合:≪10≫






鋼鉄親子でゲーム漬け!