【レビュー】ヘビーレイン
▼手に汗握る(物理的に)ゲーム▼
汗、ダラダラになります。
イギリスのメーカーが開発した「ヘビーレイン」。
土台がなく、全く1から作りあげられたルーキーゲームで、ジャンルは純アドベンチャーゲーム。
題名の通りストーリーは終始重く、シナリオは”愛”がテーマになっている。
ストーリーは、素晴らしい。
プレイヤーが操作できる主人公は4人で、それぞれが”1つの事件を追う”という目的が同じなだけで、ほとんど接点なく行動することになる。しかしながらシナリオは見事にまとまっており、多岐にわたって分岐するどのようなシナリオルートをたどっても発散せずに、物語が完結する。
シナリオの分岐は非常にスムーズで、分岐しているのかどうかすらわからないほど。プレイヤーのささいな行動によっても物語が分岐していく。
伏線にも富んでいて、真相はどんでん返しの繰り返し。ゲームとして以前に物語として完成している。
しかしながら回避不能の弱点もある。それは欧州と日本の文化の違いで、プレイを進めていくと人の命の価値などの点で、日本人の考え方とはかけ離れた解釈を求められる場面が多少出てくる。多少プレイ中に罪悪感が残ることもあるが、それもまた他の文化と触れるという醍醐味なのかもしれない。
キャラクターは全て上手い具合に立っており、4人の主人公の役割もバランスが良い。わき役もしっかりと映えていて、ハイクオリティなハリウッド映画やアメリカンホームドラマを見ている気分。
総じてシナリオの完成度は高く、なかなかこのレベルの完成度のシナリオを武器に持ったゲームとは出会えない。
グラフィックはレベルが高い。
次世代機の実力をまじまじと見せつけられる。毛穴まで見える細かいグラフィックで、人間のグラフィックは細部まで描き込まれている。
背景グラフィックもレベルは高く、高い水準でバランスのとれた仕上がり。
洋ゲーなのにも関わらずキャラクターが不気味の谷に落ちておらず、日本人好みの顔立ち。それぞれのキャラクターは見た目からも、キャラが立っており、脇役までしっかりと作り込まれている。
圧巻なのが群衆シュミレーションで、ショッピングモールに数百人はいるであろう人間が、それぞれ人波を作ってバラバラに動いてる姿は必見。あれで処理落ちしないのは奇跡を目撃しているような気分。
ゲーム全般処理落ちは少なく、ほとんどない。
題名の通り、”雨”にはビジュアル的にもこだわっていて、水周りの表現は力の入り具合が凄い。
グラフィックは、どの角度から見ても高い水準で安定しているが、安定しているが故見慣れてくると感動が薄れてきてしまうことも。
音楽はハイクオリティである。
プレイヤーの心理状況を徹底して解析しており、ユーザーの緊張する場面ではハイテンポな音楽を。不安な時には心が締め付けられる音楽を流してくる。
特に環境音は素晴らしく、ただの雨音のなかに静寂だけではなく、焦りや不安の要素を感じ取ることができる。
SEの種類も豊富で、同じSEを使いまわしていることがないのではないかというほど、様々なSEが用意されている。
プレイヤーはこのゲームをプレイすると、主人公との感覚と一体になることができるが、その一体感を味わわせているのは紛れもなくこのハイクオリティな音楽。陰の立役者である。
操作性は神がかっている。これほどまで考え込まれた操作方法は出会ったことがなかった。
操作方法は大きく分けて2種類用意されている。
1つはボタン操作。2つ目はコントローラーを実際に振るモーションコントロールである。
この2つの操作のみで、日常のほぼすべての動作を疑似操作することになる。
コップを持ったり、ドアノブを回したりという動作はアナログパットで。ドアを蹴り破ったりするときはモーションコントロールでコントローラーを振ることを要求される。
アクションシーンでは、ただ時間制限内にボタンを押す事を要求されるだけだが、それだけで冷汗で汗だくになる。
ゲーム中。△ボタンと○ボタンの同時押しなど複雑なボタン入力を要求されるが、その組み合わせのみで、あれほどの緊張感が出せるという事実は初めて知った。手に汗握るというのはこのことで、失敗できない場面なので複雑な操作を要求されたときの緊張感は只者ではない。
これらの考え抜かれた操作方法によって、プレイヤーは完全に主人公と一体化することができるようになる。ガラスを踏めば心から痛いと感じる。本当だ。
ロード時間は主人公が変わるごとに5~10秒ほどある。ゲームを開始するときは20秒ほど待たされることはあるが、ゲームのテンポを悪くするほどのものではない。
オリジナリティは高い。
時代遅れと思われていた、典型的な純アドベンチャーゲームが、ボタン配置の巧みさとゲームバランス。シナリオのみで、ここまで斬新なゲームに生まれ変わることができた事実に驚き。
このゲームは、ジャンルこそアドベンチャーだが、今までのアドベンチャーでは一切味わうことのできなかった一体感と緊張感を味わうことができるようになる。
ゲームを1周するのに、要する時間は初回で10時間程度。2週目以降はもう少し早いペースでクリアーできる。
現在市販されている他のゲームに比べ、比較的短時間でクリアーできるゲームではあるものの、クリアーした時の満足感は、他のゲームと負けず劣らず。さらにゲーム全体のテンポの良さも加わり、2週目以降もプレイしてみたくなる気持ちにかららる。
なによりも、全体のバランスが良いと感じたゲーム。しかも、その全ての要素が非常にハイクオリティである。
1人プレイ専用で、オンライン要素も全くないが、時代に合ったゲームである。
ちなみに、トロフィーは比較的取りやすい。
価格は5980円と、内容の充実具合にしてはかなり低価格。
難易度は高くもなく低くもなくだが、シナリオからしてコアユーザー向け。
ぜひ、ゲーマーの方に手に取ってほしい傑作アドベンチャー。
評価 .
ストーリー:≪9≫
グラフィック:≪9≫
音楽:≪8≫
操作性:≪10≫
オリジナリティ:≪8≫
満足度:≪9≫
+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+
総合:≪9≫



















