ギター単体で音の良し悪しを騙るのがアカンreason。 | Honolulu Music Society byなかじー

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出自は日本生まれの日本育ち。
米国籍を取得してハワイに在住する音楽家であり実業家。3児の父。

今までの日本人には発想出来なかった独自の視点と解釈を元に展開されるちょっとだけ凄いブログ。
更新不定期。

​Aloha!



さて、今日もギター談義。『この手のハナシ』は著しく閲覧数が低いので多くの人にとってどーでもいい話題なのはわかりきってるんですが思考の言語化がテーマのブログなんだから仕方ないじゃんねっていう。


僕が昔から言い続けていることってほぼ同じなんですが、エレキギター単体で音の良し悪しを決めるの間違いですよと言うことなんですよね。


だってエレキギターという楽器は音楽を演奏するためにある楽器なわけで、その用途っていうのは他の演奏パートの方との合奏に使われるためのものだからです。


喩えて言うならいい音楽というものを美味しい料理に当て嵌めて考えてみるとわかりやすいんですよ。



​美味しい塩は何処の塩?


美味しい料理を食べると、そもそもその料理に使われる素材が美味しいから美味しいって場合があります。

コレは非常にわかりやすい美味しさの理由の測り方のひとつです。


他方、


料理人さんによって発想される料理というのは、そのレシピの秀逸さや調理の技法、さまざまな要因によって美味しい料理として成立しているものもあり、ソレは単にひとつひとつの素材が美味しいから結果料理として美味しく感じるという単純なものではないって世界もあるわけですよね。


ただ、ココで料理オタクみたいな人だと料理に使われる塩にまでこだわりたくなりがちなわけです。どこそこの岩塩がいいとかどこそこの海の水から作られた塩がいいとかなんとか蘊蓄が凄い。


パキスタン産岩塩

ヒマラヤ産岩塩



沖縄産ぬちまーす


だけどどんなに素材が良くても美味しい料理が作れるかはまた別の問題。


そしてそこにはたとえブラインドで塩を舐め、その塩の産地が当てられることと、美味しい料理を考案したり作れる事は全く別の問題ということをすっかり見失っているケースが多いんです。


あたかも利き塩が出来るだけの味覚があるならその人には美味しい料理を作れるみたいな勘違いがあるのに似て、


エレキギター単体で音の良し悪しが判る事はエラい事だ、みたいな誤解がすごく罷り通っている、ソレがエレキギター界隈だったりします。


ところがいくら『塩』にこだわったとしても、出来上がった料理が必ずしも美味しいわけじゃないってのと同じで、実際に料理を作ってお客さんに食べてもらってお金を稼ぐ人達からすると、美味しい料理ってそういう次元で成立しているわけじゃないって誰だってわかるわけじゃないですか。


いや、それが高級、高付加価値なレストランでの話ならならまたハナシは違うかもしれませんが、たとえば町中華みたいな食堂とかラーメン屋さんみたいな庶民の味を提供するようなお店ならそういうオタク的な考えにこだわる事はむしろ少ないのではないですかね?


​ニンニク、入れますか?


たとえばラーメンのスープ(出汁)をとるのにニンニクを入れてます、と。

高級なニンニク、ニンニク単体で食べるなら青森県産のホワイト6片が美味しいけど、ラーメンのスープをとるのに使うなら中国産の安いやつの方が向いているっていうのはわりと有名な話です。


青森県産、福地ホワイト6片

中国産ニンニク


それはコスト云々の意味合いではなくて、単純に中国産の安いニンニクの方がラーメンのスープをとるのには向いているんだ、という事ですよね。


また、ラーメン屋さんに行くと業務用のおろしニンニクが置いてあったりしますがそれも間違いなく原産国は中国だったりします。




ラーメンを食べるときに生のニンニクをおろして使うと辛味がキツくてたくさん使うと胃もたれしやすいのに比べ、業務用のおろしニンニクはスプーン山盛りいっぱい入れてもラーメンが美味しく食べられたりします。


つまり、素材単体での味の良し悪しよりも『美味しい料理』として成立するために重要な事は他にいっぱいあるわけで、どんな素人、子供にでも判る事は料理を作る人の経験と技術の方がはるかに重要って事に行き当たらずには居れない筈なんです。


​それでも『利きギター』は続く。


お酒を飲むのが好きな方は『利き酒』ってよくするじゃないですか。それは日本酒だったりワインだったりウイスキーやブランデーなどの洋酒に至るまで様々な種類のお酒を飲み比べてその違いを言葉に尽くして蘊蓄を述べる。


僕はいっときフランス料理にハマっていた時期があるんですが、僕はお酒を飲まないのでよく行きつけのレストランのメートルドテルからは『勿体ない!』と叱られていました。


『フレンチを食べてワインを飲まないだなんて、最高の女性を目の前にして愛を語らず世間話をしているのと同じです』と叱られました(笑)フレンチの世界では『ワインと料理の組み合わせの妙は最高のマリアージュ』と評されるのですよね。


多分それって当たっていて、日本酒だってそのお酒に合う肴というものがあって、その組み合わせでないと楽しめない料理の味わいや世界が必ずある。


だから結局は『利き酒』なんてのは自分は違いがわかる男なんだ、という自己顕示欲のために使われるケースが大半なのではないですかね?


まぁお酒を嗜むっていうのは誰かのためにやるわけじゃない個人的な行為ですし、お酒っていうのはあくまでも嗜好品です。


じゃあエレキギターは?


エレキギター単体での音の良し悪しを『利きギター』することの意味って?


弾いてて気持ちいいギターを選ぶ→まぁわかる

いい音のギターならいいアイデアが浮かぶ→まぁわかる

いい音のギターを周りに褒められたい→???

そういうギターなら練習が捗る→???

そういうギターならいい演奏ができる→???


結論:エレキギターは楽器なのか、嗜好品なのか?そのプライオリティを決めるのはその人がギタリストなのかギター愛好家なのかによる。


byなかじー


Mahalo!