なかじー的P.O.V〜僕がヴィンテージギターを尊いと思っていない理由。 | Honolulu Music Society byなかじー

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出自は日本生まれの日本育ち。
米国籍を取得してハワイに在住する音楽家であり実業家。3児の父。

今までの日本人には発想出来なかった独自の視点と解釈を元に展開されるちょっとだけ凄いブログ。
更新不定期。

​Aloha!


久しぶりのワイキキビーチです。

『映える』写真を撮るつもりが背景に人が映り込んでイマイチでした(笑)


さて、世の中にはヴィンテージギターというものを有り難がる風潮ってありますよね。

コレはエレキ、アコースティックを問わず楽器奏者、愛好家ならば99.9%はそう思うんじゃないでしょうか。


僕もかつてはそう思っていましたしそう思っている人の事を悪くいう気は全くないんですが今はヴィンテージギターというものに全く興味がないわけですね。


今日はその理由を簡潔にシェアしてみたい、という試みです。


まず、


ヴィンテージギターってなんでそんなに高いの?コレをちゃんと言える方は極めて少ないと思います。


多分気づいていない方が大半かと思いますけど、ヴィンテージギターの価値っていうのは売り手側の言ったことをそのまま言っているっていう事にどれだけ気づいているか?っていうことがかなり重要だと言えます。


曰く、


​こんなに稀少ないい材を使ってハンドメイドで造られるギターなんてもう2度と手に入らない

有名なアーティストのあの音が出せるのは同じメーカーの同じ工場で造られた個体でしかなし得ない

​ロック黎明期に生まれて同じ時を経たギターとは、もはや楽器というよりは文化遺産のようなものである



概ねこんなところじゃないかと思うんですが、今現在僕がヴィンテージエレキギターというものに『価値』を見出していないのはコレらに何ひとつ同意出来ないからなんですよね。


変わってますかね?いや、でも僕だってかつてはそれを信じていたしそれこそ正義かのように語っていた時期もあるんですよ(偉そうに)


ただ、エレキギターの世界に限らず僕らはいろいろな情報のシャワーに晒されながら生きているので自分では自分の意見、モノの見方というものがあると信じてはいても、実際にはそれらとは『モノを売りたい側の人間』が流布したセールストークを真に受けただけっていう可能性があることも認識すべきなんじゃないか?って事です。


世の中というものが自由経済社会である以上、どんな社会構造の中にも人間は売る側と買う側に二分されていて、そこで行われる行為というのはビジネスなんですね。


ビジネスというのは鉄則として『安く仕入れて高く売る』コレが基本中の基本です。


ではその『高く売る』をより効果的に行うために何が必要になるか?


コレが売り手にとって都合の良いセールストークというモノであり、簡単に言えば『情報』という事になります。


エレキギターメーカーは木材や部品を仕入れてソレをギターの形に仕立てることで付加価値というモノを商品に与えるわけですが、ギターを売る側の人間というのはギターにまつわる蘊蓄、情報というモノを並べ立ててセールストークを展開し、言ってみれば2次的な付加価値をさらに創出していくという事を何十年もやって来ているわけです。(JAPAN VINTAGE誌の出版の経緯でも同じことをしていました)


ヴィンテージギターの購買層というのはその大半がアマチュアのギター愛好家ですよね?(プロだっている、という意見はひとまずさておき)


そうした方々が手にするヴィンテージギターが、ジミー・ペイジやエリック・クラプトンのように偉大な功績、音楽文化的な記念碑ともいえる音楽を創造出来たのか?と言えば殆どの方は『そうじゃない』とおっしゃるのではないでしょうか?


ヴィンテージギターというのは偉大なアーティストが偉大な音楽を創造した事、つまりアーティストパワーによってその価値が世間から認められるようになった。


そして『売り手に都合のいい情報』として喧伝されて、価格が高騰した。


新たな持ち主が次の売り手となり、ソレが何巡も繰り返される事によって『価格』が釣り上がりマネーパワーによって高騰し続けただけのものです。


さらにもっと厳しく現実を見れば、世の中にあるヴィンテージギターって偉大なアーティストが使用した実機とは別の個体でしかないんですよ、皆さん。


エレキギターのように天然木を90%以上使用した製品というのは『同じ個体』というのは2本として存在しない。これは『なかじーの意見』ではなく『事実』であるはずです。


そして多くのヴィンテージギターとは楽器としての実績ってないわけです。


たとえば、


1994年7月5日に岩手県奥州市に生まれて育った人が、大谷翔平さんの活躍を見て『自分も誇らしい』と思うことはあっても、野球界にとってその方の力が必ずしも同じように発揮出来るわけではないのと同じです。


同じメーカー、年式、同じグレードで同じ仕様を持つ別の個体なわけです

。そして何より皆さん、『弾く人』が違います。


僕は皆さんに『思考実験』をオススメしたい。

ご自身がヴィンテージギターというものに抱いている肯定的なイメージの基となる『情報』。


コレが『売り手』によって発せられた『売り手』にとって都合の良いセールストークではないのか?という自問自答。


皆さんは『買い手』です。買い手が売り手のいう事を真に受けて言い値でモノを買うことを『イイ鴨』といいます。


僕はそうなりたくない、という側の人間ですのでお好きな方はどうぞ、というしかありませんが世の中のギターを弾く人の99%はアマチュアです。


エレキギターは楽器であり楽器とは音楽を創造したり奏でる為に活かされてその価値が創出されるもの。


その『価格』に見合った音楽を創造するもしないも『あなた次第』という事です。



『持っているだけで値段が高騰する』





いや、もうソレは『そういう人たち』の間だけで勝手にしててください(笑)


Mahalo!