ギタリストの50%くらいの人には役に立つかも?なハナシ。 | Honolulu Music Society byなかじー

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出自は日本生まれの日本育ち。
米国籍を取得してハワイに在住する音楽家であり実業家。3児の父。

今までの日本人には発想出来なかった独自の視点と解釈を元に展開されるちょっとだけ凄いブログ。
更新不定期。

​Aloha!


コレ、自画自賛しますけど、ギターの愛好家とギタリストへの道のりを分岐してしまうポイントを突いているという意味で非常にいい記事だったなぁと思っています。


文章力の拙さはさておき、言ってる内容は限りなく正解に近い。


しかしながらこれを読んで心から納得する人は殆ど居ないとも思います。


なぜか。


読む人がまるで自分のコンプレックスを逆撫でされているかのように受け止めるからです。


これはジャンルを問わずですが『弱点の克服』をするとしたらそういうところにこそ実はヒントが転がっているモノなんですが、多くの人にとってそれはやりたくないことのひとつだったりします。


なぜか。


弱点を克服する為には自分の判断が誤りである事を認めなくてはならず、それをしていない自分に向き合うということは、自分のプライドが許さないからです。


なので今日はほんの少しだけ親切心から、ギタリストの方のプライドが傷つかないように配慮したお話をします。


​ボーカリストという人達。

先日、YouTubeでB'zの稲葉浩志さんとLOUDNESSの二井原実さんの対談を観ました。



その中で非常に面白かったのは二井原さんが昔はベースギタープレイヤーで、当時のバンドのボーカリストが辞めてしまったので仕方なく代理で歌っていたというエピソードからのくだりでした。


いわく、


周りからの評価としては『二井原は声は凄い。だけど歌は下手である』というもの。


ちょっとそれってホントなの?と思ったんですが、その話しの中で実はB'zの稲葉浩志さんがまだアマチュアだった頃にLOUDNESSのコピーバンドの練習風景をビデオ録画したものがやはりYouTubeに上がっている、と。



それがまだアマチュアであるにも関わらず、既に二井原さんを超えてるというハナシで、それは非常に興味深く思ったわけです。


このビデオに収められた稲葉浩志さんが二井原さんを超えているかどうかは別として、たしかにアマチュアではあまり見られないクォリティの歌唱をされているなと思います。


無論、声の質感は明らかに二井原さんが別格であるのはいうまでもないですが、歌唱力としてはアマチュア時代の稲葉浩志さんが上であると評する人が居るのも頷けるところはありますよね。


ここで問題にしたいのは、


声がいいことと、歌が上手いことは必ずしもイコールではないということ。


もちろん歌が上手いと評価される必要条件のひとつは声がいいことなんですが、


声がいいことでそれが全て歌が上手いということにはならないっていうのが確認出来るはずです。


パッと想像しても、


・声質

・声量

・音域

・ブレスコントロール

・ピッチ

・正確なカウント

・ファルセットやヴィブラートの安定感


ヴォーカリストを自称するならば不欠の素養に数えておくべきで、ここにプラスして演者としての情感の表現力が問われるわけです。


これに加えて『お金を貰える人』ということになると、そこにプラスしてルックスがいいということはかなり重要なのは疑う余地がありません。


みんな大好き、BABYMETALさんであってもそれは疑う余地がありません。


それだけ歌唱力とルックスの良さを併せ持つというのは才能として素晴らしいわけで、そこにたゆまぬと努力というものが組み合わさると、それは至宝と呼ぶに相応しい存在となります。(多くの場合、ルックスと歌唱力に胡座をかいてたゆまぬ努力が欠落しオワコン化しますけど。)




逆を言えば、


ルックスが悪いならそれはそれとして相当に高度なレベルでの歌の表現力を備えていなければならず、それは『声がいい』っていうレベルだけではヴォーカリストとしての素養は全く満たせていないということに気づくはずです。


例えば、


お笑い芸人の明石家さんまさんとか、


元SMAPの中居正広さんを例に挙げると、


彼らって声質がかなり独特で、音楽的に見たときにかなり良い倍音を持っているわけです。


それはある意味『プロの歌手が羨ましがる程度』にはいい声質だと言える。


なぜなら、しゃがれたようなハスキーな声質で、きちんと通る声質というのは、わざわざ声を張り上げて潰してまでしても獲得しようとする人が居るくらいに価値が認められている素養だからです。


これは個人を貶す意図はないんですけど、


明石家さんまさんも中居正広さんも決して歌はお上手ではないですよね。


下手だけど味がある、とか下手だけど一所懸命に歌う姿が可愛い、みたいな評価は歌唱力とは別の評価基準であって、それは好感度をバックボーンとする芸能タレントとしての評価だという事を忘れてはなりません。


声がシブい、味がある、声がきれい、透き通るようだ、等々。


そういう『声質』という素養ってのはたしかに歌手としては高く評価されるべき素晴らしいかもしれないんですが、それと歌が上手いこととは必ずしもイコールではないですよね、っていうお話しをしたつもりなんですが伝わっていますかね?


そしてここまでに述べて来たことはヴォーカリストに関するお話しではあるんですが、


ここで思いっきりヴォーカリストに関する説論の対象をギタリストに変換して読み取っていただくと一気にハナシが早くなります。



​歌が上手い、をギターに置き換える


そう、


ギタリストがろくに演奏そのものの修練を積まずに『いい音』を追求し続けると危ない理由がここなんです。


どれだけいい音を追求してもそれはキリがない。


なぜならば『いい音』というのは個人の主観ベースで言ってもその時々で違うからです。


極論、


昨日までは『いい音だ』と思っていたものが今日はいまひとつ納得が行かないなんてしょっ中あるんですよね。


これがヴォーカリストなら自分の喉を交換したり出来ないわけなんで、発声練習するなりメンタル的なケアをして声帯をリラックスさせたり肺活量を鍛えたりするわけです。


ところが、ギタリストの場合はこと『音色』という部分に納得いかない場合にはギターそのものを持ち替えたり改造したり機材を変えたりと、まぁ色々出来てしまうわけです。


しかもそれはお金を払えば誰にでも出来る範囲のことだったりします。


そもそもエレキギターの音色というのは音楽の中でこそ活かされるべきモノなので、そもそもギター単体での音色の良し悪しを追求すること自体が非常にナンセンスだし、


新しい機材を買ったりエレキギターの改造を試みたあとで『スタジオに入って爆音をならさないと良し悪しはわからない』みたいな判断基準に従うのもまたナンセンスなわけです。


なぜなら、ギターを弾く環境とは本来ギタリストには選べないものだからです。


思っていたより小さいスタジオで弾かなくてはいけない、逆に大きな箱で弾かなきゃいけない、ラインでいきなり宅に突っ込んで弾かなくてはいけない、指定されたギターや機材を使わなくてはいけない、全く初対面の人達と演奏しなくてはいけない等々、


これらは当たり前のことでしかないです。


自分で弾きたい事を弾きたい環境や設定で自由にやれるのはトップギタリストやギターヒーロー、レジェンドだけです。


写真中央はエリック・クラプトン師匠ですが、足下のすっからかん具合は昨今の機材まみれなギタリストからすれば笑ってしまうほどですよね。


そう、


アマチュアのギター愛好家というのは自分の憧れの対象者と同じギター、機材、アンプを使いたいという願望の元にお買い物をされますが、それは同じ音を出したいという動機と共に憧れの存在になり切りたいという願望が根底にあるからだったりします。


ここでひとつ思い返してみるべきなのは、ヴォーカリストの人が自分に与えられた声という才能を個性として大切にしている事に対し、


ギタリストの場合には自分にしかない個性を尊重する考え方が極めて薄いという事であったりします。


それはギタリストがヴォーカリストでいうところの『喉』に当たる部分をそっくりお金で買えるから、というのがあるからでしょう。


『誰々と同じ音を出したい』は『誰々と同じ声を出したい』に極めて等しい願望であって、仮に同じ声を出せたとしても、それは同じように歌えるってわけじゃないという事にギタリストは気付いていないわけです。


むしろ、憧れの存在と同じギターや機材を揃えてパワーコードを鳴らし手癖を弾いてみたり好きな楽曲のリフやソロを弾いて、


『おぉ〜!』となる事で充分満足出来てしまう場合が殆どである、というのが一般的なギタリスト、若しくはギター愛好家の偽りない姿でしょう。


ところが、


現実では『誰々みたいに弾いてくれ』というオファーはなかなかあるものではないですし、『これをそのまんま再現してくれ』というオファーに対応するには、


①極めて高い演奏スキルと共に

②極めて高い順応性

③極めて高い自己顕示欲の抑制能力が求められます。


多くの場合ギタリストやギター愛好家というのは①の項目迄は目標に出来るんですが、


②や③は目標どころか禁忌のようにすら捉えていたりするわけです。


どころが、現実的に見ればバンドのメンバーと創り上げる楽曲やそのアンサンブル、ライブや録音の現場で要求される音作りに対するフレキシブルさを全く考えずに『これが俺の音だ』と頑固な姿勢を貫きたがるギタリストはどこに行っても敬遠されるわけです。


こうした頑固さを『ロックっぽい』と認識して疑わない人すらいます。


全く逆ですよね。


ギタリストはヴォーカリストとは違ってギターひとつ機材のチョイスひとつで『喉』にあたる部分を根こそぎ変えられるわけですから、


本来なら求められる演奏をするのに最もフレキシブルな対応をするのが可能である、というのがエレキギターの演奏者としての利点であるわけです。


そして、音作りのプロというのはそれなりの現場ならば必ず存在するものなので、ギタリスト自身が追求すべき最優先の項目は歌でいうところの


・歌い方

・歌のバリエーション


になるわけです。


歌でいうところの声質を似せる事が音楽的な表現にあまり重要な意味を持たないように、ギタリストが修練をするのは『いい音』を個人として追究することではないんです。


むしろ、


『いい音』を特に追求していなくてもいい音に聞こえるような弾き方をする事や、技術を習得する事や、聴き手を楽しませて喜ばせる事が出来る様なサービス精神を持つことの方が遥かに重要である、という事にどれだけの人が気付けるのか。


自分では『よくやった』と思うライブが実際には滑り倒していたりとか、


自分ではいい音出せてたと思っていたのにメンバーや現場の人から喧しい等々のクレームをつけられるとか、


もっとソフトに『○○のあそこはもっとこうしてみたら?』と言われても『いーんだよ、アレはあのままがロックっぽいから』などと歯牙にも掛けないテイでせっかくのアドバイスをふいにしていたら?


『アイツとはやりづらい』って事になって、音楽家としてはどんどん孤立した存在とならざるを得ない。


ギタリストがギタリスト同士だけでつるんでいたり、自分よりもはるかにキャリアの浅いメンバーとしかバンドやユニットを組めないっていう『大御所』のギタリストも決して少なくない。


そうした理由も正に『その辺り』に原因があるかもしれないですね。


やはりエレキギターを弾く上での最大の醍醐味というのは僕は人前で弾くことだと思っていて、


『家で1人で弾いてる時には上手い』みたいな在り方に僕はあんまり興味がないわけです。


生身の人間がそれぞれに演奏する楽器の音に自分の弾く音が交わることで音楽が作られるプロセスが楽しいし、


それを全員で『お客を喜ばせようぜ』となってまとまって、結果お客さんが楽しく歌ってくれたり踊ってくれたり笑顔を見せてくれるのが1番楽しいわけですね。


だからエレキギター単体で鳴らす音が誰かと較べてショボいとか使っている楽器や機材がどうたらとか、派手なパフォーマンスを見せつけたいとか、そういう部分にはまるで興味が無い。


それでお金が儲かるんならもっと真剣に『そっち方面』を追究するかもしれませんし、僕がまだ10代後半くらいの若手だったらそういう風な方向に突き詰めても笑って許してもらえるかもしれない。


だけど、曲がりなりにもいい歳したオッさんがですよ?


別にスターでも無く、自分だけのオリジナルな何かを確立してそれが高く評価されているわけでもない、一般人に毛の生えたような『ギターを弾く人』がえぇカッコしいなことをしても誰も嬉しくないですからね(笑)


ギター単体で練習してその成果に満足したり、自分が気持ちよくなれる『いい音』をギター単体で追求すると、それは『音楽』には全然役に立たない、『何か別のもの』が出来上がってしまうのです。


音色にこだわり、パワーコード1発の響きや、手癖を弾き倒して誰かのコピーをして成り切って愉しむという果てには『お客さんを愉しませる』は無いんです。


ヴォーカリストが『いい声』に甘んじることなく、歌唱力を高めたり様々な表現力を学んだりするように、ギタリストは学ばなくてはならないんじゃないでしょうかね。


ピックアップを変えたり配線も変えたりケーブルに拘ったり機材を揃えてアンプも弄ったりエフェクターまで弄ったり、


いや、それはそれでその果てに音楽的な成果の得られる何かがあるのならいいでしょうけど…


買って満足、弄って満足、揃えて満足、


それは『いいんですか?』という気にはなる。


女の子とろくに口を利いた事がないような人が、『真珠を入れる』みたいなことしているようなもんなんじゃないか、と思ったりするわけです。


いや、


その前にしなきゃいけない事ってたくさんあるじゃんよ!と。


どうもね、


『やらなきゃいかん事』をすっ飛ばして『やりたい事』を最優先にしてしまい、それが『ロックだ』みたいに信じ込むところがギタリスト、ギター愛好家にはある。


それは少しなんとかした方がいいんじゃないかなとなかじーは思うのです。


こういうの恥ずかしいじゃないですか(笑)


そんな感じ!


Mahalo!


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