久しぶりの読書ネタです。
森田たまさんの 『もめん随筆』 。
ウィットとユーモアに富んだ46編の随筆と
10編の詩からなる
珠玉のエッセーです。
手に取ったきっかけは、群ようこさんの読書エッセー
『鞄に本だけつめこんで』 に紹介されていたことでした。
すぐに読んでみたいと思ったのですが
当時どの本屋さんに行ってもなぜか見当たらず
手に入れるのに苦労しました。
今手元にあるこの本は平成6年に購入したもので、
それ以来19年間もわたしの本棚にあります。
初版は昭和26年ですから、途中絶版もありながらも
多くの人々から長く愛されている作品です。
ここ数日、数年ぶりに読んでみて
またまた新鮮な気持ちで楽しんでしまいました。
わたしもこんな文章が書けたらいいなと。
この随筆には、森田家が関東大震災をきっかけに
東京から大阪に移り住んでいる頃や、
ふたたび東京に戻った頃の日常と
たまさんがその頃感じていたことなどが
家庭婦人という立ち場から描かれています。
エッセーに登場する人々の本音トークが
すごく生き生きと描かれているだけでなく、
知的な観察眼も随所に垣間見られます。
その感性はユーモアにあふれ、
平成の今読んでいてもまったく違和感がありません。
特に秀逸なのは、冒頭のエッセー「東京の女・大阪の女」。
わたしも関東・関西両方に暮らしたことがあるので
読みながら、「そうそう~!」と笑ってしまいます。
そして共感するのは「あぶら蝋燭」。
やっぱりわたしは保守的なのかな。
自由でありたいという気持ちと、地に足をつけたいという気持ち。
お子さんとの何気ない会話のひとこまから
たまさんはそんな心の揺れに、ひとつの助言をしてくれます。
「伊勢の春」も好きです。
東京出身のたまさんが、大阪出身のおうちにお嫁に行き
お正月に切り餅か丸餅、どちらのお雑煮をつくるか迷うお話。
我が家は毎年京都に帰省していますが
お正月は京都風と関東風2種類つくります。
京都風を作るのは、この家に嫁いだわたしのこだわり。
でもお義父さんを含め、家族はみんな関東風が好きなんです・・・
ほかにも、芥川龍之介や内田百閒とのエピソード、
女性ならではの着物にまつわるお話などなど
話題が豊富で飽きさせません。
歴史的仮名遣いなのですが、意外とすらすら読めます。
高校生や大学生の若い方にも
ぜひ手に取っていただきたい一冊です!
