「もう、本当にやめたいから捨ててください」と

覚醒剤の入ったパケ(小袋)や注射器を手渡される時がある。

 

(勘弁してよ!私、それ持つだけで、犯罪やんか)と

心の中では思いつつ、

せっかくの決心を無駄にしてはいけないと

何度か処分してあげたこともある。

 

といっても、うかつにそこら辺に捨てるわけにもいかず

自分のトートバッグにしまって自宅まで持ち帰り

翌朝、思い出して、生ゴミと一緒に捨てる危なっかしさ。

 

いやいや、ときに回復支援は不法所持からスタートですよ。

 

回り回って、因果な仕事よな、と思いつつ

その日も「もうやめたいから、注射器捨てて下さい」

というSOSコールに、一人のヤク中のマンションまで急行した。

 

1時間前に残っていた最後の覚醒剤は使い終わったらしく

もう、絶対やりたくないから、注射器を処分してくれという。

 

川にでも持っていって沈めようと、

コーラの空き缶に注射器を入れようとした瞬間、

 

「アッ!」

手元が狂って極細の針を左手の指に突き刺してしまった。

 

彼はC型肝炎の持ち主である。

 

マンションを出たあと、

突き刺したところを思いっきり絞って血を出す。

あまり出ない。やばい!

 

町の内科に駆け込んで血液検査をしてもらった。

月に1度、半年くらい通ったが、陰性だった。ほっ。

 

それ以来、薬物や注射器等の器具の処分は

本人に自分でやってというようになった。

なかなか決心がつかない場合は

捨てる現場まで、同行したりはするけど。

 

ダルクの創立者、近藤さんのいう

「まちがいに寄りそう」って

きっと、こういうことね。