自助グループに初めて参加したその夜

精神科病院に戻った私は

消灯時間が来ると

ベッドの上で布団に潜り込んだまま

嗚咽をこらえていた

 

 

回復の場に初めて参加した喜びの涙ではない

決意の涙でもなかった

 

 

自助グループのミーティングでは

周囲につられて「薬物依存者の△△です」

と自分も自己紹介をした

 

 

薬物依存者を名乗ることで

もう二度と薬物を使えないと思った

(実際には使ったが、笑)

 

 

薬物への未練たっぷりの涙だった

 

 

回復の種を一粒足元に播いた途端

目の前には砂漠のような喪失感が

拡がっていたのである

 

 

依存症からの回復とは

無秩序から秩序への移行ではなく

 

 

もう一つの無秩序を生きることかもしれない

 

 

薬物を使わないで生きるということは

薬物を使うことで感じずにいることができたものに

一気にさらされることだった

 

 

もと居た場所に戻ることではなく

私はこれから

未踏の砂漠に足跡をつけて生きていくのだ

 

 

だから一人では無理なこと

「仲間」が必要だった