「立夏」と「霊験お初~震える岩~」 | meaw222のブログ

meaw222のブログ

映画・ドラマの部屋

 

 

 

 立 夏

 

今日は、二十四節気の「立夏」。二十四節気の「立春」から7番目の節気となります。

 

『暦便覧』には「夏の立つがゆへ也」と記されており、春が極まり夏の気配が立ち上がる日となります。

 

平気法(二十四節気を時間で割る方法)で考えると

 

 一節気= 365日 ÷ 24節季 = 15.2 日

 

しかし、平気法では、没日(ぼつにち/陰陽道 で一切の事に凶であるという日)は除かれて1節季の長さは15日、土用の期間は18日、1年は360日になります。

 

因みに、土用とは、季節を五行説で説明する場合、春=木、夏=火、秋=金、冬=水のようにすると、「土」が余ります。

 

その為に、「土」にあたる季節を作るため、各季節から終りの1/5ずつ集めて土用としました。没日を数えないと1年は360日。各季節は360÷4=90日、土用はその1/5で90÷5=18日です。
季節は4つあるので土用は合計18×4=72日、ほかの季節も90-18=72日とすべて等しくなります。

 

この平気法でいくと、この「立夏」は、1年の始まり「立春」から90日目となります。閏年の関係上、この「立春」は、5月5日の場合と5月6日の場合があります。

 

しかし、これは、太陽太陰暦(平気法)を用いて計算しているので、太陽暦(定気法)を使用した雑節「八十八夜」(立春を起算日(第1日目)として88日目(立春の87日後の日))は、5月1日(太陽暦)となります。

 

日本の暦は、寛政暦 (かんせいれき/寛政十年(1798)~天保十四年(1843)の46年間) まではこの「平気法(太陰暦)」を使用していましたが、天保暦 (てんぽうれき/天保十五年(1844、弘化元年)~明治五年(1872)の29年間) に「定気法(太陽暦)」に変更されています。

 

平気法では、各節季が時間により分割されていますので、計算が簡単なのですが、定気法では、太陽の視黄経を角度で24等分する方法で行われます。

 

これにより、各節季は

 

360°÷24=15° 

 

となります。

 

 

上の図の様に、地球の公転が真円であれば非常に簡単なのですが、地球の公転は楕円形をしているために少し複雑になります。

 

 

地球は太陽の周りを楕円運動しているので、ケプラーの第2法則にしたがって、太陽に近いときは地球の公転が速く、遠いときは地球の公転は遅く動きます。

 

つまり、

 

近日点付近(1月上旬) → 地球が早く動く → 角度が15°変化する時間は短くなる

                              → 1節季の長さは短くなる。
遠日点付近(7月上旬) → 地球が遅く動く → 角度が15°変化する時間は長くなる 

                              → 1節季の長さは長くなる。

 

よって、夏と冬の日数は同じにならず、北半球では冬の期間より夏の期間のほうが長くなります。

 

という事で、旧暦で作られた二十四節季を、地球の公転(太陽暦)で表そうとすると、更に地球の軸のズレ(10°)等も計算に入れて算出しなければならず、かつ、二十四節季は、平気法で使われていた時期が長いために、今日でも主に平気法の旧暦(太陽太陰暦)の月日が使用されています。

 

平気法(太陽太陰暦)で二十四節季を表す場合には、実際の季節感とは約35日ほどの違いがありますので(2024年の旧暦の5月5日は、新暦で6月10日となります。)、現在ではこの節季を言う場合には「暦の上では」と言う枕詞が必要となります。

 

また、現在の暦は、太陽の公転で表されており1年が365.25日となっています。従って、1年に0.25(6時間)のズレが生じます。そして、6時間×4年で24時間=1日のズレとなるために、4年の閏年に一日を入れてズレを解消しています。

 

一方、太陽太陰暦は、新月から新月までを1か月とするために、約29.5日が1か月となります。

従って、1年=29.5×12=354日となり、実際の地球の公転の差が、1年で11日となり、ズレを解消(太陽の位置と季節を調整)するために、概ね3年に1回、閏月つまり1年が13か月となります。(江戸時代では、貞享元年(1685年)10月の貞享暦への改暦の頃は、すでに観測により各節気における太陽の仰角を割り出しており、この意味においては、江戸時代は旧暦と新暦の過渡期にあったことが分かります。)

 

この閏月については、前回に書いた高田郁さんの小説「あきない世傳 金と銀」に何度か登場します。

 

また、今日は、五節句の一つの菖蒲の節句ともなっています。

この節句の日には、日本の宮廷において節会(せちえ)と呼ばれる宴会が開かれます。年間にわたり様々な節句が存在しており、そのうちの5つを江戸幕府が公的な行事・祝日として定めています。それが人日、上巳、端午、七夕、重陽の五節句です。

 

 

各節句には、節句料理と言うものがあり、上の表でも分かる通り、今日は、スーパーやコンビニでも、この柏餅やちまきをよく見かけます。

 

また、この暦に関連しているのが、「数え年」と呼ばれる年齢の計算方法です。

 

数え年は英語で「East Asian age reckoning」と言います。「East Asian」と入っている通り主に東アジアで使われてきた伝統文化です。しかし、日本では、太陽暦に切り替わったタイミングでこの制度が廃止され、現在の満年齢となっています。

 

この「数え年」とは、母親のお腹の中で生を受けた瞬間に1歳となります。その後は、1月1日の元旦ごとに1歳づつ年をとる制度です。

 

この「数え年」の計算方法は簡単で、

 

計算する日が、

 

・自分の誕生日を迎えている場合=満年齢+1歳
・自分の誕生日を迎えていない場合=満年齢+2歳

 

となります。なので数え年では12月31日生まれの人が1番早く歳を重ね、1月1日生まれの人が1番最後に歳を重ねることになります。

 

例えとして、12月31日に生まれた人は、12月31日に1歳。次の日の元日には、プラス1歳で、数え年では2歳となります。わずか2日で2歳となるわけです。

 

この「数え年」は、アジア地域の「年神信仰」と深く結びついていますが、ほぼ同じ時期に生まれながら、最大2歳の差が出ることから、中国や日本では、「満年齢」に変更となっています。

 

唯一、この「数え年」が存続していたのが、韓国でした。

しかし、韓国でも2023年6月28日にこの「数え年」が廃止され、この日に国民全体が1~2歳若くなっています。

 

しかしながら、現在の日本でも、この数え年の習慣は一部で残っており、神社での厄払いや七五三等では、この数え年で年齢を数えますので注意が必要です。

 

さて、暦は非常に面白いもので、幾らでも膨らんでいきますが、この辺りで暦については、一旦終了し、次は、今日のもう一つの題「霊験お初~震える岩~」について書きたいと思います。

 

 

 霊験お初~震える岩~

 

 

この霊験お初シリーズ(全2巻)は、「あやし〜怪〜」や「理由」、「ソロモンの偽証」、「模倣犯」など、ほぼ毎年ベストセラーとなる本を出版する宮部みゆきさんの作品です。

 

この宮部みゆきさんは、小説家の中では多作で有名であり、ジャンルも現代小説から時代小説まで多岐にわたっています。

 

この小説「震える岩 霊験お初捕物控」は、当初、臨時発刊誌「時代小説」1992年冬号と1993年春号で「百年目の仇討ち始末」の題名で発表され、1993年9月に「震える岩 霊験お初捕物控」に改題されて、新人物往来社から単行本が刊行されます。後に、1997年9月に講談社文庫版が発売されています。

 

1997年11月15日に続編として単行本「天狗風 霊験お初捕物控」が新人物往来社から刊行されています。その後は、同シリーズものが、未だに発表されておらず、シリーズものですが、僅かに2巻のみとなっています。

 

小説「震える岩 霊験お初捕物控」は、小説「あやし〜怪〜」と同様に時代劇とホラーを掛け合わせた作品です。

 

あらすじは、一膳めしやの看板娘であるお初は、ある日、普通の人間には見えず、そして、聞こえないものが聞こえる「霊験」に目覚めます。この「霊験」に目を付けたのが、南町奉行の根岸肥前守鎮衛で、不思議な話を集めた「耳袋」を作るために、与力の見習い古沢右京之介をお初に同行させ、江戸の町で起きた奇怪な連続殺人の謎を探らせますが・・・

 

この作品は、一気読みできるほど小説の展開もスムーズで、かつ、宮部みゆきさんの作品としては、アップテンポで非常に面白い作品に仕上がっていました。

 

これを原作として2024年5月4日にテレビ朝日系列にて「霊験お初~震える岩~」の題でテレビドラマ化されます。

 

 

不思議な力=“霊験”を宿したヒロインの町娘を、上白石萌音さんが熱演。その相棒となる、“草食系”の与力見習いを京本大我さんが務め、ドラマ初共演の2人が凸凹バディを結成。

原作の良さを全く損なわない主人公を演じる二人の演技と、小説では想像も出来ない程の素晴らしいVFXと相まって素晴らしいドラマとなっています。

 

作者の宮部みゆきさんも、「駆け出しのころ、手探りで一生懸命に書きあげた懐かしい作品が、年月を経て、上白石萌音さんと京本大我さんという、今もっとも新鮮なパワーをお持ちの役者さんに演じていただくことで映像化されました。萌音さん、時代劇でも可愛い!」と、2人に向けて大きな期待を語り、「お江戸の不思議ミステリーを、たくさんの視聴者の皆様に楽しんでいただけますよう願っております」とメッセージを寄せています。

 

ドラマを見逃した人も、今ならTVerで配信されており視聴可能となっています。

 

 

上白石萌音さんと京本大我さんが、小説から抜け出たのではないかと思うほど、役にピッタリとはまっています。まだ、見ていない人は早めに見てください。おすすめドラマです。