人生に訪れる3つの危機と映画 | meaw222のブログ

meaw222のブログ

映画・ドラマの部屋

 

今日は、人生に訪れる3つの危機とそれに関連した映画について書きます。

 

人生には、3つの大きな危機が訪れると言われています。

 

 人生に訪れる3つの危機とは

 

青年の危機

まず最初に訪れるのが、10~20代の「青年の危機」です。

保護されている子供の時代から自分だけで歩き出す思春期における時期に、訪れる葛藤です。

まだ、自分の道が定まっておらす不安定で、そして、自分が何者で、何をすべきか全くわからない時期です。あるのは、「未来の可能性」のみです。

この時期には、身体的、社会的にも大人になることを求められる様になり、周りの期待と本人の本当にしたいことの差が広がり、更に精神的に不安定なものになります。

 

中年の危機

次に、40~50代の「中年の危機」です。臨床心理学では、この「中年の危機」を「思春期」になぞえて「思秋期」と呼ぶことがありますが、人によっては、「老年の危機」と一緒に定義されることもあります。

この時期になると、実社会に出て色々な経験を経て、その中で自分の能力や限界がハッキリと見えてきます。

そして、個人的にも健康や家族の環境が大きく変わる時期でもあります。

この時期に、心理的に不安定になり、現状を打破しようと、今までのライフスタイルを変えようとします。この時期にあるのは、「現在の自分への不安」です。

 

老年の危機

最後に60代以降に訪れる「老年期の危機」は、大体の人は社会から引退し新しい生き方を強要される時期に訪れます。

この年齢に達すると、社会での身分や収入が大きく変わります。

この時期に訪れるのが、過去の実績への再評価です。

老人が、過去の話が多くなるのは、昔の話をすることにより自分の姿をもう一度見直し「自己肯定感の維持」のためかもしれません。

この時期にあるのが、「過去の自分の反省」です。

 

いずれも、心理的には不安定な状態にあり、安定を求めて色々な葛藤が訪れます。

そして、この3つの危機に共通しているのが、「アイデンティティーの喪失」であり、「自己承認欲求」「自己肯定感の維持」によって失われた「アイデンティティー」を取り戻そうと色々な行動を起こします。

 

 

 それぞれの危機を題材とした映画

 

 

青年の危機

この青年の危機を題材とした映画は、先が見えない焦りと、何かに挑戦してそれを成し遂げることにより、自分のアイデンティティーを見いだし、それにより大人の階段を一歩上る内容の映画が多いのが特徴です。

一見すると何の価値も無いことに一心不乱に打ち込み、結果はどうであれその過程が、最も大切なものとなります。

 

そんな青年の危機が描かれた映画の中で、面白かったのは、2005年制作の「リンダ、リンダ、リンダ」です。

出演は、ぺ・ドゥナ、前田亜季、香椎由宇、関根史織

 

とある地方都市の高校を舞台にした、文化祭のステージで演奏するためにガールズバンドを組んだ女子高生たちの青春ドラマ。山下敦弘監督が韓国の人気女優ペ・ドゥナを主演に迎え、ブルーハーツの曲を演奏する女子高生たちの心模様を繊細に描いており、青春期の甘い香り溢れる映画となっています。

 

 

カリフォルニア州の閉塞感漂う片田舎の町サクラメント。カトリック系の女子高に通い、自らを「レディ・バード」と呼ぶ17歳のクリスティンが、高校生活最後の年を迎え、友人やボーイフレンド、家族、そして自分の将来について悩み、揺れ動く様子を、みずみずしくユーモアたっぷりに描いたのが、この「レディ・バード」です。

 

 

「自分の未来」を信じて、羽ばたこうとしている主人公に共感が持てる作品となっています。

 

 

中年の危機

青春の危機とは違い、ただ前のみを見て生きてきた時代から、はたと立ち止まり、今の自分を見て、自分の人生に迷いが生じ、なんとか打開しようともがくのがこの時期です。

映画でも、自分の生きる価値、自分の人生、そして周りとの関係や可能性をストーリーに取り入れられています。

 

やりがいのある仕事と愛する家族に囲まれ、平凡ながらも順風満帆な人生を歩んでいた47歳のブラッド。

大学進学を目指す息子と2人でボストンを訪れた彼は、そこで旧友たちと再会する。経済的にも社会的にも成功を収めた彼らの姿を目の当たりにしたブラッドは、自分が築いてきた家族や仕事は本当に最高のものなのかと疑問を抱き、人生を見つめ直していくのですが・・・

 

 

この映画は、2017年に制作された「47歳 人生のステータス」。主演は、「ナイトミュージアム」「Life!」で有名なベン・スティラーです。

 

自分の人生を振り返って、時には、「こんなはずじゃなかった」と、これまでの人生を後悔するあまり衝動的な行動に出ることも……。

 

そんな中年の危機を描いたのが、2008年に制作された「団塊ボーイズ」です。

妻に逃げられ自己破産した実業家のウディは、うさ晴らしとして、ストレスを抱える歯科医のダグ、妻に頭が上がらない自称小説家のボビー、そして恋愛経験ゼロのダドリーという3人のバイク仲間を誘ってアメリカ横断の旅に出ますが、案の定、色々なトラブルに巻き込まれていくのですが・・・

 

 

ジョン・トラボルタやウィリアム・H・メイシーらによる“中年イージー・ライダー”が、可笑しくもあり、「痛い」映画となっています。

 

 

老年の危機

老年の危機について回るのが、どうしても人生の終わり方です。

周りの人が、一人又一人と死んでゆき、どうしても死が人生にとって大きな意味を持つようになるのがこの時期です。

自分の死をどの様に受け入れるかが、最大の問題となります。

 

そんな時に、非常に勇気づけられるのが、2018年制作で、これが遺作となったハリー・ディーン・スタント主演の「ラッキー」です。

 

神など信じずに生きてきた90歳のラッキー。

今日もひとりで住むアパートで目を覚まし、コーヒーを飲みタバコをふかす。いつものバーでブラッディ・マリアを飲み、馴染み客たちと過ごす。そんな毎日の中でふと、人生の終わりが近づいていることを思い知らされた彼は、「死」について考え始める。 子供の頃怖かった暗闇、去っていったペットの亀、戦禍で微笑んだ日本人の少女――小さな街の人々との交流の中で、ラッキーは・・・

 

 

この映画に登場する言葉は、非常に哲学的であり、示唆を含むのもとなっています。

例えば、「孤独(lonely)とひとり(alone)は、違う」

「人はみな生まれる時も、死ぬ時も一人だ。“ひとり(alone)”の語源は“みんなひとり(all one)”なんだ」など。

人生の終わりについて考えさせられる映画となっています。

 

そして、この時期に避けて通ることの出来ない事が、介護と認知症という問題です。

そんな問題に鋭く切り込んで描かれたのが、2020年制作のアンソニー・ホプキンス主演の「ファーザー」です。

 

ロンドンで独り暮らしを送る81歳のアンソニーは、認知症を患いつつあったが、娘のアンが手配する介護人を拒否していました。そんな中、アンから新しい恋人とパリで暮らすと告げられショックを受けるアンソニー。

しかし、そんな中、アンと結婚して10年になるという見知らぬ男がアンソニーの自宅に突然現れたことで、彼の混乱はさらに深まっていくのですが・・・

 

 

この映画は、認知症を発症した人物の目線で、ストーリーが展開されていきます。

そのため、自身が認知症になった時、世界がこのように見えているのだと認識させられる映画となっています。

また、主役のアンソニー・ホプキンスは、実際に認知症になった自分の父親を思い出しながら演技したといわれており、とても演技とは思えないほど自然に、この主人公を演じていました。

 

自分の人生の記憶が、時間という軸を失い、すべてが同じように現れてくる恐怖と、自分の老いを自覚するという残酷な瞬間、そして、自分の人生を追体験した後に見えてくるものとは?

そんなことを考えさせられる映画となっています。

ミステリー調に映画が進行しますが、最後にはホッとできるものとなっており安心して見て下さい。

 

以上が、青春、中年、老年の危機とそれに関連した映画を紹介しました。

今日紹介した映画は、どの年代に属していたとしても楽しめるものとなっています。

映画の中の人物の人生を追体験できるのも、映画の醍醐味ではないかと思います。