マイケル・シェンカーが参加しているUFOのアルバムと云えば、UFOの代表曲でもある「ドクター・ドクター」や「ロック・ボトム」が収録されているアルバム「現象」を一番に挙げる人も
多いかもしれないが、私はアルバムの完成度では本作「新たなる殺意」の方が上だと思う。
そして、このアルバムがUFOのアメリカで一番売れたアルバムで、ビルボードチャートでも23
位を記録している。 ハードロックで当時のビルボードのトップ30に入るなんて相当大した
ものだと思う。
内容的にも結構バラエティーに富んでいて聴きごたえがある。
UFOらしいハードロックナンバー「トゥ・ホット・トゥ・ハンドル」、美しいバラードの「トライ・ミー」、UFOの代表曲のひとつでもある疾走感のあるハードロックナンバー「ライツ・アウト」、オールディーズな「アローン・アゲイン・オア」、特にラストの曲の「ラブ・トゥ・ラブ」は、最高に素晴らしいバラードで、私的にはUFOの中でNO.1ソングだ。 この曲でもそうだし、アルバム全体を通して大きく目立つ事はないが、このアルバムでもポール・レイモンドのキーボードが、非常にいい仕事をしている事を忘れてはいけない。
そして、UFOのメインスターであるマイケル・シェンカーも、兄のルドルフ・シェンカー譲りのキレのあるリフと、弾きどころでは惜しみなく畳み掛けるが、MSGと比較してみるとUFO時代の
マイケル・シェンカーは、そこまで強くメロディーで押す事はしないで、もちろんマイケル・シェンカーらしいメロディープレイは随所にあるし、マイケル・シェンカー独特のサウンドも既に
しっかり確立されているが、ブルーズやロックンロールなプレイも所々聴かせてくれている。