カサブランカレコード時代最後のスタジオ盤で5thアルバム。
全曲粒ぞろいの秀逸なハードポップのオンパレードなのだが、アルバム全体を通して聴くと同じ
ようなミディアムテンポの曲ばかりで起伏、変化に乏しく、各曲がお互いの良さや個性を相殺しているようにも感じる。 どの曲も凄くいい曲なだけに何か勿体ない気がする。
ちなみにパンキー・メドウスは、エンジェルの70年代のアルバムの中では、本作が一番のお気に入りなんだそうである。
思えばエンジェルは、1stアルバムのブリティッシュな雰囲気が色濃く漂うプログレッシブ・ハードロックから、この5thアルバムのアメリカンなハードポップへと変貌を遂げたわけだが、
ルックスの方もこのアルバム辺りからメンバー間で、もう純白のコスチュームは卒業したいと思っていたのか、中ジャケットにはコスチュームを着てないメンバーの写真が使われている。
このアルバム発売後のライブの方でも、最初の頃は5thアルバムツアー用の新デザインの純白のコスチュームを着ていたが、後の方では純白のコスチュームなしでのライブを行っていた。
でも、やはりそれはエンジェルとしての魅力が失われてしまっていたと思う。 そのライブを観た観客も戸惑ってしまっただろうと想像する。
そして、エンジェルは不運にも、このアルバム発売後にカサブランカレコードの内紛に巻き込まれ活動停止に追い込まれてしまう。 この5thアルバムは、当初アメリカの東海岸でのラジオチャートアクションが良かっただけに大ヒットのチャンスだったが、レコード会社からのバックアップが得られず、十分なツアーもできずに残念ながらヒットにはならなかった。
77年の来日公演のトラブルといい、レコード会社のトラブルといい、直接本人らの責任ではない所で本当にエンジェルは不運なバンドだったと思う。