67.の「小さいから生きていける」で書かせてもらった妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)の妊婦さん。
その後、出血を止める作用のある血小板の値が下がり、ヘルプ症候群という母胎に危険な状態になりました。
一昨日、ご主人から電話があり、
「先生、前の病院では赤ちゃんの対応が難しいということなので、急遽、病院を転院することになり、今T大学病院に救急車で運ばれたんですけど、これからすぐ手術ということになりました」
受話器の向こうの、少し、うわずったご主人の息づかいが感じ取れました。
「ご主人も、どうなってしまうのかと不安でしょうが、血液検査の結果や、今の状態をうかがうと、先生方のその決断は正しいと思います」 「奥さんと赤ちゃん、そして、ご主人も、よくここまで頑張りましたね。25週には1日たりなかったけど、この状況のなかで、皆さんはできだけのことをしたんだと思います。普通の子どもよりは、ちょっと早いけど、お二人のお子さんは、今が生まれてくる時期なんです。よくここまで、来ましたね」 「もちろん、先のこと全てはわかりませんけど、元気に生きていけるチャンスは十分にあります」 「きっと大丈夫! あとはお母さんと赤ちゃんの生きていく力を信じてあげましょうよ」 「そう、お母さんに伝えていただければ、と思います」
「ありがとうございます。そう伝えさせてください。お仕事中に電話して、すみませんでした。まだ、連絡させてください」
ちょっと、ご主人の声も落ち着いてきたようでした。
「いいんですよ。連絡してくれて、ありがとうございました」
そして、昨日、またご主人から電話をいただきました。
「先生、赤ちゃんの体重は臍の緒もいれて470gで、女の子でした」
「今は、呼吸器につながれていますが、でも先生、生まれた時に泣いたんです!」
「えっ~ 24週で泣いた!それって、すごいことなんですよ。普通は、28週でも泣かないんですよ」
「ええ、先生方もそう話してくださいました」
「そう、すごいことなんです。赤ちゃんも、お母さんのお腹のなかで精一杯頑張っていたんですね」 「470gは24週にしては少し小さめだけど、そうやって自分を大きくしないようにしながら、生きる力を高めていってたんだね」
「はい・・ 今のとこと、おかげさまで状態も安定しています」
「そう、よかったね。赤ちゃんは女の子だしね。こういう状況では女の子のほうが生き抜く力が強いんです。きっと、大丈夫ですよ。わたしたち男は、赤ちゃんとお母さんが生きてゆけることを、お祈りしてましょう」
「はい、ありがとうございます。また連絡させていただきます」
「ありがとうございます。連絡をまっています」
ご主人とお話しをしながら、ふたりとも、少しづつ緊張感がほぐれていきました。