昨日、送られてきた【小泉内閣メールマガジン 第230号】かっこいい日本(2006/04/13)
に、福岡県久留米市の聖マリア病院副院長 橋本武夫を先生の特別寄稿が掲載されていました。
母乳の話しは、受け手によって感じ方もいろいろですが、橋本先生は信念をもって、
全国を行脚して、母乳育児について医療者に、お母さん方に話しかけていらっしゃいます。
こうして、内閣メールマガジンにまで掲載されたことに、敬意を表し、
以下に、寄稿文を紹介させていただきます。
[特別寄稿]
● 暖かい心を育む育児への提言 ~おっぱい・語りかけ・そしてHUG~
(聖マリア病院副院長 橋本武夫)
<暖かい心を育む育児のために>
医療の進歩により、日本は世界で最も赤ちゃんの死なない国となりました。
しかし、一方で、虐待はじめ、犯罪、自殺、キレる子どもなどにまつわる社
会問題が急増しています。
このような問題への対策は短絡的なものではなく、乳児期の母と子の絆
(基本的信頼関係の構築)にまでたどりつく必要があります。そして、その
原点は、やはり歴史的にも人間生物学的見地からも母乳育児へと、たどりつ
きそうです。
<歴史的に見た育児の原点「女から母へ」>
昔から、「女は子どもを生んだだけでは母になれない」と言われてきまし
た。「女」が「母」になるためには、女という文字に、ヽヽをつけると「母」
になる。ヽヽは乳首であり、子どもを生んだ女性は乳首を吸われてはじめて
母親になるといわれてきたのです。
この先人の驚異ともいえる経験的な知恵は、現在、新しい科学の進歩によ
り確認され、今、母乳の大切さが再認識されています。
<母と子の基本的信頼関係(人間生物学的見地から)>
赤ちゃんによる母親の乳首への吸啜(きゅうせつ)刺激が、母親の下垂体
からプロラクチン、オキシトシンという母性愛ホルモンを分泌させます。こ
れは母性行動の発達に関与します。そして、赤ちゃんは空腹のストレス状態
から母親に抱かれながら乳首を吸うことにより、至福の眠りへと移行するの
です。
この「哺乳・授乳」を通じての繰り返しが切っても切れない、母と子の絆、
すなわち「基本的信頼関係」を構築し、これが子どもにとっての愛の原点、
心の故郷となっていくのです。
すなわち最近の母乳育児は、粉ミルクと母乳という物質の比較ではなく
「抱いて語りかけて、お母さんの乳首を通しての授乳行為そのものが、育児
のひとつである」という観点から理解すべきであります。
<母乳をあたえられなくても・・・>
母乳を与えられなかった母親は、母親失格か?という訴えが届きます。し
かし、残念ながらそのほとんどは、母乳育児についての真の理解が得られて
いなかったか、母乳を与えることが出来たのに、専門家の無理解による出産
直後の支援の不足によるとも言えます。
やりたかったが何らかの理由で母乳を与えられなかった、ある母親が、
「哺乳ビンで粉ミルクを飲ませながら、私のおっぱいをさわらせていました」
と話しています。これは、乳首を吸わせながらテレビを見ているお母さんよ
りも、まさに、母乳育児の心であり、感動です。大切なのは、母乳をやれな
かった分、しっかり抱いて、語りかけてあげることです。
これが暖かい心を育む育児の原点なのです。
※ 執筆者の紹介
http://www.kantei.go.jp/jp/m-magazine/backnumber/2006/hasimoto.html