この問題のながれを見ていると、改めて、医療のもとで死ぬことって、難しいんだなと感じています。
医師が独断で人の生死を左右してはいけない。これは、もちろん、正しいです。それでも、「殺人罪」の容疑がかけられている、当事者の先生はきっと、人情味のある、患者さん思いのいい先生なんだと思います。いい先生というのは、患者さん、ご家族と関係性や信頼関係をつくれる、そしてその関係を重んじることができる先生、という意味です。
このケースは看護師長が「外科部長が患者さんを安楽死させようとしている」と副院長に連絡したことから発覚したそうです。この師長さんの行動は、病院という組織の中では、もっともなことです。ただ、これだけ大きく報道された今、この師長さんもとてもつらい立場にあるでしょうし、ご自身も、これでよかったのかな、と迷われているのではないか、と察します。
この問題は、当初、「医師は患者、家族の同意を得ずに、独断で呼吸器をはずした」と、その医師の非人間的な側面が強調され、お決まりの病院幹部の謝罪会見が流されました。ところが、発覚のきっかけとなった男性患者の家族が28日、「同意書などの書類はなかったが、家族で話し合い、最終的には(呼吸器取り外しを)口頭で同意した」とする文書を報道機関に寄せらました。
今回のことが法的にどのように解釈されるのかはわかりませんが、わたしは、病院という日常から離れた空間での、とても人間的な行為であったと思っています。そう、信じています。
医師は家族とともにその状況を真摯に考えたから、そのいのちを家族とともに見守り、見送ることを決めたんだと思います。患者さん、ご家族との信頼感関係がきちんと気づけていたから、できたんだと思います。表面的なかかわりであれば、あえてそんな厄介な選択をせず、そのまま呼吸器に委ねておけばいい。
でも、この先生にはそれができなかったんだと思います。