1999年の園児の割りばし死亡事故で業務上過失致死罪に問われた医師の判決公判が3月に東京地裁でありました。裁判長は被告医師の過失を認めたうえで「仮に適切な対応をしても延命の可能性は極めて低かった」と述べ、無罪(求刑禁固1年)を言い渡しました。



このケースに関して、すぐにコメントを載せようと思ったのですが、実は、なかなか書くことができませんでした。まずは、自分が、医師側、家族側、裁判官側、一般社会の側のどの位置に立ってコメントをすればいいのかがよくわからなかったからです。今でも、整理はついていません。
福島の産科医逮捕事件とはちがい、医師に過失があることが前提の裁判でした。医師側からもいろいろなコメントがでていましたが、その中で、4月5日の朝日新聞の「声」への投書は、医師の素直な気持ちが出ている代表的な意見だなと、感じたので紹介させてもらいます。

割りばし事故判決に一安心  医師 I.K(新聞では本名)44歳
園児の割りばし死亡事故裁判で、業務上過失致死罪に問われていた被告に対し、東京地裁は無地判決を下した。
私は正直なところ、ほっとした。本件は脳神経外科専門医である私でも、初診の段階で、完璧な確定診断を得られたかどうかわからない難しい症例であったに違いない。
担当医が確定診断を得られず、園児を脳神経外科へ紹介できなかったのは、確かに臨床医として適切さを欠いていた。しかし、何より、予防が大切なのである。酷な言い方だが、親の監督は果たして十分だったのかという疑問は残る。
救急の現場は、わが身を削って働く医師をはじめとする医療スタッフに支えられている。実際、過労で倒れている医師も決して少なくない。私は被告の診療行為をすべて是認、擁護するつもりはない。しかし、患者を救命できなかった原因のすべてを医師に帰するという見方に疑念を覚える。



もし、私が一医師としてコメントを述べれば、これに近いものになったでしょう。でも、それを書くことはできませんでした。ちょっと、これは自分の立ち位置ではないなと、感じていました。