・・・ただ結果に異常がなければそれでいいのかと感じている自分がいて・・・
私は,竹内先生が竹内先生である根源的なところをここに見ます。障害か,死か,というリスクのあった出産で,その出産体験を最初に共有することになる医師の先生がこのような感じ方,考え方をされる方であったということに,どれだけ深い安心感をもって臨めたでしょうか。
歩,恵さんのお母さん(Aさん)、こんばんは。コメントありがとうございます。
妊娠29週の双胎(ふたご)の切迫早産で、前に勤務していた葛飾赤十字産院に救急車で
搬送されてきたAさんとお会いしたのは、もう6年も前のことでしたね。
(医療関係者の方はよかったら、ペリネイタルケア310号2005年7月号24(7) P45-50『切迫早産妊婦の不安にどう寄り添うかーあなたもあなたのままでいいのですー』竹内正人 をご覧ください)
あのとき、お腹の中にいるふたりの体重差が大きくて、特に小さいほうの子の心拍は悪く、
診察させていただいたあと、わたしは正直、助けることができないだろうと思いました。
もうひとりは、元気でしたが、それでもまだ妊娠29週。生まれるにしては、少し早すぎる。
そんな状況で、どうすればいいんだろう? すぐに帝王切開をすべきなのだろうか?
本当に悩みました。
周囲、すなわち、医療的にはすぐにでも帝王切開をすべきという意見が大半でした。
でも、わたしには、そうは思えなかったのです。
Aさん、ご主人とともに、医療を超えたところで話し合い、お腹の中でなくなることも覚悟したうえで、ふたりをそのまま見守ろうという選択をしましたね。それは、周囲からはなかなか理解をされない
選択でしたが、今に至るまで、わたしは一度もその選択を後悔したことはありません。
・・・現場で自分の価値観を話すことがいいこととは思えないのですが・・・
先生は,それでも,話してくださいましたね。一言垣間見せてくださっただけでも,十分でした。今から思うと,医師として,というより,人間として,不安を前にした一人の人間にくださった励ましだったのかもしれません。あのとき,人間として,信頼できる先生に出会えた,ということに,深い感謝でいっぱいでした。竹内先生への信頼は,あれから,誕生死をテーマに取り組んでおられるということを知ってますます深まり,ブログを読ませていただいている今もずっと続いています。
そうでしたね。話しましたね。でも、Aさんとご主人さんだから、話せたのかもしれません。
あの時もそうでしたが、わたしには医療だけで方針(運命)を決めていいんだとうかと
思うことがたびたびあるのです。人間的には、それは決して悪いことではないと
思いますが、今の医療現場で働く医師としては、ある意味、それは欠点なのかも
しれません。医療はあくまで科学ですが、いのちを見つめ、見守ることは、
理屈や科学を超えているからです。
医療者が医療者であるうちは、医療者同士、さらには、患者さんといのちを語ることは
難しい。医療をこえ、科学をこえ、ひとりの人と人として向き合わなけば、真の意味で
いのちの現場でいのちを語ることはできない、と、わたしは思っています。