「happybirthday❗私も50代です、もう後半ですが。
早速ですが、主人が急性骨髄性白血病、骨髄異形性症候群です。バンクはドナー見つからず、さい帯血移植するかしないかで悩んでます。」

というコメントを頂きました。

 

状況が判らないので場合分けすると、

1,MDS(芽球20%未満)と診断→経過観察している間に徐々に芽球が増えて、20%超えてAMLを言われる→抗がん剤→芽球が20%を下回ったけれどもきれいに無くならなかった→MDSと言われる(最初からMDSの可能性大
2,MDS(芽球20%未満)と診断→あまり時間をおかずに芽球20%超えてAMLを言われる→抗がん剤→芽球が20%を下回ったけれどもきれいに無くならなかった→MDSと言われる(難治性のAMLの可能性大

3,最初からAML(芽球が20%以上、通常60%とか80%とか)→抗がん剤→芽球が20%を下回ったけれどもきれいに無くならなかった→MDSと言われる(難治性のAMLの可能性大

4,MDS(芽球20%未満)→ビダーザによっても芽球が減らずに増え続け20%を超える→抗がん剤→芽球が20%を下回ったけれどもきれいに無くならなかった→MDSと言われる(どちらか分かりにくい)。

こんなものでしょうか??

 

以前に骨髄異形成症候群に関する誤解 という記事に書きましたように、急性骨髄性白血病(AML)と骨髄異形性症候群(MDS)とは性質の異なる病気です。似ているところもありますが……。

急性骨髄性白血病なのか骨髄異形成症候群なのかで抗がん剤の効果の出方は大きく異なります。ほとんどの急性骨髄性白血病には抗がん剤が比較的よく効きます。ですから寛解もあれば寛解後地固めまで上手くできれば完治も望めます。また抗がん剤が比較的よく効くので、移植の成績も骨髄異形成症候群よりずっといいようです。再発率もMDSより低いようです。
若い方であれば、戦える病気といえると思います。70代の方でも移植を乗り越えた方も何名かいらっしゃいます(但しMDSになっていますが)。勿論リスクはありますが……、追い詰められたら移植も選択肢にいれる価値はあるかもしれません。

(ただ生存率に関しては、実際のところが分からないので、分からないとして言えませんが。)

一方で、もともとが骨髄異形成症候群であれば、抗がん剤が一時的にしか効かないので、移植の成績も悪いです。

 

低リスクであれば移植の生存率は比較的高いようですが(実際のところは分かりませんが)、一方で低リスクであれば10年生存率も90%を超していることから移植するメリットはないといえるでしょう。ウチの患者さんは比較的重篤な方が多いですが、1割程度は最初からずっと低リスクで経過観察の方々もいらっしゃれば(1番長い方ですともうすぐ20年です。)、さらに1割程度は中リスクだったけれども治療によって3ヶ月や6ヶ月に1回、検査に来る程度まで回復して経過観察になったという方々もいらっしゃいます(中には他院で3年保たないと言われて、もう11年という方もあります)ので。

高リスクの場合もほぼ成績は同じですので、こちらも移植するメリットはないでしょう。ただ、高リスクの場合、ビダーザが効くか効かないかで大きく生存率が分かれるので、死を恐れて移植に飛び込む方々の気持ちも理解できないことはないのですが……。

なによりもこの病気で辛いのは、本人も家族も努力の仕様がないということでしょうね。まあ、どんな病気でもそうですが。

 

さらに臍帯血はドナー移植などに比較しても生着率は極めて低く、さらに再発の可能性はかなり大きいようです。

 

今まで私が見聞きしてきたことから推測するに、MDSの場合、移植しても完治(病院と縁が切れて元の生活に戻れる状態)は多分無いにしても、少しでも長く生きていられるかどうかは多分、運と体力と気力で決まるのでしょうね……。

 

ごめんなさい、ぱっとしない話しで……。正直なところ……こんな話ししかできません。

前にも書きましたが、いずれにせよ、私たちは夢を語ってもしょうがないので、地道に前向きの気持ちで個々の患者さんの治療に取り組むだけです。勿論、限界はあります。しかし、最後まで諦めないで、生き抜くつもりで治療に取り組む患者さんと共に、頑張って行きたいと思います。