いろいろなお話を書いていますが……、作り話だと思っていた方もいらしたらしい……ショック!移植で完治ってのが一番の作り話だと思っていたが……。

 

これも作り話ではありません。2年くらい前の話です。

ある相談電話で、ある患者さんが、

「家族からなんで移植をしないの?なんで生きるのを放棄するの?子供のためにたたかわなきゃ!!と言われて辛い。夫からも、両親からも、姉妹からも責められる。いろんな人のブログを見ていれば、途中で止まっているのや、家族が亡くなりましたって書いているのばかりじゃないですか?生きている人だって、MDSだと再発していない人ってほとんどいないし。私は再発したって再移植する体力はありません。そんなことを調べもしないで、テレビのコマーシャルを真に受けて、私を非難する。大変な思いをするのは私なのに。子供のために少しでも長く生きていたいから、移植をしたくないだけなのに…。」そんな訴えを聞きました。

 

彼女はその後どうしたのか分かりませんが…、移植をしないですんで、ちゃんと治療を受けて、子供さんのお世話をしていることを祈っています。よく思い出す方の一人です。低リスクだったので、移植さえしていなければまだ生きていらっしゃると思うのですが…。まあ、低リスクだったので移植していても体が強ければ、早期死亡は避けられるかも。うまくいけば生きてはいらっしゃるかもしれませんが、年齢を(40台半ばくらいかな??)考えればどうだろうか?再発していれば……。

 

私たちが「骨髄異形成症候群に移植」は良い結果は得られないと言い出すまでは、ほとんどそんな声は聞かれませんでした。移植すれば簡単に治るっていわれた患者さんもいるんですよ~、会社の産業医に。まあ、医学部じゃ骨髄異形成症候群は15分程度しか習わないし、国家試験にも多分出たことないし??ついでに自分のことじゃないから関係ないしねえ。

 

そういえば、50代前半の大阪の女性、低リスクで移植して、2ヶ月で再発して、退院を迫られて(これはよくありますよ~、そして生存曲線では観察終了+永遠に生きている)、それを回避するために死にかけているような状態で臍帯血移植のために全身に放射線をあびて、苦しみながら苦しみながら移植されて(臍帯血は5~10分の点滴です!これは簡単ね!)、そして苦しみながら5日後に亡くなった方……もいました(移植後8ヶ月でした)。セカンド・オピニオンにいらしたときは再発してて、ご両親は移植前にもどっただけだと思われていました。本当に可哀想。ドナーになったお姉様も妹のためによかれと思ってのことだったのに。

 

そういえば、弟のためにドナーになったお姉様が「自分がドナーになりさえしなければ、弟はあんなに苦しみながら死ぬことはなかったのに…。あれほど苦しまないと死なせてもらえないのか!!」と弟さんが亡くなった今でも苦しみ続けていらっしゃいます。弟さんによかれとドナーになったのに!!!

 

いろんな話しがあります。作り話だったらいいのにね……。だれも主人公になりたくない話。

 

生きている人の声は大きく、多くの亡くなった人の声はない…、まさしく死人に口無し。