「星を継ぐもの」を読みました
1977年に
アメリカで書かれたこのSF小説
映画を観ているように
読みやすく
おもしろかったです😄
なんというか
300ページとわりと短い話のなかに、色々ギュっと詰め込まれてるけど、無駄は削ぎおとされて、完成されているような気がしました。
そして
物語中の謎が、実際の科学的な謎ともリンクしていて、そこにSF的な答えを出してくれる
そんな面白さもありました😄
ここから
細かく感想書きます
見たくないかたはスルーしてください
(* ̄∇ ̄)ノ
この小説を読んで
いいなと思った点をあげるなら
・映画を見ているような面白さがあること
・全体主義などイデオロギーを越えた中立的科学的立場の重要性を説いていること
・組織を運営して問題をうまく解決する方法を述べていること
・科学的な内容にも関わらず、文章の表現の仕方も素晴らしいこと
なんかだと思いました
冒頭まず最初に
宇宙のどこかの星で彷徨う2人が出てくるんです。
一人は人間かな?そしてもう一人は宇宙人みたい
この2人には友情があるみたいだけど、人間の方がいよいよ力尽きて動けなくなっちゃう
宇宙人は必ず助けに来るから待ってろって去っていくんです。
これ読んで
なんだこれ?どこだ?だれこれ?って引き込まれるんです。
その後すぐに場面が変わって
近未来2028年ごろの世界が主な舞台になるんですけど、いつこの最初の場面に繋がるのか?ずっと気になりながら続いていくんです。
この近未来の世界では
飛行機が自動操縦で好きな所へ行ってくれたり
月に基地がたくさんあったり、火星とか木星に宇宙船を送ったりしてるんですけどねー
そのディテールもけっこう細かくて、そのやり取りはなんたら信号をどこそこに送って、減衰した信号をそこで増幅、またどこそこに送ってー
とか
メタンの充満する木星の衛星ガニメデでは、作業するときにまずアルゴンって気体を注入してとかー
月に大口径望遠鏡を作れば、自重による歪みや、大気の邪魔がなく、うんぬんなんて話も出てきてSFが多少でも好きならワクワクする内容でした😉
そんな話のなかでも
ある重大な発見をするときのカメラワークがたまりません🤤
カメラワークって小説で変ですけど
実際カメラで撮ってる場面なんすね
ガニメデである宇宙船に潜入するときにカメラを持っていって、その映像を見てるかんじで話は進むんですけど、頑丈なブーツが映って、ブーツの主はかがみこんでるようで、そのあとカメラが揺れて、なんだあれは!?って映し出されたものは!?
ってこの辺はほんと映画を観てるようでワクワクしました
あと
話のなかで見えかくれする作者の主張があって
多分
イデオロギーとか民族主義よりも科学的進歩こそが世界をよくすると、そんな想いがあるんだと思いました。
ミネルバという星は、全体主義的な世界で
資源を求め 常に戦争をしていて最後には滅んでしまうんです。
対立によって地球よりもずっと進んだ科学技術でしたけど、結局はその科学技術を使って滅んでしまうんです
五万年まえ
こんな世界で
戦争の末死んだチャーリーが
日記に記していた
「もっと意味のある生き方がどこかにあるはずだ」
これが印象的でした
1977年ですから、冷戦だったり、ベトナム戦争だったり、時代的な背景も影響してるんですかね。
作者は電気工学とか機械工学を學んだらしいですから、その辺もあるかも
さらに作者はエンジニアとして働いていたそうです。
その影響もあるのか
組織運営についても書いていました。
五万年前の宇宙服を着た死体が見つかって、その調査に、色んな学者が来て、それぞれに持論を唱えるんですけど、
それがもっともらしいけど、実は憶測のいきをでないものだったり、妙に押しばっかり強すぎて、他のみんな黙ってしまうけど、実は他の可能性もあったり。
みんな優秀ではあるけど、どうにもまとまらない。
そこにコールドウェルという重役が
他からハントという主人公を連れてきて、何気なくみんなに会わせたり、発言を促したり。
ハントは冷静で科学的、中立的な人物で
それは実はこうなのでは?って閃いたり
色んな学者に話を聞いて、実は言語学者が発見していたある事実を数学者が知らなくて、それを使えば新たな事実が解明されたり。
そこに新たな発見があって
また謎が増えるけど、またある時解明されさたり。
大所高所から包括的にみる能力がハントにあるとみて、そこに持ってきたコールドウェルの手腕。
こういうのが適材適所の人事っていうんでしょねー
まさかSFでこんなこと思うとは😁
このハントと合わない生物学の教授がいるんですけど、2人ともめちゃ優秀
この2人をコールドウェルは共にガニメデへ送るんです。
そこには新たに大きな謎が待っている
そして地球から遠く離れた心細い場所。
そこで生物学の教授ははじめて、ハントに向かって冗談を言って2人は協力しはじめるんですねー
個人的な反目をやめて、能力を寄せあい問題を解決するために、共通の課題の大きさが個別の問題を圧倒する状況に二人を追い込んだんだそうです
この組織運営?はまあ物語とはいえ、説得力があって ほほーっって思いましたよ
最後
この作者、エンジニアなのにも関わらす
文章の表現に心揺さぶるものが多々ありました。
宇宙基地から
ガラスの向こうを見て
「外に出ればたちまち一塊の石炭のように黒く、またガラスのように脆く凍てついてしまうであろう」
その心細さ
厚い氷の中で
「無垢の氷を穿ちあるいは融かして作った大伽藍のような…」
その偉大さ
ハントが学者たちに投げ掛ける
「研究者たちの只中に今一つ知識の手榴弾を…」
ガニメデから木星をみて
「頭上を仰いでハントは思わずあっと息を飲んだ。そこには地球から見た月の五倍の大きさで… 木星は絢爛たる輝きで夜空を満たしていた。…不変不動、そして永遠なその姿。ほんの数秒、あるいは数時間だったろうか、ハントは時間の感覚を失っていた。」
天啓のように閃くさま
そういうのがまざまざと伝わってきました。
最後に
大きな謎はとかれて
どんな困難にも負けないその宇宙の民と地球の人間とが重なり
人間の強さについてかたって物語は終演へ向かいます。
そして
エピローグ、舞台はまたかわって
そこで無造作にみつかったあるものから、、
あ、そうなの!?
え?
ん?
あー!
みたいな感じで悪寒が走って読み終えました。
この話
じつは三部作(+α)なんで続きがあるんですよ
なので
少し謎を残しつつ終わりました
この辺も
映画っぽかったですね~
なにわともあれ
取り敢えずおわって
とてもおもしろいと思いました、
読みやすいんで
興味あるかたにはオススメです
以上
長々と見ていただきありがとうございました😆
ではでは