”むかしむかし” | バイクとCAFEと

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これらを愛する俺は、自由に飢えているのかもしれない… ( ̄ー+ ̄)キラーン


つづき




おばあさんの不倫現場に
遭遇してしまったおじいさん


激昂して
叩き割った博士から
葉加瀬太郎が生まれ



我が子のように
育てる2人であったが…











おばあさんは思う



なぜ
この人は私を責めないのだろう?
責めてくれたら私、少しはラクになるのに…

ああそんな!
私がラクになろうだなんて
そんな事を考えてはいけないわね
私が悪いんだもの…


でも、

一生このまま
こんな想いを引きずらないといけないのかしら…






おじいさんはおじいさんで

自分は優しくて物分かりのいい
人間として生きてきた自負がある


なのに

なのに
この感情はなんだろう?

胸がはち切れそうだ
夜眠れないこともある



いや!

いや…
ゆるそう
女房もつらいんだ

女房をあんな行為に はしらせた
自分にも責任があるんだ!



でも…







そんな2人の
言うに言えない気持ち

そのはけ口は
やがて葉加瀬太郎にむけられる事となった…









おじいさんは
葉加瀬太郎が成長するにしたがい

だんだんと、あの博士に似てきた気がして
イライラしてしまう


そして

時に手を出してしまう


そんな自分が信じられないおじいさん

これは
葉加瀬太郎のためなんだ!
太郎の幸せのためなんだ!


そう
自分に言い聞かせるかのように
太郎に同じ事を言いながら

教育という名の折檻を繰り返すのであった…







おばあさんも
また
そんなおじいさんの変化に気付く


何度か
葉加瀬太郎をかばった事もあったが

その度ごとに
おじいさんの怒りがエスカレートするのが
分かる

おじいさんの目を見ると
「やはりお前はワシより博士を選ぶのか!」
そう言っているかのように思えた


やがて
葉加瀬太郎をかばう事をやめ

同じように
教育という名の共謀に手を染めるのであった…










やがて

18年という月日がたつ





2人の
歪んだ教育と

もって生まれた才能によって


葉加瀬太郎は立派に成長した





「おじいさん、おばあさん、
僕!鬼退治に行ってきます!」


「おお!そうか!ついに鬼ヶ島へ旅立つのか!」
「じゃあ吉備団子を作りましょうかしらね~」



「いいえ!僕は鬼ヶ島へは行きません!」



「え!?…」




驚く二人を尻目に

葉加瀬太郎は
おもむろにバイオリンを取り出し、
東京芸大仕込みのテクニックでひきはじめる



チャ~♪ラ~ララ~♪



「お!おおぉぉ…」

すると
おじいさんとおばあさんは
頭を抱えて苦しみ始めた

「な、なんなんじゃ… こ!この音色は…あ、頭が割れそうじゃ…!」
「く、くるしいわぁ…!」


「ぐ、ぐわあぁぁ…!」
「きゃぁぁぁ…!…」













「な、涙が…?」

2人の目から、大粒の涙が、止めどなく流れ落ちる。

何年ぶりの涙であろうか?



考えてみれば
あの事件のあと
泣いたことなど一度もなかった。



そんな
久しぶりの涙を流すと同時に

2人の顔は穏やかになった
まるで憑き物が落ちたかのようだ


「ごめんな葉加瀬太郎、ごめんな婆さん、ワシはずっと悔しかった、それが認められず、お前たちにあたっていたんじゃ…」

「いいえ、私こそごめんなさい。ほんとは責めて欲しかった、そして分かりあいたかった。そんな身勝手な考えで、あなたたちを苦しめた…」



膝をついて
抱きあう二人







そこへ
寄り添い

二人の肩に手をおいて

葉加瀬太郎は言った


「もう大丈夫だよ」「退治したから…」

心に住む鬼をね!!






チャッチャッ
チャーラーラー♪


チャララチャラッチャラッチャラ~♪


チャチャチャ

チャラッチャラッ


チャッチャッチャッ!












めでたし




めでたし…









ながながすまん…!ゲロー





ではでは


4月9日より