2024 SPRING COUTURE CHANEL | 服好き・ゴルフ好きMDのファッション忘備録

服好き・ゴルフ好きMDのファッション忘備録

業界歴30年超え、セレクト取締役MDのち現在フリーMD

いくつになっても PREPPY STYLE...
Twitter:PREPPy



シャネルジャケットの下には裏地付きシアースカートでタイツ見せ



シャネルコートにもポケット下にシアー素材乗せ



シャネルツイードワンピースのスカート部分にはシアーさんでタイツ見せ



スカートはベルト部分だけシャネルツイードでスカートは黒シアー素材



シャネルツイードスカートの上からシアー素材



シャネルツイードのベルトとポケットにシアー素材


って、ほとんどタイツ姿だけど



シャネルツイードの裾と袖にシアー素材



シアー素材パンツ



シアー素材スリーブとスカート



シアー素材ボリュームスカート



プリントトップの上にシアー素材ドレス



 顧客とメゾンとの親密な関係で作られるオートクチュールといえども、モダニズムから逃れることはできない。顧客とメゾンとの閉ざされた世界にとどまっているだけでは、いずれ保守的でマンネリなものになりかねない。絶えず時代と切り結ぶことはオートクチュールにも必要なこと。シャネルの24年春夏を見て、改めてそんなことを考えさせられた。

 キーとなるスタイルは、白いタイツやボディースーツと組み合わせたもの。ショーの冒頭に登場するのは、シャネルのアイコンともいえるツイードタッチのジャケット。しかしボトムはチュールをかぶせながらも白いタイツをあらわにする。ふわふわのフラワー刺繍をつないだような繊細なジャケットにも、シャープな白いタイツでコントラストを利かせる。サテンとビジューのミドリフトップのスーツは、下に着たボディースーツと組み合わせる。ビジュー刺繍を飾ったブラトップとボディースーツのスタイルもある。

 繊細な手仕事の技を生かしたトップに対して、削り落としたミニマルなボトムライン。それは、昨今の体のラインをあらわにする「ボディープライズ(体への称賛)」のトレンドと重なって見える。ミドリフトップでウエストをのぞかせ、タイツで脚線美をアピールするトレンドだ。コンサバティブと思われがちなオートクチュールの世界で、ボディーラインを強調するスタイルをどこまで取り入れられるのか。そんな意図を感じることができる。

 ココ・シャネルの時代、このブランドはひざを見せることさえ良しとしなかった。カール・ラガーフェルドに代わって、初めてミニスタイルが登場した。そして、ヴィルジニー・ヴィアールは大胆なボトムレスを彼女流の解釈で表現した。それはクチュールをバレエとダンスの世界と結び付けたもの。「身体と衣服が持つ力と優雅さを、チュールやフリル、プリーツ、レースで構成された、極めて軽やかで優美なコレクションに集約させようと試みました」とヴィアール。

 常に外部からの刺激を得て美しさの有り様を進歩させようとする姿勢。それが伝統を進化させることにつながる。