若い頃は赤い色が好きだった。黄色やオレンジ色や濃いめのピンク色もわりと好きだった。老け顔で若いのにおばさんに見られることが多かったので、パッとした顔映りのいいような色を好んだのかと思う。赤や黄のTシャツやセーターとかよく着た。

さすがに今は赤や黄のものは似合わなくなった。それでも色は好きなので、ハンカチとか靴下とかマフラーとか小物はそういう色を選ぶ。歯ブラシはずっと赤いものを使っている。

一年ほど前に財布を買い替えた。それが赤い財布。その前に使っていた財布が緑色だった。緑色はあまり好きではなかったけれど、赤い財布は赤字になるというから緑色にした。

別にお金はそれほど貯まらなかったしそれほど減りもしなかった。だから次は好きな色の財布にした。何色の財布ならお金が貯まるのか知らないけれど、迷信を真に受けなくてもよかったな。

その赤い財布、実はここにきて別のものに交替させたいなと思い始めた。

買う時に少々奮発して、本革のかなり立派な大きさのものを選んだ。この先長く使いたいというのもあったし、本革なら使っていくうちに馴染んで艶が出てくる…そういうのに憧れた。

けれど革は重かった。ことに最近は更年期で手がこわばることもあり、重い財布が扱いにくく感じる。革は確かに手に馴染んではきたものの、もっと軽い素材のものに替えたくなった。

何も本革でなくてもよかったのだ。合成皮革でも布製でも革より軽いだろう。それに長財布に拘っていたけれど、二つ折財布の方がバッグの中で場所を取らない。

とにかく軽いもの。コップひとつお皿一枚に至るまで軽いものを求めるようになった。

何だかどうでもいいことだけれど、ついあれこれと迷ってしまっている。他にもっと考えなければならないことがあるような気もするのだけれど。




赤といっても暗めの赤なので派手さはない。一年経ってその色も深みを増し傷もついてきた。

買い替えたいなどと言いながらも、ようやく手に馴染んできたこともありもう少し使ってみようかとも思わなくもない。まだまだこれから味が出てくるのか。