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日々

とくになし

早いのだ。

一週間がカッと目を見開いた竹中直人に乗りこなされている

裸馬の全力疾走なみに早いのだ。

 

会った事はない人なので、誰が言ったのかは思い出せないが

『光陰矢の如し』って言葉があるじゃないですか。

これホントですよ。

『光陰矢の如し』を身近に感じてる人といったら多分

撮 り 鉄 かもな。電車って早いからねぇ~。

アレよく写真に撮れるわよね。

 

光陰矢の如しって、ちょっとバカな子は性的な体位的な事を言ってるのかと

思っちゃうかもしんないけど、過ぎ行く時の速さの事なんですよ。

昔の私は性的な意味かと思っていたんですけどね。

 

 

この数年で私にとっての一番の事件は老猫しーちゃんが夫の誕生日に

22年の老衰で息を引き取った事だ。

本当に飼い主孝行の猫だった。

 

今夜が山だな…と思いつつ、苦しそうな寝息をたてているしーちゃんの

横で私はうつらうつらしていたのだが、急にハッキリと目覚め

「しーちゃんは世界一の猫だよ、立派だ…もう頑張らないで良いよ」と

痩せた身体を撫ぜた途端に「ふ~…」と大きなため息をついて

しーちゃんはあの世へ。

魂の抜けた瞬間がハッキリとわかった。

私のようなダメ飼い主にきちんと見送らせるとは、義理堅い猫だ。

初めて会った日から子猫時代のあれこれからイマワの際まで

きちんきちんとしていた学級委員のような猫しーちゃん。

 

 

でも今年まで悲しさに泣き暮らす事はできないようなワッサワサな日々だった。

時間が経った今、悲しさは薄れているが「もっとこうしてやれば」という

後悔が多々ある。しーちゃんの尻尾に触りたい瞬間は毎日何度もある。

 

この数年は気持ちにも時間にも余裕がなかった。

 

家庭に問題のある中学生男子と高校生女子の子供を引き取って育てている最中だったし、

10年以上の親友とは絶縁宣言のケンカ別れをしたし、夫はイボ痔が再発し

「ベイビー…塗ってくれないか…」と一日に何度もマジメな顔で薬片手に

追いかけてきた。

「おとうちゃん、もうヤク中だね…」としみじみしながら綿棒とゴム手袋を

スッと装着する私は白い巨塔、いや白い巨乳だった。

 

 

そして義父はガンの闘病患者となり、抗がん剤治療の為に

高齢の為、歯からのばい菌だかを防ぐ為に全て抜歯したのだが

すぐに恐ろしい程に 真 っ 白 の入れ歯を注文し

ハゲ頭は黒人男を弱くすると言い張って真っ黒なアフロの高額カツラを発注し

義姉は激怒で私にグチ電話してきた。

 

義姉と交代で看病に行く私を(2週間に一度・8時間の運転で義父宅へ)

「ヘーイ!」と出迎える義父は、どう見てもソウルトレインのダンサーなのだが

90歳を過ぎた闘病患者。

高齢なのでガンの進行よりも老いが勝ち、今は元気というか何というか

カツラのアフロと入れ歯を日々つかいこなし、私のあげたユニクロの

ヒートテックを満足そうに着て大雪の中、散歩に出かけたりしている。

(同居中の義姉の激怒のグチ電話は週に5回で落ち着いてきた神様ありがとう)

 

夫は60歳となり、たまにコソコソと女遊びをしているのを

「おとうちゃんも元気になったな」と私は面白いなーと思い

横目で見ている。

イボ痔は引っ込み、断酒も12年を超え、社会的地位も少し出来て

良き家庭人となった夫が私はとても好きだ。

 

あとは、そうね…引き取った中学生男子は変わらぬ問題行動の為、

裁判所命令で我が家から専門家のいる家庭に引き取られてしまった。

 

その姉である女子高生(当時)は私とすったもんだしながらも

何とか高校卒業、今はすっかり我が家のお嬢ちゃまとなり

カレッジとバイトで毎日忙しそうな青春に日々を送っている。

彼氏はザ・スパイダースの井上順にそっくりな男性ホルモン系だ。

私にも非常に愛想よく、ゲーセンではダンスダンスレボリューションを

本気で激しく踊る好青年なのだ。

 

家で引き取った際にお嬢ちゃまの連れてきたチワワは全く私に懐かず、

オヤツの時以外は、私を 睨 み エ ズ く 程に吠えまくる。

 

だが、お嬢ちゃまは忙しいので私がほぼ面倒を見ている。

 

今日もこの悪魔のようなチワワの為に私はチキンスープを作った。

誤飲を防ぐ為にグリーンピースも白菜もつぶしてスープに混ぜ、

レイチェルレイ監修の『腸に問題のある小型犬』用のドッグフードと

混ぜ「はい、どーぞ」と食べさせ、床の粗相を掃除し、散歩をさせ

関節炎の炎症(チワワが関節炎)を防ぐ為の薬を混ぜ込んだクリームの

オヤツも歯みがきガムを柔らかくしたオヤツも犬用サラミも与えた。

だが、私に嚙みついて「嫌な思いをさせてやる!」と決意したチワワに

唸りまくられ威嚇されまくった。

 

今、アメリカは夜中の3時。

私のベッドで寝る!と決意したチワワがやってきて

「抱っこしてベッドに入れてよ!アンタ何やってんの!?」と

吠えまくって私を起こした。

関節炎のくせにジャンプしながら、だ。

この犬は仮病の演技で私や夫を騙しているのだろうか?

 

何て嫌な犬なのだろう…

ベッドに置いてやり、このブログを書いている今、

抱っこしろ!一緒に寝そべれ!と鼻を鳴らしたり吠えたりしている。

「NO」と言ったら、シーツを引っ掻き、吠え、目玉が飛び出そうになっている。

何て嫌な犬なのだろう…

小さな頭を撫ぜたら、大昔にDVが原因で逃げるように別れた男の事を

思い出した。あの野郎の生まれ変わりなのか、そうなのか?!

いや、あの野郎はまだ生きているな…生霊か?

 

チワワのせいで精神修行のような毎日だが、私はダラダラと家のあちこちで寝そべって

過ごしている。

非常に満足している。