早朝5時40分。
オットを職場に送り届ける。
朝7時30分。
スカちゃんを後部座席のチャイルドシートにくくりつけ
バカのスーを職場に送り届ける。
午後2時30分。
グズるスカちゃんを後部座席のチャイルドシートにくくりつけ
オットを職場に迎えに行く。
午後4時20分。
昼寝中でグッタリしたスカちゃんをチャイルドシートにくくりつけ
オットを大学に送り届ける。
午後5時過ぎ。
もはやドライブ大嫌いのスカちゃんを…くくりつけ…
バカのスーを職場に迎えに行き
バカのスーの要望でスーパーなどに寄り道し
車中で30〜1時間半ほど待つ。
午後8時〜9時。
オットを大学に迎えに行く。
Uberのドライバーだったら数十万円は貰えるであろう
この運転手生活!
腹立たしいばかりだ。
オットの車が壊れて早1ヶ月。
修理に出したがエンジンに問題があるらしく、取り寄せに
時間がかかっている。
燃えりゃイイんだ、あんなトラックよぅ…
こういう時、つくづく自分に超能力とか念力がない事を
悔しく思う。
そういうパワーがあれば、屑鉄のようになっている
オットの愛車を木っ端微塵にして燃やし
スカちゃんが気に入っている猛烈にうるさい怪獣オモチャも
音が出ないようにし、バカのスーの携帯電話も破壊し
ついでにスーの筋肉質な喉と声も出ないようにしてやるっちゅーのに…
軽く中古車を買えるくらいの修理費用なので
思い切って新しく買い直せば?と言っているのだが
オットは愛着心&執着心の塊になっていて
「絶対に買い換えない!」と言い張り
「他の車を運転したくない!」とも言いやがり
レンタカーも借りずに過ごしているせいで
私はお猿の電車のように細々としたタイムテーブルで
運転手生活をしている訳だ。
私の住んでいる地域では車が必須アイテムだ。
小さくレトロな観光バスは運行しているものの、町民の役には
全くたたないルートをトロトロ走っているだけ。
アメリカの片田舎なんてのは、そんなモノだと思う。
子守りをしつつ数時間単位で運転手をやるというのは
非常にキツい。
何がキツいって、スカちゃんのフラストレーション。
可哀想にTVを見ていても「あ、迎えに行く時間」
座ってノンビリおもちゃで遊んでいても「あ、迎えに…」と
いちいち遮られるので落ち着かないのだ。
この1ヶ月、スカちゃんはしょっちゅう金切り声をあげている。
子育て中の主婦の方々はどうやって
子供にストレスを与えずに時間のやりくりをしているのか?
いやはや。
週末だけはノンビリかと思いきや
バカのスーがブレイズをしに美容院へ行く送り迎えや
スーの次女が「弟スカに会いたいし!」と
泊まりに来たがるので、1〜2時間かけて
大学の寮まで迎えに行ったりとバタバタしている。
オットは自分の姪っ子家族の事だが我関せずを貫き通している。
それは、バカのスーと話していると喧嘩になったり
腹がたつと言う事で、すべてを私に一任しているのだ。
この1ヶ月、そんなオットを黙認し
バカのスーの傍若無人な態度もやり過ごしてきた。
そんな中、先々週は大型ハリケーン注意報の為に
買い出しやら、家の屋根裏補強やらといつも以上に
私はウロウロしていて、グッタリもグッタリの
キング オブ グッタリな初老ババアになっていた。
疲れを引きずったまま先週・今週を息も絶え絶えで過ごした。
そして昨日。
注意力散漫になっていたようで、私は生まれて初めて
『鍵』をなくした。
車のスペアキーと、家・郵便ポストの鍵、友人宅のスペアキー
などがジャラジャラとついた鍵をバッグに入れていたのだが
それがどうしても見当たらない。
こういう時は悪い事は重なるもので、何かと失敗をしやすいので
運転にも気をつけ、火の元、ガス、食事の支度中も
足元に転がるスカちゃんに注意していた。
で、今朝。
オットはダイニングに座ってTVショッピングを凝視し
私は皿を出していたら…
バカのスーが朝ごはんの支度中の私に
「ねえ!マアおばちゃん!スカのオデコにアザが出来ているんだけど
何があったの?!どっかにぶつけたの?!どうして昨日
言ってくれなかったの?!どうしたのコレ?!」と
二階から降りてくるなり
私を 怒 鳴 り つ け て き や が っ た の だ 。
『…アザ?昨日言ってくれなかった?
アザねぇ…彼女は昨夜スカちゃんとお風呂に入った時に
気がつかなかったのだろうか?』
「アンティ〜」と甘えてきたスカちゃんのオデコを見たが
特に何もないように見える。
「アザ?わかんないなぁ。どこ?」とスーに聞くと
「ここ!ほら!」と指さすのだが、いまいちわからない。
日焼けでより黒々としたスカちゃんは天津甘栗のようで
何とも可愛い。
ツヤツヤしたオデコに異変は見受けられない。
「アタシわかるのよ!母親だから!アザできてるよ!」と
興奮気味なクソ・ビッチでバカのスー。
抱き上げて、よーく見てみると何となく青っぽいような…
そうでないような…
「私、目が悪くなったのかしらねぇ。よくわからないなぁ。
昨日痛がってる様子はなかったし。」
と朝の抱っこで、のたくるスカちゃんを床におろして答えたが
バカのスーの『私、子供の事なら何でも気がつく母親なのよ』面と
何やら”私”がスカちゃんに怪我をさせたような言い様に
急 激 に 怒 り がこみ上げてきた。
この1ヶ月のオットの『送り迎え当たり前だろ』的な
思いやりを感じられない態度。
バカのスーと自分は関わりたくないと、何でも伝達事項を
私に頼むオット。
夜更かし電話やTVで朝が弱いスーを起こして
弁当と職場で食べる朝食をセットし、遅刻させないように
嫌いな高速道路をヒヤヒヤぶっ飛ばして運転する私の横で
ノンビリ顔で髪をいじくるスー。
帰宅後のスーにスカちゃんが「マミー」とまとわりつくと
「疲れてるんだから勘弁してー」と携帯片手に
二階のトイレに行き、タバコを吸いつつギャーギャーと
バカ友達と1〜2時間は話し込む、スー。
(その間スカは悲しみのせいか、ずっと私に抱っこをせがむ)
偏食で食が細いスカちゃんに自分では冷凍ナゲットやピザしか
与えないくせに「アンティ!ベーコンとか卵焼きとかホットサンドとか
パンケーキね、手作りの物をスカに食べさせてね」と頼んでくるスー。
言われなくても、スカちゃんとの食事は私のちょっとした楽しみなので
色々少しずつ試し食べさせている。
(スカはだいたい食べずに「はい、アンティ」と私に手掴みでくれる)
2人とも私がスカちゃんの面倒を見るのが当然だという顔で
食事中のうっかりウンコのダイパーチェンジに立とうともしない。
「いや〜ね、スカ!」などと言う事もあり、しっかり
ウンコ仕事したスカちゃんの腸が気の毒だ。
蔑ろだね、これ。
ナイガシロ。
私は蔑ろにされている。
責任感からコマゴマと気を張ってきたが、当たり前とされると
腹立たしい、あまのじゃくで妙なプライドの高い私。
毎回言うが、日本はもうアメリカにゃ〜負けない。
在米日本人の私は小さな日々の生活で何かあると
すぐにこの言葉が頭を占拠する。
敗 戦 国 と 女 の 意 地 な の だ 。
今朝は喧嘩を売ってきたスーを、相撲レスラーのごとくヌンッと押し
「母親なら携帯を置いて、スカの顔を見て話し相手しなさい!
お前、いい年してアイム ア ガールとか言ってっけど可愛くねーんだよ!」
とスーのガッチリした肩のあたりをぶん殴った。
「アザ出来た?わかんないね!」
もう一回、今度は思いっきりぶん殴ろうと思ったがスカちゃんが
見ているので我慢する。
バネのように立ち上がり中腰の姿勢になるオット。
(走り出すのか?)
怒鳴る私を見て、ほじっていた鼻により深く指を突っ込むスカちゃん。
ぶん殴られた途端に泣き顔になるスー。
「泣け!バカ!性病!」とスーを再度突き飛ばし
天狗の速さでオットの前に走り寄り
「Uberで学校行け、能タリンのケツの穴!」とオットも突き飛ばし
尚且つ、オットが握りしめていたTVのリモコンを奪い取り
石造りの床に叩きつける早業。
アレね、盗塁しようとしていたらビャーッと投げるでしょ、豪速球。
それくらいの速さだったね。
言 葉 が 流 暢 に 出 な い の で 暴力で済ませる。
全 く 問 題 な い
その後、オットに「何やってるんだ!」と怒鳴られるも
「怒ってるんだよ!あ!?怒ってんの!」と怒鳴り返し
殴りかかって来いよ、のポーズを数年ぶりにする初老の私だ。
数年ぶりに大爆発して、気分スッキリ。
何というか身体中に元気が漲った(みなぎった)感じだったので
勢いにのり、そのまま家中のドアをバターン!と開けては閉めるという
低級でサイコな嫌がらせを数回繰り返し
「かかってこい!☓☓☓!」などと下品に叫びながら
爽快感に笑顔になってしまう。(狂っているじゃないか…正気になれ!)
オットかスーが殴りかかってきたら
倍の力で殴り返してやろう!楽しいぞ!と構えていたのだが
2人はひっそりとダイニングに座って下を向いており(何故?)
ドアをバッターンとやっている私について来たのはスカちゃんだった。
スカちゃんも真似をして小さな手でドアをバッターンとやっていたが
「キミもストレス溜まっちゃったものねぇ」と思いつつ
ドアに手を挟んだらいけないので「やめなさい」と注意したら
泣いていたので少々気の毒ではあった。
オットとスーに、もっと嫌がらせをしたかったのだが
何しろ普段考えられないような俊敏な動きをしたせいか
足首に痛みを感じたので、捻挫の恐怖に襲われ
『グニってやっちゃったかしら?いや、大丈夫よね…』とドキドキしつつ
その後は自室に戻り、シーちゃんを抱っこしながら
そっとコロコロで絨毯掃除をして落ち着きを取り戻した。
しかし、たまに爆発すると本当にスッキリするね。
ちなみにスーは今日は自分の部屋に引きこもり
(多分友達に電話してたんでしょう)
オットは何事もなかったかのようにしつつも
「夕飯は何か買ってくるよ!何が食べたい?」と言ってきたので
「私は納豆と味噌汁と漬物で済ませるから(私には御馳走だ)
アナタ好きにしなさいよ…」と答えた所、夕方全員分のハンバーガーを
買ってきたらしく、スーの部屋の前・私の部屋の前に
包みが置いてあった。
可哀想にオット…気を遣ったのね…
まあ、たまには気も金も使えよ!新しい掃除機を私に買え!
吸わねーんだ、ダイソン!何なのよ!
さて、明日もう一日オットとスーに嫌がらせをして
月曜からはまた運転手と静かな主婦に戻るわ。
背が伸びまくってます。
謎の誤作動で鳴り響き、消防車がきたので大はしゃぎしたスカちゃん。
消防士さんが運転席に連れて行ってくれて「記念写真どうぞ」と
言って下さり恐縮しつつも御言葉に甘えました。
スカちゃんに優しく「僕と働くかい?バディ!」と言ってくれる
サービス精神・博愛精神に満ち溢れた若く逞しい消防士さん。
私に引きずり下ろされ泣くスカちゃんにサイレンまで鳴らして
全員でスカちゃんの名前を呼びつつ去ってくれるファイヤーファイター達。
あれからスカちゃん、消防車を見ると
「ファイファイ〜トラック!」と大声援です。
お心遣い本当にありがとうございました。


