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とくになし

かわいいんだけどモテない女の子の特徴 ブログネタ:かわいいんだけどモテない女の子の特徴 参加中

すぐ霊にとり憑かれる。

しゃべり場"Tellme(テルミー)




先週から、ほぼ毎日『ハウスハント』をしている。

ハウスハント=物件探しだ。

今年の12月には、恐らくアメリカでの最後の引越しとなる。


私は『住む所なんかどーでもいーよ。トレイラーハウスでも

なーんでもいいよ。』と思っていたのだが

真面目に先の事を考えた所

「あ、財産を残さねば!」と強く考え直した。

姪っ子の娘達のためだ。


…が、いざ「コレだ!」と思う物件を見つけてしまってからは

自分の欲の皮がつっぱりまくっている。


当初、オットは一軒家を欲しがっていたのだけれど

「もう絶対にイヤ!」

とワガママを言って、コンドミニアムを重点的に探す事にした。




アメリカで古い一軒家を買うというのは

とにかくメンテナンスに手間隙かかる。


数ある修繕・配管工・電気関係の中から

いかに効率よく良心的で、長いお付き合いが出来る職人さんを

探すか…

近所の口コミ、地域のおすすめ情報サイト、親しくなったレストランなどから

名刺を貰って、実際に仕事を頼んで…


庭の手入れも、ある。

年と共にアレルギーが酷くなってきた私には

もう芝刈りや植木の手入れが苦痛でしかない。

咳で咽喉はふさがれ、皮膚は痒さのあまりにバリバリやってしまい

血が滲んじゃう。

なんて軟弱になったものかね。


芝刈りは、近所の子供がお小遣い稼ぎでやってくれる場合もあるが

いかんせん子供の仕事なので、雑。

そこで、手入れの良い庭の持ち主に

「素晴らしい芝ねー!どちらで手入れをお願いしてるの?」

などと聞く事となり、御紹介頂いたからには

チップの兼ね合いなどもあるので、また御相談…

手入れが悪いと、すぐに市役所などから罰金通知もくる。


こんな事を一人、うんうん頭を抱えながら

やっていかなければならない。

もう、ウンザリ。



アメリカ人の御主人を持つ方の多くは

「え?そんな事、旦那さんに頼めば?」と言うのだが

人には向き不向きがあり

オットは、こういう事が全く出来ないタイプなのだ。

たまーに芝刈りはやっていたが、気分次第。


そして、オットは、何より人が苦手。

出来るだけ、御近所付き合いもしたくなければ

家の事で、何か頼むと全て「ああ…後でやるよ…」と言ったきり

絶対に手をつけない。


稀に、掃除機や洗濯機は、自分からやってくれる事もあり

その心意気は非常にありがたい。


が、掃除機をかければ、重たい家具を全てズラし斜めにしたまま。

「ぼかぁ掃除機かけたんだから、キミが元通りにするべきだ。」などと

のたまい、私を苦みばしった顔にする。


洗濯すれば漂白剤をブチまけ、そのまま

「何て事だ…」と呆然としていたりする。


せっかちで器用貧乏な私は、いつも

「またノラクラしやがってっ!もういいっ!!!」と

頭から湯気を出しつつ、激しくトンカチを振るって本棚を作り

モンキーレンチを捻くり回してパイプをつなぎ合わせ、

あちこちに電話をかけていた。


出来ない、やらないに関しては、正直そんなに気にならない。

人を雇えば良い。

が、それすらもうウンザリだ。


もう年も年だ。

後の老いを考えれば、全てお膳立てしてくれるコンドミアムの方が

絶対にいい。




尚且つ、今、住んでいる町は文化的価値・自然保護などを

考慮して町作りをしているので

住居の資産価値の暴落やムチャな高騰はほぼないと思われる。


今ある森などはそのまま保護されているし

水が豊かな土地なので、森の自然発火やトルネードの心配も

かなり薄い。


と、いう事は私とオットの死後、姪っ子の娘達への遺産にしてやれば

彼女達の使い方ひとつで一財産に出来る。


基地が隣町にあるので、いざとなったら

軍人ファミリー向けに貸家にするにしても

コンドミニアムならば楽に借り手がつく。

あの子達に、定期的な収入ができるのではないだろうか?

多少は助けになるだろう。


絶対にコンドミニアムだ。




一件『これはイイ!』と思う新築物件があるので

週に2~3回行き、延々、値段交渉している。

(現在、建設中なのでモデルルームに通っている)


営業の白人青年は、気の毒に家の担当になったらしく、私の顔を見ると

『また来た…』と思うらしいが、何も言わずに砂糖2杯のコーヒーを作ってくれ

「今日は、日本のライスクラッカー(お煎餅)です。」と

私の差し出す『オヤツ』を一緒に平らげる。


「奥さーん、もう、この金額で限界っすよー!その代わりラグジュアリーの物件で

使う床板にしてあげるからさー!」や

「昨日、夢で奥さんが『じゃ、この金額でOKAY!』ってサインしてくれた夢を見て

ボクは泣きそうになりました…。」と眉間にシワをよせている。


「このキャビネットの戸は自分でつけるから2千ドル安くしろ」や

「自分でカーペット敷きと、キッチンのタイル張りをやるから5千ドルまけろ」や

「ジェットバスなんかいらない。自分でブクブクやるから5千ドルまけろ」という

値切りトークのせいで、きっと精神的に追い詰められているのだ。


今日は、話の途中で彼の携帯電話が鳴ったので

「どぞどぞ、出て」と言ったら

どうやら同棲中のガールフレンドだったらしく

「うん…あ、今 あ の 奥 さ ん が来てて話してるんだけど

一緒にライスクラッカー食っててさ…うん、日本のスナックらしいよ。

うまいから、買って帰るね。」とナイスな事をボソボソ言っていた。

あ の 奥 さ ん か。


「奥さん、もうここの現場で働けばいい。バイト代を高くするように

ボクが現場監督に掛け合うから、そのバイト代金で払うとかさー。」と

ヤケクソな泣きをいれてくるが、私は容赦しないつもりだ。

ガンバレ、営業青年。


新築で一軒家並みの広さ。

好きな果物の木を庭に植えてくれるオプションもある。(別にいらない。)

すでに入居している御近所さんは、モッサモサのバカでかい犬を

庭で走り回らせていた。(可愛い)

庭の手入れから、家の丸洗いまで定期的にやってくれ、夜間の修理も頼める。

長期の留守時には、決まった管理人さんがついてくれる。

敷地内に綺麗なプールや共有施設もあるこじんまりした

森の中にあるコンドミニアムだ。

資産価値が下がらないように、会社も必死で管理するし。

ああ、この物件、スゲー欲しい。





ニュースや住宅情報、以前訪れた旅先の町などを再度訪れて見て

私はいつも『町っちゅーのは生き物だ』と思っていた。


特にアメリカに来てからは、その『生き物だ』という考えは

強くなったように思う。


ほんの数年前までは“中流家庭”向けで

2~3千万円だった小奇麗な地域が、いきなり800万円前後に

なっていたりする事も多い。


ミシシッピは、数年前のハリケーン・カタリーナのせいで

一気にゴーストタウン化した。

家の保険料だけが高く、資産価値はほぼなくなった家も多い。


滅多にない事だがカルト集団の拠点地となってしまい

報道されまくって、元の住人が引越し

値段が下がったせいで、柄の良くない人達がのさばりだしたり

マフィアの介入で一気にゲトー化して

プッシャーがうろつくようになり、道端にはゴミが目立つようになる。


稀に、国が一気に掃除するように区画整理をして

一見、息を吹き返したようになるが

また吹き溜まりになる確率も高い。

余程の都会でなくては、元の木阿弥となる。


土地への愛着がない住民が住む地域は、本当に荒れる。

大人に責任感もないので、日中の泥棒や犯罪も知らん顔。

抜け出そうとする向上心を持つ子供の足をひっぱる。


大手のディスカウントストアが、同時にいくつか

開店してしまい、元々の個人経営が店をたたみ

町の再建だったはずが、大失敗で

質屋と酒屋が各ブロックで、細々と金網越しに経営してさ。


いや、そういう荒れた貧困地域でも、人のつながりはあるし

ちゃんとしている人は居る。そりゃあ、居る。

でも私自身、長く居ると、無気力になってくる。


イタチごっこで「あ、もう諦めるしかねぇな!」とは割り切れずに

無気力になり、自分がイヤになる。

私は、自分以外の事が原因で、自分をイヤになるのは大嫌いだし

その自分以外が原因だと思う感情も大嫌いだ。



何より、そういう土地では、おチビさん達に残す

資産的価値がない。

資産などと偉そうに言える額ではないが

「いざ!」って時に多少は役立つはずだ。




前回の引越しで、ずっと前に滞在した大好きなミシシッピに

数年ぶりに戻って町全体がどんよりと、

全くの様変わりしたのを感じたのは

ものすごくショックだった。


何か少しでも、と私がやっていた事も

焼けた砂に水をかけているような物で、ポッチリと水の跡が残った気がするくらい。

今でも、時々電話で話す人達が、その本当に小さな水の跡なんだけれど

何しろ『砂』に『水』なので、何も予想が出来ない。

想って祈るくらいしか出来ないけれど、身勝手な希望だけ強く願うしかないワケで。


ついでに、銃大好きオバさんとも、いまだに電話で

「ほーらね、言ったじゃん!考え方を変えて認めろっちゅーんだ!」

「違う!アレは銃じゃなくても起こった事件で!想像しなさいよ!」

などと不毛な言い合いもしている。

コレは一生続くだろう。

お互いに頭が硬いから。





とにかく、ようやく見つけた「恐らく、多分、たーぶんイイかもしれない」

と思える町がここ。



ガチョウが我が物顔で道路を渡り、車は忍耐強く待っている。

「クソ ギースが!どけよ!」と脅かす人がいると、誰かが車から

「おめーだけの道路じゃねえぞ!ばーきゃろう!」などと怒鳴って非難する。

アヒルが夫婦でよく太って彼方此方(あちこち)にいる。


走っているトラックの荷台には、大型犬が真面目な顔で

耳をヒラヒラさせながら座っている。


鹿が道端で草を食む姿もよく見かける。

春先には、可愛い小鹿が散歩している人の後を追いかけ

母鹿に鼻先でどつかれているのも見た。

(たまに轢かれている)


腕を掻きむしりながらも、花を植えようと土を掘ると

ミミズが迷惑そうに、いっぱい出てくる。

(アパート内は自由に植物を植えられる)




ココは、保守的すぎるように見える田舎町だけれど…

住んでいると、あちらこちらに“良心”がチラリチラリと感じられる。

恐らく、私とオットにとって『水の合った土地』なのだろう。

(おねえちゃんは「あー田舎田舎!真っ暗で大嫌い!」だそうだ。)



いくつかある古本屋は、本当に本が好きな人が静かに働いている。

(需要がないから買い取らないだろう、と思いつつも、日本の文庫本を持ち込んだら

「本は本ですもの。日本語なんて珍しいからお客さんも喜ぶなー。」と

きちんと買い取ってくれ『虫干し』を始めた。)


個人経営の古き良きアメリカにこだわりを持つ

ちょっと良いレストランに、GFの誕生日らしく目一杯のオシャレで着飾った

(ロングドレスとタキシードだった。一応ドレスコードはあるがそこまで

フォーマルじゃなくて良いくらいの店。)

真面目そうな高校生カップルが緊張して初めての食事に来た時の

従業員とオーナーのさり気ない気遣いは見事だった。


車の修理屋は、自分の孫のオモチャを買っているうちに

「これ、いいオモチャかも!」と思い、店のお客さんの子供達にも

自由に遊べて、気に入ったら買えるスペースを作ってしまった。

(売れてないけど、お客さんの子供は大はしゃぎ。

この間は『ソリ』を投げた子供を、従業員が跪いて叱っていた。)


数件あるアンティークショップは、きちんと“住み分け”が出来ていて

『ホンモノのアンティーク』の店は、ソレが一番似合う陳列をし

冷やかし客でも、決して嫌な顔をせずに大らかに

「どうぞ『作品』を見ていって」と受け入れてくれる。


『古いだけだけど、可愛いでしょ?』なアンティーク店は、良心的な値段をつけ

店のオヤジはあくびしながら「やあ、いらっしゃい」と

鼻眼鏡からこちらに挨拶しつつ、趣味のガラス細工など磨いている。


個人商店は何代か続いていて、ウインドウディスプレイには

埃もつもらず、いかにも楽し気にお客さんを待っている。


年配者が、丁寧に自分の経験で商売している姿も多い。

子供達が、薄暗い中、自転車をカッ飛ばして道路脇を走っている。

ティーンのカップルが、古いけど綺麗に毎日、窓掃除してあるボーリング場で

退屈そうにデートしている。

(投げ始めると超エキサイトして叫んだりしている)


オットと私は、ノタノタと散歩しつつ、そんな景色を見ては

「いいね。」「いいよねえ。」と、頷きあって

少しでも立ち止まれる時間を増やしている。

(2人とも大デブなので、豚のようにゼイゼイひゅーひゅーするからだ)




町の規定がしっかりしているらしく、大手チェーンは

今より商売の幅は広げられないが、ちょうど良い“塩梅”で

住民は色々選べる自由を味わいつつ、日々の買い物が出来る。


きらびやかな隣町までは、車で20分。

もっと華やかな町までは、大きな橋を渡って30~40分。

若い子達は、そちらで遊べば良い。





それにしても、あのコンドミアムは絶対にいい。


営業兄ちゃんには申し訳ないが、何とかして

私の希望価格に近い値段で手に入れたい。


オットはもうすぐにでも「買います。」と言い値でサインしそうなので

「まだまだ!」と必死でとめる営業の敵な私だ。



でも、何より、オットが一目惚れしていた内装や部屋の数々。

(数々っていう程、部屋数はない。)


オットの「ボクの新しい家だー」と、喜ぶ顔が見たい。

サンルームがあるから猫達も大喜びでのたくり回るはずだ。


私は、あの家に対して、何がどう良いのだろう?

気取りのなさそうな御近所さんにも好感をおぼえたし

あの家で何か新しい事を始めるかもしれないワクワク感があるかな。

(多分、華道教室をやる。細々と。)


が、オットはローンの事を考えると

「ボク、もう起たなくなりそう。」などと内股になって

わざとらしく 気 弱 な 表 情 で股間をつかみ

ふざけた事をほざいているので

「その格好するのは、マイコージャクソンのポウッ!ポウッ!ポーーーーウッ!」と

励ましておいた。


最終的にオットが「とにかく買います!」と絶叫するような気がするので

まだまだ私は値段交渉をする!


土曜日はオットと一緒に『えびせん』と『桜茶』の

オヤツを持って行って来ようっと。

待ってろよ、ロバートくん。