フランス革命研究の泰斗、桑原武夫先生によれば、
「一般に革命なるものは、社会の矛盾が激化し多数の人々が現在の制度に不満を持ち、一挙にこれを破壊しようとするときに起こるものである。しかしそれが単なる一揆に終わらず、革命として成功するためには大衆のエネルギーの爆発だけでは足りず、これを知的に指導する思想と体系化が不可欠だ。しかもその思想が思想家の頭脳ないしは著作の中にある限りは指導力を持ちえない。その思想がすでに多くの人々のうちにやどり、その人々の行動を規制しうるまでに深化していなければならない。フランスのブルジョワはルネサンス以降しだいに思想的訓練を経て、そうした役割を果たしうるまで成長していた。そして彼らの知的活動と人民の巨大なエネルギーの結合が、フランス革命の成功をもたらした」
フランスは革命当時、外にあっては革命思想流入を嫌う王室を戴く全欧州を敵にまわして戦争に明け暮れた。その間、うちにあっては「自由・平等・博愛」とは程遠い、同胞の潰し合いが繰り広げられ、収束、安定までにはナポレオンの登場を待たねばならなかった。
今回の英国のEU離脱は一揆なのか革命の序章なのか。はたまた単に民主主義の「ごっこ」の徒花か。世界は小さくなったのか、「ごっこ」の結果で世界の資産200兆円が消えたという。このリアリティはこれからどう受け止められていくのだろうか。
離脱派、残留派ともに聞こえてくるのは、損得勘定のみ。英国流エリート主義の限界か。新しい社会の在り方を考える思想の萌芽はあるのか。
もちろん日本も他人事ではない。