セブン鈴木会長の話で私が思い出すのは、やはり渥美先生の講義録でしょうか。
面白いなと思ったのは、鈴木会長のお子さんのエピソードを引き合いに出した話。
「うちは日本でも有数のお金持ちらしいんだが、あまりお金を家で見たことがない」
これはいみじくも創業家と番頭家の違いを浮き彫りにしたことです。
創業家は、まだヨーカ堂の社長だった鈴木さんにたくさんの株を持たせました。売りに出せば株価に影響が出るほどに。
業績が伸びれば株価は上がります。資産は増える。でも売れない…創業家の深謀遠慮ですよね。
鈴木さんはコンビニの生みの親と言われます。
渥美先生は伊藤さんから当時3つの候補を挙げられたといいます。
レストラン、ドーナツ屋、そしてコンビニ
渥美先生の助言は、ヨーカ堂と全く異なるオペレーションの企業にしないと別の柱を立てる意味はないという趣旨の発言をされたとか。
その後、伊藤さん、鈴木さんのコンビはコンビニを選択。
セブンイレブンは単一フォーマットで日本一の売上を誇る企業に成長しました。
良くも悪くもセブンイレブンに関することはすべて鈴木さんのサクセスストーリーとして昇華させ、レジェンド化、カリスマ性を創り出しました。これは小売のブランディング的にも良かったのではないかと思います。
ですが、カリスマブランディングはダイエー中内さんを出すまでもなく、後継に苦労する。こういうときには本能的な危機回避能力のある創業家の力は強いものです。
資本と経営の分離を体現してきたかに見えたセブン&アイですが、ウォルマートになりきれるかどうか。正念場です。
ウォルマート2代目CEOはデビッド・グラス。ウォルマートの成長エンジンとなるスーパーセンターを開発した人物。3代目はリー・スコット。物流のエキスパート。ウォルマートのビジネスドメインを確立した人物。
さて、セブン&アイは3代目CEOをどこから持ってくるでしょうか。