松下村塾や萩の平安古地区などが世界遺産に申請されたそうです。

山口贔屓の私としては本来嬉しいはずなのですが、どうも違和感があります。

これらと韮山の反射炉、八幡製鉄所の高炉や三菱重工長崎のクレーン、はたまた軍艦島までが一緒くたになっています。

私風情のレベルではわけのわからないキュレーションです。

明治の産業遺産というくくりですが、ずいぶん荒っぽい。

まだ「鉄」をテーマに切り取るならわかるのですが…。

明治の産業遺産は製鉄所、製糸場など工場以外にも土木関連、たとえばトンネルやダムなど外国人から学びつつ、日本人だけでつくりあげ、いまだ現役で活躍している遺産はけっこうあります。

たしかに松下村塾に学んだ伊藤博文は殖産工業推進派でしたし、日本鉄道の父、長州ファイブのひとり井上勝は萩城下の出身です。松陰自身も国防の重要性を説いて、直接ではありませんが、幕府はじめ各藩の富国強兵策のバックボーンにはなったでしょう。ただこれはかなり後年になってからの評価で、国防富国強兵策は松陰の専売特許ではありません。当時は横井小楠などもっとメジャーな人物のほうが知られていました。

ただそうは言っても、八幡製鉄からなぜ軍艦島に連なるのか…。個人的にはとても好きですけどね。日本のインカ遺跡と言われる別子銅山のほうが経済への影響力は強いような気がしますが…。

石見銀山はじめ世界遺産には銀山、鉱山都市が、けっこう選ばれていますので、その関連でしょうか。

いずれにせよ、明治の産業遺産で括るにはイマイチ、ストーリーが明確ではないように思います。

山口贔屓としては複雑ですが…。