
札幌で時折杯を重ね流通談義をさせていただいたお2人が揃って今年北海道を代表する上場会社の社長に就任されます。
益々の重責、心中察して余りありますが、勉強家にして行動力に溢れ、天性の明るさは人を引き寄せます。大いに期待しています。
お2人は「草創(創業)と守文(守成)」で言えば、まさに流通激動期のさなかに「守文」を担います。
「守文は草創より難し」。ときに古典の智慧は現代のマネジメント論の欠落、陥穽を補完します。
目下公開親子喧嘩状態の家具屋さんをみるにつけ、つくづくそう思います。
山本七平さんの著者から、『貞観政要』に記された組織に蔓延る「六邪」を挙げましょう。
1 官職に安住し、高給を貪るだけで公務に精励せずに世俗に無批判に順応し、ただただ周囲の情勢をうかがっている、これが「見臣」
2 主人の行いに無批判に追従し、ひそかに主人の好きなものを突きとめてこれをすすめ、見るもの聞くものすべてよい気持ちにさせ、ついには主人とともに楽しんで後害を考えない、これが「諛(ゆ)臣」
3 口が上手で一見温和、しかし善者、賢人を妬み、自分が推挙したい者は長所を誇張して短所を隠し、失脚させたい者はその逆をおこなう。賞罰があたらず命令が実行されないようにしてしまう、これが「姦臣」。
4 その知恵は自分の非をごまかすために用い、その弁舌は自分の意見を通すためだけに用いる。家中にあって骨肉を離間させ、組織においては争いを生む、これが「讒(ざん)臣」
5 権勢に乗じて自分に都合のよい基準を定め、自分中心の派閥をつくって自分を富ませ、勝手に主人の命を曲げ、それによって自分の地位、名誉を高める、これが「賊臣」。
6 悪意をもって主人にへつらい、主人を、不義に陥れ、さらには仲間同士でぐるになって主人の目をくらまし、黒白を一緒にし、是非の区別をなくし、主人の悪を国中に広め、四方の国々まで聞こえさせる、これが「亡国の臣」
組織を滅ぼす者、国を滅ぼす者、みなおなじですね。