一昨年末の食品偽装問題から再び食品業界を襲っている「異物混入問題」。

日本のマスコミの特性と国民の特性があいまって、ときどき集中的な集団ヒステリー状態になります。

これまでも、単発的にいろいろな問題があったのでしょうが、ネット時代は拡散もはやく、ネタのないマスメディアはすぐ飛びつき火に油を注ぎます。

メーカー側は、意外と問題の発生した当該アイテムと同商品と同一ラインの商品しか撤去しませんが、

小売は原因が解明されるまでは、メーカー全品を一時引き上げたほうがよいと思われます。

個人の意図的なものであれば、そのラインだけの問題かもしれませんが、組織的な制度疲労や取引先丸投げに起因する陥穽の可能性も捨て切れません。

たとえば、あるベンダーが、メーカーからもらうはずの販促金の未収金がたまっているとします。

ベンダーは大きな取引先ですので、なかなかすぐ払ってくれとは言えません。

にもかかわらず、原価たたき、納期短縮を強要する。

ベンダーの指定工場の現場は当然疲弊します。

ベンダー担当者がそれでも工場のほうを向いていてくれるとよいのですが、たいていはクライアントのほうを向いています。

だから、現場が抵抗すると現場担当者を外したり、取引をやめると脅します。

納期短縮ならば、しっかりその分の特急料金をつけるべきですし、残業も休日手当も当然つけるべきです。

その原資は実は未回収の販促金だったりするのです。

なにもフォローのない現場でなにが起こるか。それは想像の世界ですが、後先考えずにベンダー、メーカーを困らせてやりたいと思うかもしれません。実際、そういう事件は国内外後を絶ちません。

これは、法的なプロセス管理やオペレーションマニュアルでは防ぎきれない領域です。

シビアな流通界でも意外と、こういう想像力を欠いている人が多い。

食品の安全、安心はまさに生活のインフラです。

ストアブランド、プライベートブランド隆盛のいまだからこそ、今一度、組織、制度の陥穽、プロセス管理方法をコストをかけてでも再点検するべきです。

信頼を築くのは時間がかかりますが、失墜は一瞬です。

当たり前のことですが、それをやり切れるかどうかは難しい。

自戒もこめまして。