ついにというか、やっとというか、わたしの周辺でもアイスバスケット動画をSNSでアップする人がでてきた。
ALSという難病の存在をPRするために考え出された方法だが、著名経営者から有名アーティスト、俳優、女優、スポーツ界のスーパースターまで、アイスバスケットをかぶり、難病克服基金への寄付をおこなった。
さて、この時点になってヤフーでも、同調論のみならず、異論、反論も顕在化してきた。
異論、反論は集約すれば、
アイスバスケットをかぶった者は、次の3名を指名することができる。これはいわゆる不幸の手紙(チェーンメール)手法であり、バトンを受けた者がそのままノリでやってくれればいいが、当然、ノーと本来言いたい人もいるのに、半ば強制的にそれをやらなければならない空気を醸成してしまうというものはいかがなものか・・というかんじだろうか。
ようは、今回のように社会通念上よいものがでまわればいいが、「よくない」ものもこういう方法で伝播されることはまずいんじゃないの?ということだ。まあよくないものはみんなやらないだろうが・・。
芸能人のなかで、こういうことを理解して、アイスバスケットをかぶったうえで、寄付をし、指名を拒否した者が喝采をあびている。
正直、この芸能人のことはよく知らなかったけれども、なかなかの見識だなと感じた。
もちろん、著名人が氷水をかぶるなんていう、大胆なパフォーマンスはALSという難病の存在が明らかになり、関心が高まり、寄付も増えたという点ではすばらしい。
まったくの蛇足だが、公職選挙法で根こそぎ一族がつかまった徳洲会の創始者は、ALS患者であり、同医療法人はALS研究の最先端だったという。ALSの存在を世間に知らしめるという点においては、あまりに両者の落差は大きい。
さて、
次の3名の指名も山中教授や孫さんのようなVIPまでならわかるが、
番組で一般芸能人が、公共の電波をつかってやるようになってしまえば、
もうその役割は終えたと言えよう。
今回の現象は、いわゆる英米のパブリックスクール、アイビーリーグといったエスタブリッシュメントの寮行事のノリだ。
(よく知らない人はハリポタのグリフィンドール、スリザリンを思い出してほしい)
だから、一般人はこのネットワークに本来そぐわない。
この現象、いわゆる社会心理学でいう「6度の分離現象」と言われるもの。
6度とは、たとえば、私が、まったく知らないアルゼンチンの片田舎に住むAさんという人に、たどり着きたいとき、自分よりそのAさんを知っていそうなBさんに連絡し、そのBさんがさらにアルゼンチンに近そうなCさんに連絡する・・そうするとおよそ5人(6度)を介してたどりつくというもの。
かつてはハーバードのミルグラムという教授が1960年代におこなった手紙の実験が有名だったが、SNSの時代は、まさに6度どころか4度(間に3人)くらいで届いてしまうのではないだろうか。
これが日本でいう「世間はせまい」、米欧でいう「スモールワールド」である。
まあ、私のような小物にはまわってこない僻みもあるのかもしれないが(笑)、
ただ、大物を広告塔的につかうネットワークというのは、いつの時代も、目的は違えど注意したい。
じつは、社会的によい・・とされている大義名分はカモフラージュであり、真の意図は隠されていることもあるからだ。
たとえば、SNSではキーワードで反社会的な人間のあぶり出し、セグメント化も行えるという。
まさにエシュロン以上の監視を実施している。
古代中国では、秦帝国を滅亡に至らしめた趙高が、自分の考えに合わないものをあぶりだすために、馬を鹿と称し、鹿と言わない者を粛清した。
古今東西、この手の方法はおなじである。一見よいことのように見えて、別の意図が進行していることはなかなか気づかないものだ。