先日、ビジネスマナー研究所の藤村純子先生のセミナー「期待塾 実践報告会」にて勉強させていただきました。
テーマは、「一人の気づきをいかに組織に落とし込むか」。
これは多店舗経営であるチェーンストア企業と親和性が高いテーマです。
事例は、「自動車整備&リサイクルショップ」(同資本会社の経営)、「建設業」「葬儀社」の3社。
藤村先生の「期待塾」で得た知見をいかに企業に戻って皆を巻き込み徹底させ、効果を出すか。
ここに重点を置いた報告になりました。
自動車整備はふつう営業マンが顧客の状況を聞いて、整備士(現場)に伝えるというモデルが一般的ですが、この会社は整備士が営業も担当します。
技術と営業が一体化すれば、お客もたとえばなぜそのような修理になるのかという技術的なバックボーンを得ることができて安心して任せることができます。コストに納得する度合いが高くなるわけですね。
整備士が営業マンですから、よれよれの作業着、汚い手での応対はNG。髪型をさっぱりし、名刺の出し方も学び、揃いのつなぎも作成しました。
技術屋の若い整備士が、一生懸命「対お客様」へのあり方を変えていく姿に、ベテラン整備士たちも、いっちょ応援してやろう!という空気がつくられていきました。
よって同整備工場の客単価がアップ、若い整備士も指名が増えました。
リサイクルショップは、若い女性スタッフから報告。
「期待塾」で学んだことを、1人から30人に伝えるために、
業務連絡TELや引き継ぎなど「ルーチンワーク」の中で、
言葉づかい(「なります」禁止令、ほうほう星人撲滅)を直していく方法をとりました。*言葉の語尾につい「なります」「~ほう」を使ってしまうことです
彼女の報告でひときわ素晴らしいと思ったのは、
「伝えるチャンスを自らつくりだすこと」というポリシーです。
彼女の店舗は一人で運営しているので、ある意味特殊ですが、「わざわざ勉強会をつくらなくてもできる」という思考は、いわゆる「打ち合わせ大好きマン」の人たちがぜひ参考にしてほしいものです。
建設業の事例は、違う部署(営業・不動産・管理部)の3人の方が「期待塾」を受講しました。
営業は地主さんと関わりますし、不動産は管理会社とのコミュニケーションが生じます。管理部門は直接クライアントにかかわりませんが、あえてお客様には触れない部署とも組み合わせることでどのような化学変化を起こすかということを、かれらの上司は熟知しているようでした。
その構想は、施工部門にも及びます。現場監理、地域住民へのご挨拶・・施工部門も技術だけが問われる時代ではない。挨拶ひとつで次のお客様から声がかかることもあるわけです。
藤村先生は、「消費増税前の駆け込みが落ち着いた先に『選ばれるかどうか』」という命題を提示しましたが、まったく同感です。
「葬儀社」の事例もまったくおなじ発想です。
葬儀社は地域密着型であり、喪主やご家族はもちろんのこと、参列者全員に好印象を持ってもらわなければなりません。参列者をいかに接遇するかで、喪主や家族、ひいては故人の評価が高まるわけです。
ビジュアルを駆使したマニュアルはとても素晴らしかったです。
それでもなかなか見られないのがマニュアル。
同社の常務さん曰く、
一気に成果を求めないけれども、楽しんで取組むことで仲間を増やし、やり続けることで「当たり前」にしていく、そして100%を求めない。ここには企業トップとしての「我慢」も問われる・・卓言です。
ひとつのことを皆に周知徹底させることは実は難しい。
信賞必罰の軍隊式を導入する企業も多くあります。
ドラッグストアのあるトップも、帰るときには机の上を全部なくすということを全員ができるようになったのは2年かかったといいます。これは我慢による地道な企業文化づくり。
軍隊式でも文化醸成式でも選択は自由ですが、前者は人が入れ替われば一からやり直しですが、文化は、ろうそくの灯のごとくコストをかけず次から次へ伝播していきます。だれからも強制されず自然とできていく・・これが文化の力です。
ひとつのことを皆が周知徹底、実践できるようになってはじめて組織としての力をもち、それが社会に「お役立ち」という形になって還元されるのだと思います。
貴重なセミナーに参加させていただきあらためて感謝申し上げます。