チェーンストア経営専門誌『販売革新』4月号に興味深い記事が出ていました。
ウォルマート西友のスティーブ・デイカス氏(最高経営責任者)のインタビューです。
株高、円安基調で原料高、増税トレンドのさなか、チェーンストアはいかに立ち振る舞うべきか。
シンプルなインタビューのなかに真髄が見え隠れしました。さすがですね。
もっとも印象に残ったのは、
「インフレでもデフレでも関係ない、なぜならお客様は『常に価格は安くなってもらいたい』と思っているはずだからだ」
「とてもシンプルなことなのだがインフレになりほかが値段を上げるなら一番最後に上げる人に、デフレになりほかが値段を下げる状況では一番最初に下げる人になるということ」
と、デイカス氏が答えているところです。
主語はすべて「お客様」であり、自社の強み、ポジショニングが明確です。
まったくそこにブレはありません。
よく「時局に迎合する」、「時勢に乗る」という言葉を比較しますが、
本物の流通業なら、時勢には乗っても、時局に迎合してはならないと思います。
「原料高だし、株高だから、これから金融経済系から金回りがよくなるはずだろう。だから値上げするか・・」
という安直な企業もありますが、まあハンバーガー屋さん、どうなるでしょうか。
これは「時局に迎合する」企業だと思います。
もちろん、売価をおさえるために、自らの努力ではなく、他者の痛み、犠牲によることで実現することはあってはなりませんが、
デイカス氏は、今後のきたるべき経済環境を「コストプレッシャー」と表現しています。
インタビューでは、西友は多額の設備投資をして、09年ー12年比較で30%も電気料金を引き下げたそうです。
まあ、世の中、電気料金値上げトレンドで、こういう積み重ねがあとになってモノを言います。
デイカス氏は、
「これにどこまで耐えられるかが問題であり、われわれの得意分野、優位性」と言い切ります。
チェーンストア対コストプレッシャー、
これはまさに流通の天王山であり、ここをどう対処するかで企業の盛衰が決まってくると思います。