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新幹線で移動中に買い求めた一冊。

山本七平さんは、小室直樹さんと並び独自の日本人論を展開してきた孤高の炯眼。

「貞観政要」は聖世と言われた唐の太宗の治世を論じたもので、日本では、

「創業と守成、いずれが難き?」の問いかけで知られる。

山本七平さんは、複雑な現代社会は、あらゆるところに「生殺与奪」の権を握る公的ないし私的な権力を持つ小帝王を生じせしめると喝破する。

つまり、どんな小さな組織でも2人以上になれば、小帝王が出現するということだ。

よって、現代にもっとも必要なものは、帝王のあるべき姿を説いた「帝王学」の素養だという。

耳に痛い言葉が並ぶ。

「相惜顔面」とは、

互いのメンツをたて、相手の感情を害すまいとすれば、問題は見えなくなり、機能を失うことをいう。

「上下雷同」とは、

それを上がそのまま承認してしまうことである。

このような状態が組織内で続けば、間違いなく環境の変化に対応できず、その組織は滅びる。

つまり、「和をもって滅ぶ」のだ。

思い当たることは、多い。

人を傷つけまいとして、人の短所に目をつぶり、長所だけを報告する。

良い所だけ論じ、そこが伸びるだけで治まるほど世の中は甘くない。

上が、帝王学の素養があれば、その過ちを見抜くことは可能だが、ときに上も誤ることはある。

だからこそ、常に、「兼聴」(情報を吸い上げる)を旨とし、

直言、苦言、諫言を傍らに置く、仕組みを自ら構築しなければならないという。

自分にあえて苦言を突きつけてくれる人がいるだろうか。なにかを成し遂げたいのなら、欠くべからざるプロセスである。





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