月刊MDの企画でブックレビューを書いています。
流通にかかわる本を中心に選んだのですが、1冊だけ、ノンジャンルから抽出しました。
それがこれ。
山本七平著『日本はなぜ敗れるのかー敗因21か条ー』
新書判でももう10年近く前の本ですが、
いま読んでほしい一冊です。
山本七平さんといえば、小室直樹さんなどと並ぶ「日本人論」の第一人者。
『失敗の本質』や『失敗学のすすめ』など敗因論を起点とする経営学の名著はたくさんありますが、
この山本さんの本はその中でも異彩をはなっています。
元本は、地獄のフィリピン戦線に軍人ではなく技術者として徴用された小松真一氏の『虜人日記』
理系である技術者の冷徹な視点で、日本軍の特性が描かれています。
曰く、
「非常識な前提を常識として行動する」
「芸を絶対化して合理性を怠る」
「動員数だけ揃えて実数がない」・・
現在の組織にもそのまま当てはまります。
また、こんな指摘も。
「恐怖心に裏付けられた以外の秩序がない」
「自己を絶対化するあまり反日感情に鈍感である」
これも現代の国際情勢と日本の状況をみごとに言い表しているような気がします。