本日、法政大学イノベーションマネジメント研究センターにて、
メディセオ特別顧問、山岸十郎氏の講演を聴講して参りました。同氏は、ブログで何度もご紹介していますが、日本物流界最高のテクノクラートのひとり。わたしもいつも大変勉強させていただいております。
月刊MDでも大好評連載している「オーラルヒストリー」刊行記念講演です。
同大の矢作敏行教授の解説のもと、これからの日本流通発展のために卸企業に課せられた課題と在り方が語られました。
山岸さんのお話は、物流設計と同じく緻密な計算とフィールドワークから積み重ねられた数値がベースにあるので実に説得力があります。
詳細はまた月刊MDにてご紹介したいと思いますが、
きょうは一点だけ。
「卸企業の商品とはメーカーさんからお預かりしている取り扱い商品ではない」。
これは、至言ですね。
卸企業の商品とは、
1)物流力
2)営業力
3)フィールドサポート力
4)商品開発力
と、定義しています。
すなわち、物流力とは、
トータル物流能力であり、コスト、納品精度、カバー力。
営業力とは、商圏、売場、カテゴリー分析能力であり、売場生産性向上のための提案です。
フィールドサポート力とは、カテゴリーサポート、カテゴリーリセットサポート、店舗レベルの標準化をはかるサポート。
そして、商品開発力とは、ストアブランド開発サポート、グローバルソーシングです。
わが事業はなにをもって定義されるか。これをはっきりさせることは、とても大切です。
「物流が営業する」ということはなかなか日本では理解されにくいのですが、
山岸さんが、やられてきたことはまさにこれ。
当代一流のプロフェッショナルとアカデミズムが融合したとき、
あらたな流通の知見が蓄積されます。
矢作先生によれば、
米国アリゾナ州立大ではウォルマート寄附講座があり、たとえば「トラッキング」(トラック配車の効率最大化)だけでも年間授業テーマになっているそう。
日本はいまもむかしもロジスティクス軽視は変わらず。
防衛大でさえ、ロジスティクス(兵站)講座が設けられたのは最近の話だとか。
実務家とかれらの本質を抽出し、体系化をはかる優れた研究者が、残念ながら少ないのでしょう。
山岸氏は、
米国のウォルグリーンの棚札を読み取って、商品の営業利益を店頭で示す符丁があることを発見しました。
また、センターのクリンリネスを向上させるために、
まず、いまある「ゴミ」の種類と内訳をゴミ箱をひっくりかえして調べるそうです。
改善は、まずは正しい現状把握がベース。
それがあって、はじめて卸企業の商品が生きるのです。
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