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本日、OTC医薬品協会のメディアフォーラムを取材してきました。

OTCとは、医師による処方箋が不要の一般用医薬品のことで、ドラッグストアや薬局の店頭で薬剤師あるいは登録販売者の資格を持った人によって販売されます。

テーマは、「ニッポンの健康寿命を伸ばして、国民皆保険制度を救う!

基調講演は、医療経済学の第一人者である川渕孝一東京医科歯科大教授が務め、その後、サンキュードラッグの平野社長、協会からは、杉本雅史副会長(武田薬品工業ヘルスケアカンパニープレジデント)が加わりパネルディスカッションにはいりました。

端的に言えば、

マクロでは、よく言われるように、

セルフメディケーション(自己健康管理の高度化)をより進めて、

年々増加する保険医療費の国庫負担(税金)を抑えるということ、

ミクロで言えば、

家計負担を減らしましょうということです。

お三方の話はわかりやすく、それぞれの立場にたったリアルなものでしたが、よりリアルに抉ったのは、質疑応答に立った東京薬科大の先生です。

先生は、同大のOTC講座担当教授。

曰く、

「全国薬学系大学にOTC講座があるのはごくわずか。それもそのはず、薬剤師の国家試験にOTCに関する出題は過去7年でわずか平均5問程度。国家試験問題345題中、40問くらいOTC関連に変われば、全国の大学に講座ができるでしょう。薬剤師の関心が高まればOTCへの関心も高まるのではないか、もっと言えば就職先としてのドラッグストアというものもクローズアップされるのではないか」。

というものでした。

仮に、345問×7年=2415問あって、平均5問として35問。うまく聞きとれませんでしたが、メモには、3ー5問、今年は7問とあります。不正確で申し訳ありませんが…。

まあ、5題として、出題率は、わずか0.014%!

こんな話は、OTC業界では常識なんでしょうか。

不勉強ながら、私はまったく知らず、

失礼ながら、きょうのお話の中でもっともインパクトを受けたのがこの先生の話でした。

受験生なら、言い方は悪いですが、捨て問題です。

OTCの中でも、第1類と言われる処方箋薬からスイッチされた医薬品を、その名も「スイッチOTC」といいますが、これは薬剤師が販売しなければならない医薬品で、OTC販売全体の約5%を占めています。それでも出題率に比べたら…。

最近では、第一三共さんが、「ロキソニンS」というスイッチOTCを発売し、大いに盛り上がりましたが、後が続いていません。

よくドラッグストア側に売るための体制や教育ができていないというエライ人の話があったりしますが、

そもそも、OTCとは薬剤師にとってこの程度のものだったということをあらためて認識しました。

その中で、東京薬科大の先生の発言はほんとうに貴重なものでした。東京薬科大の同講座は、佐藤製薬さんによる寄附講座だそうです。

ある意味、OTC推進を掲げる製薬メーカーの皆さんには痛烈な皮肉。まあメーカーには医科向け(調剤市場はOTCの約10倍)の顔もありますので難しいところではありますが…。

そうは言いながらも、教育界、名門の良心というのでしょうか、発言しなければならないアカデミズムの気概を久しぶりに見たような気がします。

関心あるセミナーはできるだけ聴講して勉強させていただきたいと思いますが、こんな話が聞けるのもライブならでは。

いや、それにしても制度設計とはなにか、改革とかはなにか。それを阻むものは何か…いろんな意味で勉強になりました。





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