本日は、流通の世界でいつも知的な刺激をいただいているPARCOの深澤さんのご案内で、




「Fight Fashion Fund by PARCO」の説明会に伺いました 。




これは、パルコが見出した若手デザイナー、クリエイターに




一口3万円のマイクロファンドを募り、若き才能とブランドを世に送り出そうというもの。




これまで類似のコンテンツはいくつかありましたが、




パルコが仕掛けるということと、実績の高いマイクロファンドスキームが組み合わさったことで、




よりユニークかつ継続性の高い試みになりそうです。




なんといってもパルコは無印良品と並ぶ最後の「セゾン的なるもの」の継承企業であり、




映像、音楽、ファッション、演劇、舞踊、美術、写真、服飾などというクリエイティブ分野と消費文化をつなげる数少ない大手流通チャネル。




百貨店などはもうこういう力がどんどん衰退しているのが残念です。







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今回は2名の若きタレントが選ばれました。




こちらは、「JUN OKAMOTO」の岡本順さん。




文化服装学院からパリで修業、熊本の「さをり織り」といった独特のスタイルを取り入れたブランドを生み出しています。




ストーリーからインスピレーションを派生させ、服のモチーフにしていくというのは実にユニークです。







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もうひとりは、スマイルズの「giraffe」ブランドのデザイナー中村裕子さん。




giraffeブランドは世界一キュートなネクタイを目指したユニークなブランド。




今回は「my panda」という「自分だけのカワイイ」を探せる新たなブランドを立ち上げます。




マイクロファンドは、




1)目的が明確




2)出資者特典




3)金銭リターン




この3つの要素で成立しています。




目的は、それぞれ、今後のブランド展開の幅を広げていくために、サンプル作成の原資に充てます。




出資者特典は、たとえばブランドの素材をつかったオリジナルグッズがプレゼントされたり、展示会や先行販売の案内、そしてデザイナーとのインナーサークル的コミュニケーションの機会があります。




これは、SNSツールも大いに活用されていくでしょう。




金銭リターンも明確です。




私募債ですから、元本割れのリスクもあります。




ですが、目標売上に達することができれば、2-4%超程度のリターンがあります。




不動産ほどではありませんが、超低金利時代2-4%のリターンは投資意欲も生まれます。




若きデザイナーたちは自分に投資してくれる人の顔が見えてくるわけですから気合もはいるでしょう。




岡本さんは、




「リアルが見えるのでリアルで返していきたい」と言います。




そこには、支援してくれるユーザーとの触発の期待も含まれていました。




まさに双方向コミュニケーションが新たなクリエイティブを生んでいきます。




パルコは、このファンドの運営コストなどを負担しますから、直営店やそこでのプロモーション、ネット通販での展開を行います。




そして出資者の愉しみは、




このファンドのキャッチでもありますが、




「服ではなく、才能を買う」。




もちろん服そのもの、モノづくりという真摯な姿勢を愛すればこそなのですが、




まさにストーリーを消費するということです。




新たなモノづくりを目指す若き才能を支援する方法は、エンジェルだけではない時代になりました。




流通がそこに関わっていくことは非常に意義深いことだと思います。




ぜひ成功事例をつくって羽ばたいてほしいものです。