1月、2月はメーカーさん、ベンダーさんの展示会のシーズンです。


月刊MD編集部も総動員で、各社の展示会に出かけています。


4月に大きな特集をやるための準備です。


「売り方で売れ方が変わる」というのは月刊MDのキャッチフレーズですが、


商品が店頭で売れる要素を大きく3つにわけますと、


1)「スペース」弾力性


2)「価格」弾力性


3)「売り方」弾力性


になります。


1)、2)はわかりやすいですね。


簡単にいえば、目立つ場所で、大量陳列をする。しかも低価格で。


これが一番「モノ」が売れることは間違いありません。


これは、「マスマーチャンダイジング」志向企業にとっては強力な武器であり、


規模とコスト構造における優劣が決め手になります。


しかし、「マス」に対抗し、売場を差別化していくためには、


3)の「売り方」が重要になってきます。


その「売り方」開発のひとつが、


「グルーピング」です。


もうすこし専門用語で言えば、


「TPOS開発」


すなわち、


「時間(タイム)、場所(プレイス)、機会(オケージョン)、スタイル」


で商品をあらたにくくりなおすことです。


お客の生活シーンや購買動機を開発し「カテゴリー化」するということです。


*クロスMD(マーチャンダイジング)=同一商品の多箇所陳列と混在されますが、広義にとらえて、元々異なる分類の商品を使う立場に立って組み合わせるとざっくり考えていただいてよいです。


たとえば、


バナナは、食品スーパーでは、


「青果売場」にありますが、*果物という分類ですね。


ドラッグストアでは、


「朝食」


というカテゴリーで展開します。*だからパンなどと一緒に陳列されます。


また、


しかし、食品スーパーも「朝食」というカテゴリーはよくコーナー展開しています。


ですからドラッグストアでは、


もう一歩踏み込んで、


「ダイエット中のおいしい朝食」「時間がない人にこれだけ」


という「朝食」提案を行っています。


今後は、


「美肌朝食」というカテゴリーをつくっても面白いでしょう。


こうすることにで、商品分類とアドレスが本来異なる商品同士を組み合わせ、同時購買を促進するということが、


「グルーピング」の効用です。


2012年の月刊MD年間テーマの大きな柱のひとつが、この「グルーピング」の成功例データベースを蓄積することです。


さて、きょうは、埼玉スーパーアリーナで開催された日本アクセスさんの展示会にお邪魔しました。



月刊MD編集長(2代目)のブログ

日本アクセスさんと、あらたさん、アルフレッサさんという3つの卸企業の頭文字をとった「トリプルA」の取り組みがお目当てです。


「トリプルA」は、まさに食品、日用雑貨、医薬品、化粧品の融合領域をカバーしています。


さまざまな「組み合わせ」提案が行われていました。



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これは、「生姜」という素材をもとに「代謝促進」という目的購買を促した売場展開例です。


お味噌から、お酢、ジンジャービア、カップ系食品、入浴剤などが組み合わさっています。


もちろんこの冬場のヒット商品「しょうが紅茶」も。


売場では、「代謝促進」というところからウォーキンググッズなどがクロスされていてもいいですね。


歩数計や体組成計などもフックでできそうです。



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これは「ローズ」というくくりのユニークなグルーピングが行われています。


口臭予防から、リフレッシュグッズ、入浴剤、芳香剤などが展開されています。


「グルーピング」の基本は、


お客が一緒に買って便利なもの、お互いの相乗効果が増すものということですが、


売場づくりにあたっては、


お客様が、


「あっ、そういえばこんな商品があるんだ?」という新たな発見を埋め込むというのも大事な視点です。


小売業は、「利便性」「専門性」「低価格」も大切ですが、「エンタメ」(楽しさ)という要素も不可欠です。


もうひとつ忘れてはいけないのが、


このようなグルーピング、クロスMD提案は、


「人を惹きつける」というキャッチーさも重要ですが、


「利益が出る売場」という視点も大切です。


よって、事後検証では、このグルーピング、クロス効果をたとえば「交叉比率」で評価してみるという作業も重要になってきます。


「交叉比率」は商品回転率×粗利益率。


利益商品の基準数値は200%になります。


つまり粗利益率20%の商品が10回転すれば、200%となります。


クロスした商品がそれぞれ何%になるのか、相乗積(マージンミックス)ではなく交叉比率で出してみるのも大切です。


さらに、クロスした商品が、ほか商品購入にどうつながったかという検証も今後は大切になってくるでしょう。


これによって、設定したTPOS、グルーピングの汎用性の高さ、集客貢献度が計測できます。


この検証には、顧客IDPOSデータ分析が不可欠になります。


なにが、わが店にとって、利益をもたらすグルーピングなのか?


あるいは、小商圏のなか、たくさんの競合店がある中で、なにがお客にとって欠落したカテゴリーなのか?


まだない潜在需要度の高いカテゴリーはなにか?


これがドラッグストアの生き残りの武器になっていきます。


月刊MDはそのデータベースとなるべく全力を尽くそうと思います。