名古屋発祥の「コメダ珈琲店」。
最近は東京にも進出しています。フランチャイズで出店数が増えているようですね。
きのう、ちょっと厚切りトーストが食べたくなって、近所の店舗に出かけたのですが、朝8時すぎに行ったところ、
8時半にはすでにウェイティングの行列が。
大人気です。
おじいちゃん、おばあちゃんからファミリー、中高年カップルから、
男性、女性シングルの利用も。
ものすごい客層の広さです。
このモーニングセットは、400円です。ドリンクにトーストとゆで卵がついてくる名古屋スタイル。
サラダを頼めば、+100円。
ザッツナゴヤの「小倉トースト」をしたいときもちょっとプラス。
バーガーやサンドイッチ類は、380円から揃えています。
そして、名古屋では知らぬ人がいないと言われる、
あつあつデニッシュにソフトクリームをトッピングした「シロノワール」。
子供たちに大人気のブーツ型グラス入りのクリームソーダなんかも定番です。
日曜の朝から行列をつくる「コメダ珈琲店」
この人気はどこからくるのか。
ちょっと考えてみました。
1)珈琲のおかわり自由サービスがない
これは、私的にはNGなのですが、実はこれがけっこう重要ではないかと思います。
店舗からすれば回転がよくなるということなんですが、お客様からしても、混雑してても少し待てば座れるという
認識が持てるようになります。
ちょうど珈琲を飲み干す時間と新聞にざっと目を通す時間はほぼ同じだといいます。
もうひとつは、それだけ「珈琲」に対してこだわりがあるというアピールもあるでしょう。
おかわり自由というのは、私みたいな貧乏性の人間からすれば、必須なんですが(笑)、
珈琲一杯の美味しさ、儚さ・・そんなところに価値を置く方も多いのではないかと思います。
2)スタバ、タリーズ、ドトールがカバーしていない領域
住宅地がちかい郊外の立地特性も重要です。
これは客層の広さが物語っています。
スタバ、タリーズ、ドトールは繁華街、駅前、もしくはショッピングセンターにいかないとありません。
ですが、コメダさんは、ファミレスのようにロードサイド立地です。
土曜や日曜の朝は、住宅地の場合、朝食をつくらず外で食べたいというニーズもあります。
またおじいちゃん、おばあちゃんも歩いて、あるいは自転車できて、一人で入れるお店というのも実は少ない。
郊外のロードサイドにあるマクドナルドさんも、意外と朝ひとりで読書などを楽しむおひとり様は多く見かけます。
また平日の昼間は、外回りの営業さんたちのほっとステーションです。
平日の駐車場を見ていますと、いろんな会社名入りの営業車があります。
営業の方々からすると、ちょっと一息入れたり、1時間くらい外で打ち合わせ、あるいはデスクワークしたいとき
ちょうどよい場所がないんですね。
だから当然、Wifiが設置されています。
また喫煙族にはありがたいほどの喫煙可能席の多さも重要です。
繁華街では、いまだにルノワール派という人が多いのも頷けますね。
3)「珈琲」がメインであるということ
営業さんたちの打ち合わせや休憩でいえば、じゃあふつうのファミレスでいいじゃないかということなんですが、
私の友人でばりばり外回り営業している人間が面白いことを言っていました。
「ファミレスだとメインは食事なので、コーヒーだけというのは、実は気が引ける、
マックだと子供やママが多いので、昼間いい年した大人が一人だとちょっと入りづらい」
なるほど、そんな心理もあるわけです。
つまりふつうのファミレスは、「食事」が主で「珈琲」が従。ですから従を目的に入ると、お客の側も恐縮する・・
いい人ですねえ(笑)
珈琲が主なら従は無理して頼まなくていいということですね。
これは意外と盲点です。
むかし飲食業界はメインを安くして、ドリンクで稼ぐという方法がセオリーとしてありました。
食事は安いけど、ドリンクが意外と高いというやつです。
90年代のファミレスはそのドリンクを安くして、ドリンクのバラエティを増やし「来店目的」をつくりました。
つまりなんどもおかわりできることで「長居ができる」というニーズにこたえたものです。
滞在時間が長いと、いろいろな追加注文が期待できるということなんですが、
導入当初から回転率の悪化との闘いになっています。
まあ、これは、いまでもある程度通用するセオリーではありますが、
コメダさんの方法は、「長居をさせて」「追加オーダーをとる」という来店動機以外の要素開発として、
注目すべき点があります。
4)「珈琲」以外の定番がある
珈琲がメインではあるのですが、「シロノワール」のようにここに来たら食べておかないと・・
という定番があるのも強みです。
びっくりドンキーさんも、ハンバーグ以外に「メリーゴーランド」という鉄板があるのですが、
白玉入りアイスパフェがあるのですが、 同じ感覚ですね。
本物の定番というのは、実は常に改良していくそうです。
室町から続くという老舗の和菓子屋さんも、常に「定番」の改良を加えています。
伝統と言うのは勘違いしている人が多いのですが、単純に「変えない」ということではないんですね。
そもそも伝統の開始は「革新」といいます。
ですから「伝統」はどこかで「革新」の要素を持っていないと維持できないというパラドックスがあるのです。
さて、その意味では、コメダさんも今後が注目されます。
珈琲そのものの深掘りももちろんですが、
モーニングセットにつく、トーストとゆで卵など
こういう飽きない定番が「おいしいか」どうかも実は今後の重要な戦略になっていくでしょう。
定番を改良し続ける企業は実は少ないのです。
定番の改良というのはチェーンストアの基本セオリーです。
ユニクロさんだって、すき家さんだって、マクドナルドさんだって定番を常に改良し続けています。
珈琲のサブカテゴリーである、トーストや卵、サラダがさらにレベルアップしていくと、さらにユニークな
ポジショニングが明確になっていきそうです。