昭和大学横浜北部病院の副院長を務められていた中島先生(現昭和大学客員教授)は剣道の先生でもあります。
以前のサンキュードラッグの平野社長対談の終了後、剣道談義をおうかがいする幸運に恵まれました。
中島先生は剣道のご指導をされるとき、
上達の道は2つあるといいます。
ひとつは、上段者に向っていくこと。
もうひとつは、年少者にも手を抜かないこと。
とくに後者というのはなかなかできることではありません。
年少者、とくに子供たちには、「打たせる」という稽古もありますが、
中島先生は、それでは双方よくないといいます。
たとえ子供たちでも手を抜くことなく、本気の気魄をぶつける。
子供たちは当然、その大人の剣士の持つ猛気を感じますから、萎縮してしまい、どこから打っていいのかわからなくなります。
でも、その「感覚」が大切なのです。
どこから打っていいのかわからない、でもしっかりと剣先を保ち、猛気にむかう、そしてなんどもその猛気に負けそうになりながら、体を割ってはいる一本を打つ・・、跳ね返される・・気を取り直してもう一度・・。
この「感覚」の繰り返しが成長となります。
つまり年少者に本気で向かうことの意義は、そのような成長を引き出せるにたりえる器量を自身がまとえるかどうかということなのです。
年少者に本気で向かわない、「打たせる」稽古しかできないのは、実は相手の成長を止めていることであり、成長を引き出すにたりえる指導者ではないということになります。
これは、仕事の現場でも同じことではないでしょうか?
どんな現場であれ、ともに仕事し、互いのキャリアをアップしていくために、常に「本気」「全力」が求められるのです。
昭和大学で薬剤師、医師、看護師がともに協力し合い「医療の質的向上」を目指す「チーム医療」を確立した中島先生のこの言葉は深く刻みつけたいものです。