ラグビーワールドカップ決勝トーナメントはじまりましたねえ。
祝日の朝から昼まで、ひさしぶりにゆっくりして、
ワラビーズ×スプリングボクス
オールブラックス×アルゼンチン
を観ました。
いやあ、さすがベスト8.
素晴らしい試合ですね。
とくにワラビーズとスプリングボクスは最後までわかりませんでした。
オールブラックスも後半真ん中まで、アルゼンチンの鉄壁のディフェンスを突破することができませんでした。
最後の最後にアルゼンチンの防御を崩したオールブラックスはさすがですが、前回3位のアルゼンチンはラグビー宗主国を崩す常連になりました。
やはりこういう国がでてきてこそ、面白くなります。
考えてみれば、ジャパンも、くじ運が悪いとしかいいようがありませんが、
やはり、フランス、オールブラックスに一泡吹かせてやろうという気持ちで臨むべきだったなあと思います。
もちろん、手抜きなど考えられませんが。そためには、やはりオリジナルの戦術を開発する必要があるのです。
兵法には、
「戦術なくして戦略なし」という言葉があります。
また逆も真なりで、
「戦略なくして戦術なし」という言葉もあります。
これは戦争学の松村先生の本に詳しいのですが、
後者を理解している人は多いのですが、意外と前者を軽視している人が多い。
戦略論を唱える人は多いけど、それと同等、それ以上に戦術そのものの開発、強化をしなければならないということです。
戦略とは、戦場における勝利のためのリスクを最小限にするように事前に準備し、また戦場における勝利の果実を最大するための策略です。
戦術とは、戦場において最大のリスクに挑戦し、最大の勝利を獲得するための術です。
分かりやすく言えば、
戦略は、戦場に臨むまでの勝ちやすくするめの事前準備であり、戦術は戦場で勝つための方法です。
戦術は「戦闘教義」=バトルドクトリンという概念を理解することが重要。
これは、剣道でたとえていうなら、基本技のうち、剣士が身につけている得意技のことです。
剣道には4つの基本技があります。
面、小手、胴、突きの4つをどう組み合わせるか。
この基本技と基本技の組み合わせは「広く応用性がある力の行使システムパターン」と言えます。
しかし、剣士はこれらの基本技を等しく使いこなせるわけではありません。
この基本技から自分に合ったものを選び取り「得意技」として、不断の練磨によって身につけます。
とくに高段者になればなるほど、身につけた基本技のベースそのものが高く、勝敗は「得意技」の駆け引きできまります。
*偉い先生に言わせますと、得意技の駆け引きはスポーツとしての剣道で、ほんとうの武道としての剣道ではないということですが、便宜的につかいます。
つまり、得意技のない剣士はそもそも試合の場で駆け引きをする意味がありません。もっと言えば、試合に臨む前の策略など無意味です。
名将、宿沢広朗氏もまったく同じ考えです。
だからかれはジャパンオリジナルの戦術開発に最大の力を注いだわけです。
モノマネではない、フィールド上で駆け引きする際の、相手を一か所でいい、上回ることができる「得意技」をつくりだしたのです。
それがあってはじめて戦略を立てることができたのです。
勘違いする人が多いと言ったのは、
基本技のベースアップも、得意技もないのに、戦略を語る人がいるということです。
「小売業の戦略」論を語る人もけっこういますが、
戦略の駆け引きによって得られる果実を最大化する戦術開発に関しては無知な人が多い。
小売業でいえば、戦術は、フォーマット開発であり、ロジスティクスであり、取引制度運用能力であり、商品管理能力であり、商品開発、調達能力であり、売場づくりであり、完全作業能力です。
これらの基本技のベースアップがあって、はじめて得意技(オリジナル)が生まれます。
600坪のドミナントなのか30坪のドミナントなのか。
だれにもまねできないオリジナルの30坪、100坪ができて、はじめて戦略=地域シェアの獲得=地域顧客の支持の最大化が可能になるのです。
かつて経営戦略を語る本のなかでは、こんなフレーズをよく見かけました。
日本人は個々の戦術(技術)開発に長けているけど、それを生かす戦略がないと・・。
日本の農業技術も個々の技術はすばらしい。でもそれを生産性向上や食料自給率をアップさせるための戦略に生かされていない・・というように使われる。
戦略をつくるのが官僚であり政治家なのですが、日本はこの質的レベルがマスコミとともにあまりに落ちてしまっています。
企業レベルでいえば、個々の社員の技術、得意技を生かすのが経営戦略です。
ですが、企業は営利団体ですから、無駄な技術開発費用など認めるわけにはいきません。
なので殊経営に関しては、「こういうことを実現したいからこういう技術開発を行え」という
これも真実です。
かつて太平洋戦争のとき、米軍は南洋の島々を攻略して日本本土攻撃を行うというオレンジプラン(戦略)があって、海兵隊の水陸両面攻撃という戦闘教義が開発、育成されていきました。
だからやはり、戦略、戦術の問題は、
「戦術なくして戦略なし」、「戦略なくし戦術なし」、
常にこのふたつを肝に銘じる必要があるのではないかと思います。