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日本ラグビー界の至宝と呼ばれた故宿沢広朗元日本代表監督。タイトルは、かれの座右の銘だ。

在任時代、ラグビー宗主国の一角、
スコットランドを破り、第二回ワールドカップでいまにいたる唯一の白星を挙げて、日本ラグビーを一躍世界の舞台へ押し上げた人物。

代表監督を務める一方、住友銀行の専務まで務めたビジネスマンでもあった。

サントリーの土田さんや清宮さんの著書も好きだが、やはり、このワールドカップイヤーは、かれの本を紐解きたい。

かれが、代表監督に就任したのは、38歳。もうわたしもその年齢を追い越してしまった。そしてこの本を書いたのが、41歳のとき。

わたしは、社会人数年経ったあとにこの本に出会ったが、当時はその意味をほんとうの意味で理解していなかった。

この本は、時を経て、多少なりとも人生のキャリアを積んだ歳になってようやくわかることが多い。

わたしが、かれの代表づくりのポリシーとしてもっとも惹かれるのは、このふたつ。

1)オリジナリティをもつ
2)必ず完成してから判断すること

これは、ビジネスにも通じる。

ビジネスの王道は、成功事例の真似からはじまる。しかしあるレベルまでくれば必ず壁に行き詰まる。その壁を超える力が、オリジナルになる。

そのオリジナルは、完成させてこそ、意味がある。ラグビーは、意外性のスポーツだ。場面を想定した何千回、何万回の練習を重ねても、試合でそのとおりに動けることの確率は極めて少ない。

つまり咄嗟の判断に周囲が反応できる個々の判断力が求められる。

だからかれはいう。チームの中で自分の役割はなにかを自覚しておのれの仕事を遂行することがラグビーのチームワークではない。

決められたことを決められたとおりに行うこと、そしてそのうえで、個々のポジションに求められるスキルを極限まで高めて、想定外のできごとに対して、全員が、正しい方向へ的確に優れたスキルで対応することがほんとうのチームワークだという。

どんな小さな組織にも通じる考えだと思う。

素晴らしいトライが、決まったとき、それぞれのラインがどう判断し動いた結果なのか。それを見るのがラグビーの最大の楽しみだ。

優れた理論と志で、世界をあっと言わせた宿沢広朗氏。あらためて学ぶべきことは多い。







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