「テスコ日本撤退」というニュースが、出ていました。

いろいろ思うことが、あります。整理すると、

1.テスコは、他国進出の際は、その国で勝負する業態の現地法人を買収して、じっくり構えて展開するのが、セオリーです。そこで、日本では、小型スーパーを買収しました。しかし、コンビニ王国、ローカルスーパー強者揃いの日本市場で、後発外資が認知されるためには、あまりに足がかりにした企業のポテンシャルが、低すぎでした。

2.コンビニ王国とローカルスーパー強者を支えているのは、主として日本の商社物流です。テスコの強みは、生産地から中間流通、店頭販売までを垂直統合することによって得る商品利益と中間流通利益の高さです。

日本で、食品ミニスーパーをやっていくためには、商社流通に頼らざるを得ません。その意味で、つるかめさんは、地域卸との付き合いが、主流であり、新しい第三勢力をつくるという意味では、ユニークな構想でした。しかし商社流通に対して残念ながら、地域卸の近代化は、はるかにコストが高くつきます。この構想は、その意味で潰えました。

3.そこで、テスコも商社流通と組みます。でも商社流通も、コンビニ、ローカルスーパー、GMSまで、店舗を押さえており、200店に満たない、ミニスーパーの存在価値は、あまり感じなくなったのでしょう。加えて、食品卸流通は大再編の真っ只中です。

4.テスコが、日本市場で、唯一通用する武器であったCRM戦略と技術と、上記のミニスーパー戦略では、あまりにギャップがあります。他のアジア市場はともかく、成熟した日本市場では、同社の誇るCRMから戦略を立てるべきでした。

テスコは、もともと、ダン・ハービィという出版社が軸になっています。出版社の持つ、情報発信力と情報分析能力と、雑誌、店舗が組み合わさり、世界トップクラスのCRM企業となりました。

日本で、チャレンジするなら、女性誌買収などコンテンツから入っていたら面白かったかもしれませんね。

日本の流通業は、物量モデルは、よくも悪くも完成されています。

逆にもっとも苦手なのは、コンテンツ、ソフト分野からのシェア獲得です。

ですから、テスコの持つ、商品DNAなどソフト面のインフラとコンテンツをクロスメディアさせていくほうが、可能性がありました。店舗展開は小規模精鋭でずっと後でもよかったかもです。

でもこれは、反面教師です。物量でシェアを獲得していく企業のプレーヤー数は、限られます。ですが、ソフトからシェアを獲得していく方法は、未開の沃野だということです。

それこそ、きのうのLooopsの斉藤社長の、言葉、

「CRMを顧客の囲い込みと思っているのが大多数」

が、現状ですからね。

さて、新聞報道は、よくこういう記事中に、流通関係者のコメントとして、

「外資系小売は、成熟した日本市場では通用しない」あるいは、「日本市場に適合させないとダメ」いう決め文句がよく出てくるのですが、

ナンセンスですね。まあ新聞は、常套句を大事にしますから、しょうがありませんが…。

IKEA、コストコ、ZARA古くはマクドナルド。出て行ったのも多いですが、独自のスタイルで支持を得ている企業は結構あります。

共通するのは、

「自社の強みをそのまま導入して、一番その強みを発揮できる分野で勝負している」

ところです。

IKEAやZARAは、わざわざ日本市場に合わせた商品などつくっていません。

ですが、IKEAは、日本の公団の平均間取りを一番うまく使えるコーディネートを提案しています。これが、コンテンツ開発、ソフト戦略です。

組み立て家具という物販に目が行きがちですが、IKEAはソフト戦略を優先させています。

マクドナルドは、渥美先生がとても面白いお話をしてくださったことを思い出します。

それは、次回に。







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