きのうの昭和大学の中島先生からのお話です。

*中島先生は定年退職を迎えられて、昭和大学客員教授と女子医科大の診療教授をされています。


昭和大学はユニークな医療人材育成で知られています。


1年次は、富士吉田市で全寮制の教育です。ここで医学部も、看護学部も薬学部もすべておなじ場所で寝食をともにします。


中島先生は、横浜北部病院の呼吸器科在職中、薬学の大学院生をチーム医療の中に受け入れるとき、


受け入れる前に、医師、看護師にアンケートをとったそうです。


その回答は、驚くべきことに、8割の人が「必要ない」と答えたそうです。


ところが実際受け入れた後、同じアンケートでは今度は、「必要」が8割を超えました。


つまり受け入れ前は、薬剤師がいなくてもなんの不自由を感じていなかったことがわかります。


医師、看護師の方々も、それまでは、ときどき処方箋の日数間違いを電話で指摘してくる人という程度の認識だったそうです。


ところが受け入れ後は逆転した。


つまり薬剤師のもつ化学的な知見が、自分たちの知見と組み合わさることで「医療の質の向上」に役立つということが実感してわかったからだそうです。


薬剤師の一番足りないもの、

それは、処方後のモニタリング(プロセス、結果検証)の機会が極端に少ないことです。

病院勤務薬剤師でもこのような状況ですから、町の薬局、ドラッグストアの薬剤師はもっとかけはなれてしまいます。


中島先生は、


薬剤師も、医師、看護師と同じチームに入れて、自分の処方した薬が、どう効いたのか、効かなかったのか、プロセスと結果を見れるようにしたいと考えました。


医師と看護師は、治療のプロセスと結果を常に見ています。だからこの知見が蓄積し、医療の質向上に貢献します。


薬剤師もモニタリングを行うことによって知見を蓄積することが必要です。


そうすると、日ごろの処方箋受け渡しにかける言葉ひとつとってもかわってきます。


中島先生は言います。


「町の薬局、ドラッグストアの薬剤師さんこそ、こういう機会を増やしていくことが重要ではないでしょうか?たとえば自分がかかりつけで処方する患者さんが入院されたときに、その病院のチーム医療の中に入ることができる期間を設けることができるといいでしょう」


いまドラッグストア、薬局の薬剤師さんも訪問医療の中の、チームの一員として参加し、その存在の効果を検証していますが、


病院と地域の薬局が連携し、このような双方で薬剤師を活用していくオープンな方法が出てくると素晴らしいと思います。


理解のある医師、病院とまず薬局がつながる・・そのワークショップをやってみる。これはけっして非現実的な考えではありません。


中島先生も大病院の副院長先生でしたが、いきなり病院全体でやることはいろいろな抵抗もあり、実現できなかっただろうと言います。呼吸器科ではじめて、うまくいったので、水平展開して、病院全体に広がったわけです。


これって、どこかで聞いたことありませんか?


小売業の鉄則、「小さく考える」です。


事業の成功法則というのはほんとうに普遍ですね。


このお話は続きます。のちほど。