「これからのDgS・薬局ではたらく君たちに伝えたいこと」(通称「これドラ」弊社刊)の筆者、サンキュードラッグ平野健二社長と、
「店長のためのやさしいドラッカー講座」(通称「店ドラ」イースト・プレス刊)の筆者、商人舎代表 結城義晴氏の初対談です。
月刊MD掲載の対談シリーズの第1回を収録しました。
手前味噌ですが、「これドラ」は三刷、
結城さんの「店ドラ」は四刷!
ともに小売業関連の本ではいわゆる「売れ筋」であり、業界の話題となっています。
このお二人の組み合わせは、「ドラ」つながり・・というわけではないのですが・・。
この2冊は、単に、ビジネスノウハウ本、社長の成功体験談という、小売関連図書ではありがちなジャンルの書籍ではなく、
タイトルを見ればお分かりのように、
小売業で現在働いている人たち、これから入ってこようとする「人」たちへの深い愛情を持って、「未来」を描いている共通点があるのです。
対談は、
平野社長が現役経営者として実践している、後発優位を目指したローカルチェーンイズムを、
結城さんが、
ドラッカーの視点を加えて、普遍化していくというスタイルとなりました。
あらためてお二人が確認しあったのは、
「小売業は人」であるということ、
これは結城さんがドラッカーイズムを「店長」という店舗の主役となるべき人々に浸透させたいと考えた最大の理由です。
店舗ではたらく人たちが、企業のビジョン、個々の使命を自覚し、チームとして実務遂行できるスキルを磨き、喜びを感じながら仕事をすることができれば、
店頭における売場実現力は、だれに強制されることなくアップし、
IDPOSデータをいかに利用するかを、だれに言われることなく自ら考え抜き、
お客様は神様ではなく、親友のような関係になれる・・。
たとえば、サンキュードラッグが実施している薬歴管理システムは、どの店舗にいっても、そのお客様の特性を前提にお話ができます。
違う店舗に行くたびに、アンケートをとるのは、一見丁寧なように見えますが、それは「親友」ではありません。
「親友」のような信頼関係で結ばれてこそ、その親友は相談してくれるのです。
ドラッグストアは小売業の中でも、お客様のほうから「相談」してくれるという稀有な特性を持っています。
であれば、「相談」してくれるためには店舗の要素として何が必要なのか、おのずと答えがでます。
しかし、経営者はそこをコストとのバランスの中で、実現せねばなりません。
ここが今回の対談の最大の課題抽出となりました。
平野社長曰く、
「我々は、『医療人』であるのと同時に『商人』でなければならない」。
結城さんは、それをひきとって、
「現代は、相反する要素を同時に実現しなければならない時代、それを克服する方法を獲得した企業が生き残れる」。
なるほど。
小売業は相反する要素だらけです。
「品質を向上させながらコストを下げる」
「じっくり相談もできるし、急いでいるときは手早く買物をすますこともできる」
「マスプロダクトを仕入れながら、ワンツーワンで提供する」
「新規客を獲得しながら、リピーターも増やす」
「グローバルインの思考で、ローカルアウトの成果を出す」
その逆もありますね。「ローカルインでグローバルアウトの成果をだす」
数え上げればきりがありません。
かつては、相反する要素は、トレードオフ(どちらかを優先する)することで克服していました。
もちろん、トレードオフはいまでも有効ですが、トレードオフが効かなくなっている領域が増えています。
これをいかに克服するか、さまざまな知恵を結集しなければなりません。
それには、その相反する要素がぶつかり合う「店舗」が最大の実験場になります。
きょうはそんな思いを強くした対談になりました。
詳細は月刊MD10月号にて。
楽しみにしていてください。