昨晩遅く、門司港から帰ってきました。


さすがにフライト中は爆睡しておりました・・。


きのうのサンキューさんの経営発表会後の懇親会では、「これドラ」発売の関係で、僭越ながら乾杯の音頭を仰せつかりました。


そのあと、すこしだけ会場にて皆様とご挨拶させていただいたのですが、


印象に残ったのが、あるメーカーの方からこんな質問をいただきました。


「ブログ読んでいますよ。ブログはサンキューさんとコスモスさんの話がよくでてきますが、この対極のような企業を両方追いかけるって大変じゃありませんか?」


ブログをお読みいただきありがとうございます。聞けば4月ぐらいからだそうで、けっこう古株の読者様です。


そうなんです。私のブログは体系的に整理されていないのですが、たしかに九州のこの2つの企業は多いですね。


この方は、ともすれば読者対象もばらばらになってしまう危惧も抱いておられたのかもしれません。


そこで、こうお答えしました。


「対極に見える2つの企業には実は共通点があります」、


「それは、最小のマーケットで最新の方法、細心の注意をもってビジネスに取り組んでいるところです」。


これはウォルマート創業者サム・ウォルトンの言葉です。


「これドラ」の帯にもこう記しました。


「少子高齢化最先端地方都市ではじまっているコミュニティドラッグの挑戦」


このコミュニティドラッグの部分を「ディスカウントドラッグ」に置き換えればコスモスさんになります。


つまり両企業は、これからの縮小していく日本市場の中で、どのようなビジネスが可能なのか「仮説・実践・検証」をしている企業なのです。


ただ方法論は違います。もちろん評価指標(KPI)も違います。


ですが、「最小のマーケットで最新の方法」をためすところでは共通です。


これはメーカーさんにとっては今後の販売チャネル政策を考えるうえで重要な意味をもつと思います。


メーカーはマスプロダクトによる費用対効果最大化、利益訴求産業ですから、


店舗数、販売数量、売上などがこれまで重視されてきました。


ですから、人がたくさんいるところに、店舗数を多く抱える小売がもっともありがたい存在でした。


アメリカもそうでした。


ウォルマートが人口の少ない田舎町で「ディスカウント」の最新の実験を進めている中、シアーズ、Kマートなど当時の最大手は大都市周辺のサバブと呼ばれる新興住宅地帯にどんどん出店していきました。


当然、メーカーさんもその勢いの乗って販売数量を増やしました。


田舎のウォルマートに注目した企業は少なかったでしょう。*そう考えるとP&Gさんなどはやはりすごいですね。


日本ではコンビニですね。


1970年代、この町の零細小売店(よろずや)のシステム化が、まさかメーカー流通を凌駕する規模に成長することを見抜いた人は少なかったでしょう。


コンビニもまさしく、「最小のマーケットで最新の方法」をためしてきた企業です。セブンイレブンではこれを「タンピンカンリ」と言いました。この最小単位の小売技術をもとに、世界の流通でも屈指の「製造卸業」モデルを作り上げました。


さて翻って、コスモスさんとサンキューさん、方法論は違えど、日本の衰退していく地方都市のマーケットで成立するための実験を繰り広げています。もちろん不完全な部分も大きいでしょう。でも実にアグレッシブにチャレンジしています。


サンキューさんの「潜在需要発掘研究会」もそのひとつ。


きのう、平野社長は、「まだまだ本当の意味で提案されるメーカーさんは少ない」とおっしゃっていました。


メーカーさんからすれば、


「最小マーケットでの最新の方法」で得られた知見を水平展開して「マス」に持っていくというモデルをまだまだ理解している企業が少ないのかもしれません。一部は理解していても組織で行動に移せるところは稀です。


以前ブログで取り上げた全薬工業さん(アルージェ)などは、組織全体で理解している企業のうちのひとつでしょうね。


わたしはいまは過渡期だと思います。


人口の多い場所で店舗数をつくる旧来型マスモデルの効用にも目を配る一方で(*もちろんこの改善も重要施策です)、


人口の少ない場所で、小さくとも精緻な実験を繰り返し、中間流通構造改革を含めて次世代の「マスプロダクション」の在り方をいち早く会得する・・・。


やはり先を読んで動いているメーカーさんははやい。人材教育など間接投資もかけています。


PRですけど、「これドラ」を企業で100部、200部単位でご購入いただいているところはたぶん先見の明があるところなんだろうなあと思っています(笑)。


おそらくこの5年くらいで、メーカーさん含めていろんな業界勢力図が変わってくるでしょう。