月刊MD筆者のひとり、医療ジャーナリストの神保さんより、メールがきました。
気仙沼でボランティアを行っている、ナースさんが掃除機の依頼をあるMLに流したそうです。
いま避難地域の医療機関は野戦病院並みの中で苦闘されているとのこと。
なかなか衛生環境のことまで頭がまわりませんが、それでもナースさんの義務をこんなときでも遂行したい。
そんな気持ちから掃除機がほしかったそうです。電気が回復したので、とにかく清掃用具が足りないそうです。
そのMLを読んだ、アメリカのあるIT企業の部長さんは、英国に本社のあるダイソンさんに直接かけあったところ、すぐに承諾。日本法人を通じて、手配されたそうです。
素早い対応ですね。
またこんなお話も。
被災地域では、常用薬がなかったり、お薬手帳をなくされた方も多くいます。
そういうときのために、医療クラウドが確立していれば、対応が可能になります。
いまさらですが、このような危機のときこそ平時の準備と鍛錬がものをいいます。
だれかのための特定権益保護は、この震災を契機に、抜本的見直しを迫られるでしょう。
非常事態に対応しうる「平時」の制度設計が、今後の日本経済の軸になるのではないかと思います。
いまは臨戦態勢で先の話をするのは憚れるところもありますが、だれかが、10年先を見越して動き始めなければならないでしょう。
医療クラウドの普及は、そのひとつです。
それにしても危機こそ器量が問われるとはよく言ったものです。
先日 チャリティマッチでゴールを決めた三浦和良選手は今回も、阪神のときも、匿名で義援金を送ったそうです。
年間の獲得賞金をすべて寄付するというゴルフの石川遼選手もすごいなと思いますが、著名人としての立ち振る舞いとしては三浦選手の美学というのでしょうか、この人はやはりすごい人だったんだなと思い知らされました。
金額の多寡ではありませんが、小売流通の世界は、家業的側面がほかの産業よりも強い傾向があり、創業家個人の顔がクローズアップされるところが多い。
ユニクロの柳井社長は注目されましたが、おそらく多くのリリースに紛れて、
セブン&アイの伊藤名誉会長やイオンの岡田名誉会長なども表には個人名は出していませんが、
創業家の個人資産からかなりの拠出をされているのではないかと拝察します。*中国の四川大地震のときもお二人はかなり尽力されたと聞きます。
そのため命令系統もシンプルであり、これはある意味、小売流通業の強さでありスピードではないかと思います。
だから小売流通は、震災直後から必要物資を送り続けることができており、数日後には店舗復旧へと向かうことができました。
Dg.S企業でもほか小売と同じく店舗で募金も募っていますが、企業単位で、義援金、必要物資を続々と送っています。今後は、長期的なケアを見越して、薬剤師さんや介護士さんなど専門職能の断続的な派遣も必要となってくるでしょう。
すでに厚労省の指示をまつことなく、独自で医療機関と組んで薬剤師さんを送っている企業もあります。
その多くは一般マスコミでは取り上げられませんが、素晴らしいことです。
なかでも九州のコスモス薬品さんは、3億円の義援金を送ることを決めたそうです。
宇野社長はインタビューで数回お目にかかった程度ですが、けっして飾らず、大言壮語しない、黙って地道に、でも確実に実行する方という印象を持っていました。
稼ぐ力を持つ人は、危機の時にどのような態度をとるべきか、措置を講ずるべきか、やはりわかっていらっしゃるのだと思います。
しかもそれは別段派手にリリースなどしない。仲間にも呼びかけない。
上場企業の義務としてIRにはあげますが、黙ってひとりでやる・・。
キングカズではありませんが、これが器量なのだなと感じ入りました。