今朝から、被災地にもネットワークを持つナイスケアの水下さんに、
電話にて緊急インタビューをさせていただいておりました。
*本当の意味での被災状況を知る立ち位置ではなく失礼を承知で・・とお断りされたうえで、お引き受けいただきました。
被災地、避難所には大勢の高齢者がいます。
ケアマネジャー、介護福祉士、サービス提供従事者(ヘルパーさん含む)のネットワークも崩壊しています。
その中でできることを、現状認識と提言含めてまとめます。
さらにテレビでも「心のケア」ということが言われるようになってきていますが、
今後の長期的なケア、メンタル部分も含めて、介護専門職の方々(さらには周辺の方々)ができることはなにか、
第一報をアトランダムですが、まとめてお送りします。
1)被災状況を見れば、介護従事者もすべて被災者になっており、この状況下では、現実問題として、「利用者第一主義」にとらわれることなく、まず自身の安全確保をしたうえで、利用者のケアをすること。*既存の緊急マニュアルは通用しない。
2)現在避難所で高齢者介護を行っている仲間のケアマネジャーさんは、目の前で自分の親がなくなっても、リーダーとして振る舞っている。平時と有事のリーダーシップはまったく異なり、緊急時では、高齢者、子供が、「あの人がいる限り大丈夫、なんとかしてくれる」と思われている人を中心に団結しなければならない。*チリの落盤事故の例をひくまでもなく。
3)一方で、リーダーがいるところといないところで、避難所に差がでてきているのが現実。リーダーシップのあるケアマネジャーがいると、新潟中越地震の教訓だが、遭難者を探すにせよ、何時に家のどの部屋にいるか(テレビのある部屋、寝室など)ということまで把握しており、また買物に出ている、デイケアセンター利用中など時間軸で利用者の生活をつかんでいる。
よって捜索の手助けにもなり、また常用薬の把握もできているため健康維持の重要な情報集積地となっていることが多い。医師との直接コミュニケーションができている例は少ないが、薬剤師や看護師ステーションとのネットワークができている場合は、対応がはやい。これは大いに活用すべき。
4)介護従事者はお金とエネルギーをつかわずにいかに生活をするかという知恵を持っていることも多い。テレビでも一部紹介されていたが、ビニル袋にコメと水を1対1でいれればぬるま湯でも時間をかければ、食べられるようになる。「あるものでしのぐ」というのが基本。どれだけ知恵を集められるか。炊き出しにつかった水を、最後排泄の水に使うまでは、5-7工程くらいつかえるそう。これを徹底するのもリーダーシップによってきまる。
5)今後、避難所生活から日常生活に戻るまでが過酷。ボランティアも現段階では一般の人は難しい。登録している人が優先。ボランティアはすべて自前が基本。仮設住宅建設後から本格化するのでは。
6)ゴミの問題も出てきている。ゴミ捨て場がないために伝染病を誘発するような日持ちのしない食品は現地に届けられていない。これはマニュアルが徹底されている。インフルエンザだけではなく、予期せぬ伝染病予防体制になっているために、一部物資が残念ながら滞留している。排泄ルール、ゴミ捨てルールも避難所によってまちまちの状態。
7)メンタルケアの重要性。「相談援助技術」を学んでいる介護専門職も実は少ない。「がんばれ」といった慰めや励まし、共感だけでは一時のこと。歩行のリハビリも歩かせることが目的ではなく、その先にある生きる気力を引き出せるかが、「相談援助技術」。これは今後のボランティア参加も含めて、心理カウンセラーなども重要な役割を担う。
電話が通じれば、専門的な相談体制を敷くことも大切では。*身寄りのない独居高齢者はとくに。
8)モノが足りてきたときにはじまる、「怒り」「悲しみ」「自己中心的思考」を受け止め、解決という終点までもっていけるかどうか。これが今後1か月の避難所の最大課題になる可能性が高い。
9)避難所にヘルパーや介護経験者がいない場合、高齢者の方への介助として下記シーンに気をつける。
・床から立ち上がるとき、座るとき
・階段の上り下り
・避難所からの移動
・トイレ介助(有無)
・食事補助
また続編をお送りします。